【ネタバレ】夜会~橋の下のアルカディア

夜会の初日を見てきました。当日は入り待ちはせず。だって、明るいとみゆきさんと目が合った時どうしようとか考えてしまうからw 午前中からお昼過ぎまでテニスの打ちっぱなしに行ってそれから赤坂に向かったので、開場前に近くの喫茶店で寝てました。。。

さて、この下はネタバレなので、ご注意ください

今回の夜会ですが、ザクッとした流れはこんな具合です。

第1幕
第1場 地下壕:冬
第2場 橋脚:天明2年

第2幕
第1場 地下壕:夏
第2場 橋脚:格納庫

ここから、率直な感想を書きます。

舞台の中央には大きな階段があって、その下が地下壕になっている? 橋の下に商店街がある。ただし、地下壕の店は殆ど閉店していて、残っているのは占い師のみゆきさんとバーの店主である中さんの店だけ。そこに制服姿(警官?)がやってきて、退去を言いますが二人はその場に残ります。中さんはこの警官が好きなようですが全然相手にされず。この町(地下壕)は捨てられたのです。大雨が降った時は雨水を流す使い方をされるらしい。そんな場所で店を開いても客はこないのでは・・・と思うけど(笑)

二人は仲がよいようだけど、中さんがみゆきさんの水晶を持ち出して遊ぼうとしたり、中さんに買い物の荷物を渡したり、あるいは掃除機をかけるシーンがどこまで必要なのかは謎です。失せ物探しという歌があってみゆきさんが水晶を中さんに向けると中さんが恐れるシーンがあるんだけれど、それは忘れた記憶を見透かされることが怖いのかな?

地下壕に犯罪者が逃げ込んでくるが警官の男が捕まえてくれる。ただし、犯罪者が経ち去り際に「お前の顔を覚えたからな! 覚えてろよ!」と叫んでいたので、これは後々の伏線だなと思った。

で突然、商店街の建物が横に流れていき、階段だけが舞台に残る。服が時代ものになったから少なくとも明治前の話なんだということが分かる。まあ、歌でも「昔~昔~」とあったから分かったけど。あるとき、大洪水が発生したらしい。それで生贄として女性を橋脚に埋めて捧げることになった。長老が決めて男が泣きながらみゆきさんに白い着物をかぶせる。つまり、生贄に選ばれてしまったということ。

みゆきさんは子猫を子供のように抱いているんだけれど、自分は生贄として死ななければならないから着物の袖をちぎって子猫の身体に巻きつける。離れ離れになってもまた会おう、命よりも長い誓いのような歌があったと思う。子供を寝かしつけるように「すあま、すあま」と歌うみゆきさんに母性を感じつつも、「すあま」の意味が分からず。自宅に帰って調べたら縁起担ぎのお菓子がヒット。

みゆきさんは橋脚に入り、押しつぶされるように舞台から消える。その消え方がリアルすぎて怖かったというか、なんかちょっと嫌(苦笑)だってだってだって、みゆきさんがだよーやだよー(笑) 村の長老に指示されたからとはいえ、妻(だとはじめ思っていたけれど終演後の知り合いとの話で神への生贄は処女なんじゃない?ということから娘の可能性が大)を死なせてしまった男も川に飛び込む。

籠の中に入れられた猫ははじめぬいぐるみだったけど、1幕の最後では中さんになつていた。そして「人間になりたい!」と歌う。それはもし人間だったならみゆきさんを救えたかもしれないからというもの。

1幕終了。

2幕は警官の愛をほしがり夢うつつの中さん。警官はしばらく来ていないみたい。待っている中さん。でそこに暴走族みたいな演出で、バットを持った複数の男とそれに追われる警官。警官は怪我をしている。警官をかばうみゆきさんと中さん。そして最後はシャッター街の建物が動いたのに恐れをなして(?) チンピラ達は逃げていく。ちなみにこの警官、もともとはこの商店街の店主の一人で今でもその時の店は残っているんだけどね。

このあと、二隻の舟を歌うみゆきさん。あと、ちょこちょこ「国を裏切った~家族を裏切った~?」のような歌が挿入されるんだけど、正直その意味は掴めず。家族は、もしかしたら生贄のことを指しているのかな?と思ったけれど、国とは??

中さんが、誰かからのラブレターを嬉しそうに読んでいる。この時だったかな? 左上のほうで男性が手紙を書いている。咳をごほごほして背中を丸めている姿はまるで浪人生のようだ・・・と思ってしまった。彼は途中で手紙を紙飛行機にして飛ばす。何度も飛ばす。最後は身体ぐらい大きな紙飛行機を飛ばす。この人が誰? 中さんも手紙を紙飛行機にし始めたから、たぶんこの二人はなんらかの関係がある。時代を超えた同一人物か。いや、性別違うし手紙だから、たぶん男性は中さんに手紙を出していた人で、シンクロしているんだろうな?

