管理人の映画/ドラマの感想リスト
感想の中にはネタバレ記述が含まれています。あらかじめご了承ください。
更新日 タイトル 映画/TV 評 価

2022/4/10

小説の神様

映画 A

一度だけ賞を取った大学生小説家は、文章を書くのはうまいが、ストーリー展開がいまひとつで、その後、書けずにいた。
一方、人気小説だが、しばらく書いていない女性小説家が登場し、二人はとある編集者の紹介で一緒に書くことになる。 偶然にも二人は同じ大学の学生で、女性作家は文学部に後から入ってきた。

女性作家は、口頭でストーリーをすべて少年作家に伝える。その内容は完璧なものだった。少年はなぜ自分で書かないのかと 疑問に思いつつも、共著として出版する。それがヒット。 これで少年作家が自信を取り戻す。処女作の続編を書き、出版社に持っていくことに。担当の編集者の反応もよく、これは続編の出版が とんとん拍子で決まったかに見えた。

しかし、それではドラマにならない。一度上げておいて落とす…。この落差がフィクションの基本。 期待していた続編が出版できないことが分かり、落ち込む少年作家。女性作家との共著も放り出してしまう。

そんなとき、大学の国語のテストで小論文が。女性作家はテスト中にガタガタ震え出し、倒れてしまう。 それこそが彼女がしばらく小説を書いていない理由であった。彼女は作品の誹謗中傷をネット上で書かれることで、精神的にペンを持てなくなってしまっていた。 それまで偉そうにしていたのが、とても弱弱しい演出になっていて、そのギャップもお見事。
ふたりは、共著を再び書き始める。ふたりはお互いに相手を必要としているパートナーなのだ。 入院している少年の妹が彼女のファンであることや、二人の作品を楽しみにしているところも、動機づけとしていい。

小説を書くことの楽しさ、苦しさ、そして成長していく二人。それらが詰まったよい作品でした。

2022/4/10

ジオラマボーイパノラマガール

映画 A

高校を中退した少年は、街でナンパした風俗嬢の彼氏?にぼこぼこにされる。
その帰り道、ふらふらになって倒れたところを、通りがかりの女子校生に介抱される。 この少女は、なぜこの少年を好きになったのかは分からないが、とにかくこの出会いで好きになってしまった。
少年は、彼女の紹介でシティホテルのスタッフになるものの、 風俗嬢が客を取っているのを見ると、内心気が気じゃない。

風俗嬢の友達が出るライブのチケットをもらう少年。少女は少年の姉からチケットをもらう。 ここで一緒に行く約束はしていないのがみそだなぁ。
少年が来ることを待っていると風俗嬢が現れて、リップを塗って大人っぽくしてくれるんだけど、 少年はライブ会場に来るなり、風俗嬢とイチャイチャ。
女子校生の少女は傷心で、大学生の男と店を出るんだけれど、いきなりキスされて我に返る。

少年はついに風俗嬢と体の関係をもつが、終わった後、嘆いている。 「君は好きでもない男と、あんなことが平気でできるのか」と。
代金はツケでいいという風俗嬢は、少年から金をもらうつもりがないことを暗に言っているが、 それが少年には伝わらない。部屋を出ていく少年。残された風俗嬢は薄っすら涙。 こんな仕事をしているから、本気で好きになっても、好きだと信じてもらえないんだ…という悲しさなんだろう。

少女の誕生日に、彼女の友達が少年を呼び寄せて二人は建設中の建物の中で一晩過ごすものの、ここでは何もなかったと思う。 ただ、少年が少女を覚えていないことに少女はショックを受ける。自分だげが舞い上がっていた。恋愛でよくあることなんだけど。 でも、朝、ひとりでビルから出た彼女を追いかけてくる少年。ここから、たぶん二人は付き合うんだと思う。

愛する人には他に愛する人がいて、その人にも他に…。愛する人が自分を愛してくれるって奇跡だよね。 という思春期が一度は考えることを、現代風に映画にしたという内容でした。

ちなみに、タイトルの理由がよく分かりません。

2022/4/10

鬼滅の刃 無限列車

映画 A+

夢から覚めるためには、自分の首を夢の中で斬ること…となぜ炭治郎が気づいたのかが、ちょっと分からないところ以外は、楽しめました。

煉獄さんと猗窩座の死闘、そしてギリギリのところで敗れるシーン。その後、煉獄さんが炭治郎たちに残すメッセージ。 このシーンのために、下弦の壱・魘夢がとても小物に見えます。 だって、眠らせても直接攻撃をしないとか、ビビりすぎやろ!って思いませんか?

そこへいくと、猗窩座は体術で敵を殴り倒していくスタイル。リスクを恐れず敵の懐に飛び込んでいく様は、武人として尊敬できる。 ちなみに、炭治郎以外の2人も、夢の中で首を切って夢から覚めたのだろうか? 後半、鼻をすする声が映画館のあちこちで聞こえました。ストーリーも然ることながら、映像もキレイ。

2018/5/4

SURVIVAL FAMILY

映画 A

ある日突然、停電が起こる。それは自宅だけでもマンションだけでもなく、街だけでも地域だけでもなく、日本だけでもなく、全世界的に。 最終的にはある日突然回復するのだが、ただの停電でないことは薄々分かっていた。電池まで使えないためだ。 インフラが完全に停止した都心を離れ、サラリーマンで部長の父は妻と息子、娘を連れて鹿児島の実家に行こうとする。

自転車で羽田に行き、そこから飛行機に乗ろうとするが当然動いていない。たとえエンジンであっても点火には電気が使われている。それは車が動かなかったことで判明していたはずなのだが…父は正直そういう男なのだ。

電気のない世界は想像を絶した。移動手段や身近な生活環境が単に変わるというだけではない。情報がすべてストップする。一家も大阪に行けば電気が使えるという噂を信じ、大阪まで東名高速を自転車で走るのだが 当然大阪も東京と同じ状況。この状況がどのレベルまで広がっているのか誰も分からないのだ。それは自衛隊であっても同様で、北陸の原発は停止したが、他の原発はどうなのか分からないので調べに行くと徒歩で移動していたほど。 ピラミッド型の組織であっても、電気が使えなくなってしまえば、孤立する。

ちなみに、原発に関しては、電気が止まった段階で、原子炉の熱を冷やす水が循環しなくなり、暴発するのは3.11を経験した日本人ならば誰でも知っている事実。 2017年2月11日公開だから、その点について全く触れられていないのは、若干違和感があった。作品内では2年余り電気が使えない状態が続いていたようであり、確実に全世界の原発は放射線をまき散らしていたであろう

。 最終的には電気が突然使えるようになり、日常が戻ってくるのだが、サバイバルを乗り切った家族の生活は大きく変わっていた。父は職場まで自転車で通い、母は生の魚をさばく。皆が電気なしでも生きられる術を身に付けたのだろう。 電気に頼りすぎている現代社会を風刺した作品と言える。

2018/5/4

暗黒女子

映画 A

名門女子高の経営者の娘にして学園のカリスマ、いつみが何者かに殺された。その犯人は彼女が主催していた文芸サロンのメンバーの誰かであると噂された。 定例の闇鍋会をいつみに代わり主催するのは副会長の小百合。
文芸サロンには他に4名の部員がおり、ひとりひとり、短編小説を発表することになる。 その小説の中に、真実が含まれており、いつみを殺した犯人を炙り出せるのでは推測する小百合。

学園一の秀才で特待生だが、実家が貧しい美礼は学園で禁止されているバイトを、尊敬するいつみに隠すことができず告白をし、いつみの実家で家庭教師として 雇ってもらうこになるという小説を発表する。最後に、敬愛の印としてバレッタをいつみから貰ったとも。 しかし彼女のバイトは告白ではなく単にいつみによって見つかったため脅されていた。その弱みに付け込まれていたのだ。

高校生作家の志夜は、文芸サロンの格を上げるために利用された。ただし、彼女が受賞した作品は海外の古い作品と瓜二つであり、もし海外向けに翻訳されたら 盗作であることがばれてしまうという弱みを握られていた。 同じように、料亭の娘のあかねは実家に放火したところを目撃され、ブルガリアからの留学生のディアナは姉殺しに気づかれ、皆が表向きはいつみを敬愛しているように 振る舞いながら、実は脅されていた。つまり殺人の動機があった。

やがて彼女たちの反撃が始まる。いつみにはブルガリア留学時に同行した北条先生と陰で交際しているという弱みがあった。北条の子を身籠ったとき、 文芸サロンの部員たちは復讐の機会を得る。病院でバイトをしていた美礼はいつみが妊娠しているのを密告し、ブルガリアで一緒だったディアナは現地でデートしていた 北条との写真を提供した。いつみの父といい関係になっていた志夜は父に最も簡単に密告することができる人物であるし、あかねはいつも作っていたケーキに毒を入れることができる人物であった。