さて、そんな地下壕もついに本来の使い道の日がくる。大雨が降ってきたのだ。慌てるみゆきさんと中さん。「なんで出口が塞がれているの?」と驚くみゆきさん。大量の水が地下壕に流れ込んでくるのも時間の問題という感じ。

みゆきさんと中さん、行政からの退去の手紙を読んでびびりまくる。

中さん、「二度と生贄にならないために、困った時は緑の手紙を読みなさい」みたいな手紙を発見するが、そんな手紙は見つからない。捨てちゃったんじゃないの? というみゆきさん。

舞台中央に大きな扉が現れる。そこには草が生えている。中さん(猫の生まれ変わり)しか見えないもの、たぶんこの扉こそが緑の手紙なんだろうな。もっとも、舞台上には緑の建物のお店があったから、そっちに秘密が? とも思ったんだけど。

その扉が少し開く。

「え!?」

明らかにゼロ戦と思われるプロペラが見える。そこからたぶん突撃隊と思われる人が現れ、一緒に地下壕にいた警官にゴーグル付き帽子を手渡し去っていく。たぶん霊魂(?) いや、警官の前世かもしれない。先に手紙を書いていた男性は、もしかしたら突撃隊が書いていた遺書かな? でも、紙飛行機を作って遊ぶ当たり、彼はとぶん突撃していないと思う。

そして扉が全開すると、舞台の中央に巨大な緑色のゼロ戦が!横幅が舞台の半分以上を過ぎているようなもの。おいおいおい、夜会らしからぬ展開に驚く。

ゼロ戦に乗り込む警官。しかし、みゆきさんと中さんは乗らない。中さん「私、大きいから」。これは自分が乗ることで飛行機が飛ばずみんなが死んでしまうことを恐れてのことなんだろう。ごみを入れる柵の中に入って出てこない中さん。みゆきさんは一度飛行機に連れて行かれるが、結局中さんと一緒に柵に入る。まるで猫が入れられた籠のようだ。中さんは「もしも人間だったらみゆきさんを救えたかもしれない」という歌を1幕で歌っていたからみゆきさんを救うために犠牲になろうとし、「みゆきさんは次こそは一緒に」と歌っといたから一緒に柵に入ったんだろう。

警官はゼロ戦に柵をロープでくくりつけ、二人を助ける。そしてなんとゼロ戦が宙に舞う。ピアノ線?で吊あげられているのだ。ここで幕が降りて終演。

正直、この終わり方には少しぽかーんとした(笑)。しかし、よくよく考えてみると感慨深いものがある。何度か歌われていた「国を裏切り~」の唄は、もしかしたらゼロ戦特攻隊員のことだったのかもしれない。咳き込みながら手紙を書いていた男。手紙を紙飛行機にして飛ばし少し楽しそうだった。彼は飛行機が好きでパイロットになったのかもしれない。そしてお国を守るための生贄にされ、最後の手紙を書いていた。でも彼は特攻に行かなかった。だからゼロ戦は格納庫に残ったままだった。そして国を裏切った者とされた。家族を裏切ったのが橋脚に娘(たぶん)を生贄として捧げた男(たぶん父)ならば、国を裏切ったのがパイロット。

でも、人殺しの道具でしかない飛行機が、時を経て、人を救うことに使われる。少なくとも三人の命を救うことになった。もし特攻に参加していたら、三人はおぼれ死んでいただろうから。

男は昔は娘(家族)を、そのあとは国を裏切ったけれど、最後はみゆきさんも中さんも救出できているという点が救われている。みんながみんな、辛い経験、後ろめたい経験をしながらも、現世では見事に思いを果たしているということなんだろうなぁ。昔々のように川深くまで沈んでしまう前に逃げられたわけだし。

とはいえ、そこまで考えが及んだのは終演後で、見ている時は「ぽかーん」だったけど(笑) だってぇ~巨大なゼロ戦だよ!!

ちなみにこのゼロ戦で脱出した三人が、現代の自衛隊のレーダーに映って・・・どうなったかは知る由もない(笑)

気になったのは、警官の男の名前。なんか、言ってたよね? 言い間違え? してたよね? 普通の名前とは別の名前を呼ぶシーンが2度ほどあったような。。。ただし思い出せない。

音割れで聴きとりにくい歌詞があったし、台詞少なめの歌多めだったから、一度の鑑賞で理解するのは並大抵のことではない。まあ、夜会のジレンマというか、歌を減らして台詞を増やせば「もっと歌を!」とか「説明っぽい」とか言われてしまうんだろうけどね。

最後に。今回の夜会のテーマは何であろうか? 確かに、パンフレットには「捨てる」「捨てられる」とあった。それは昔々の話なら分かりやすい。彼女は家族、あるいは部族、生きている町に捨てられたのだ。多くの特攻隊のパイロットの命、生きたいという気持ちも国によって捨てられたといっていい。そういう意味ではスケールが大きい。

ただし、それだけでは夜会のタイトルである「橋の下のアルカディア」を説明するには不十分な気もする。橋の下には捨てられた者たちがいつの時代にもいる。物は必ずしも近くで見たからといって、それが何者であるか分かるとは限らない。遠くから見れば川だけれど、近くで見ればそこはアルカディア(楽園)なのかもしれない。それはどんな生活をしていようとも、傍からは憐みの言葉ばかりかけられる人生でも、本人にとっては捨てたもんじゃない生き方であるかもしれない、とみゆきさんが言っているようでもあった。

追伸.....赤坂ACTの出待ちは入口の反対側。初日、みゆきさんが出られたのは23:40頃でした。

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