しかし、なぜかわからないが、いつみは生きていた。屋上から飛び降りたはずなのに。そのトリックは明らかにされていない。 いつみを誰よりも敬愛する幼馴染の小百合といつみは裏切ったこの4人に対して復讐を行った。彼女たちは学園内で殺人犯かもしれないという目で見られることで苦しみ、 そしてこの闇鍋会でも小百合の一言で毒殺される恐怖を味わった。

しかし、本当にいつみを殺したのは、他ならぬ小百合であった。いつみは美しく、優雅で、知的で、絶対的なオーラをもったカリスマであったからこそ、小百合はその腹心として 様々な計画を立案、そして実行してきたのだが、いつみが北条ととても細やかな幸せ、例えば近所のスーパーで安い物を買って二人で食べたということを幸せそうに話す姿を見て、 彼女に対する敬意は消え、逆に彼女に取って代わろうという野心が芽生えたのだろう。 小百合を信頼しきっていたいつみは、あっけなく彼女によって毒殺され、そして切り刻まれて闇鍋の具材となる。 人の表と裏の顔が、語られる人によって炙り出されるところに見ごたえを感じた。

2018/3/11

22年目の告白 −私が殺人犯です−

映画 A

時効を迎えた連続殺人事件。現在は凶悪犯罪には時効はないが、この事件が発生したのはその法改正がされるまさに直前であった。
5件の被害者の親族である刑事・牧村の前に、ある日自分こそが犯人であると名乗る男・曽根崎が現れる。彼は事件の顛末を書いた書籍を発行、 日本中にセンセーショナルを巻き起こした。憎きこの男に吠える牧村。

しかし、真犯人を名乗る男が現れ、流れは一変、どちらが真犯人かという展開に。テレビ出演した覆面男は肩に拳銃で撃たれた跡がなく、真犯人に 雇われたネット民であることが判明。確かにこの出方や覆面を剥がされたときの「誰?この俳優」って感じからして、明らかに真犯人ではないのは分かったけど。

真犯人は身近なところに。事件直前に戦場から戻りその後事件の取材にあたり、かつキャスターとなった仙道であった。彼は戦場で仲間が目の前で 絞殺され、そのトラウマからの犯行であったのだ。曽根崎(当時は小野寺)が牧村刑事の妹にプロポーズしていたことを知っているのは本人と牧村刑事、 そして犯行現場で指輪を手に取った犯人だけであり、それが犯人の決め手になる。

真犯人を名乗る男が現れて、曽根崎が何をしようとしているか気づいてしまったので、ちょっと興ざめした点はあるが、牧村と曽根崎の策が失敗し、 真犯人を名乗る男が偽物だった時には迷宮入りじゃないかと思わせてくれるところからの、真犯人へのたどり着きがスピーディーでいい。

2018/3/11

ぼくは明日、昨日のきみとデートする

映画 A+

感動恋愛小説のようなものだと甘く見ていた。 映画の中で、電車の中で小松菜奈に一目惚れする福士蒼汰。あ、その気持ちわかる。僕も一目惚れした(笑)
小松演じるエミは、他の世界からやってきたという。そこはなんか引っかかる設定ながら、二人の時間軸は真逆に流れていて、 5年のうちに30日だけ、共存できる日にちがあるという。

よくあるタイムスリップものかと思ったけれど、この30日間は、毎日午前0時に彼女がリセットされる(1日前の彼女に戻る)ということ。 さりげなく言われた門限が24時でシンデレラみたいでしょ? という台詞にはそういう意味があったのか。

30日間、福士蒼汰によっての初日は彼女の30日目、二人が会える最後の日だから、涙ぐんでしまうエミ。初めは事実を知らない福士蒼汰だったが、
彼女の日記を見てしまうことでその事実を知る。 予定された通りのことを笑顔でこなしていく彼女に違和感を覚え、一度は冷たい対応をしてしまうものの、エミもまた涙ぐんでいたこと、 辛かったことに気づいて、二人の絆は更に強いものに。

でも、時間軸が逆ということは昨日の記憶を共有していないということ。そしてこの30日が過ぎれば次に会えるのは5年後で、 恋人の二人が20才だから、次は25歳と15歳、次は30歳と10歳といった具合に、どんどん離れていくということ。 もし出会ったとしても、他人として接しなければならないということ。辛すぎる…。

ただ、「二人はすれ違ってなんかいない。円のように繋がっている」という彼の言葉には、僅かながら救われた。というのも、二人はそれぞれ、 30代の時にそれぞれの5歳の相手の命を救うことになっているから。つまり、その存在自体がかけがえがなく、この出会いは必然だったともいえる。

とストーリーはこんな感じだけど、ナチュラルメイクの小松菜奈が可愛すぎる! 普段の真っ赤なルージュよりこっちのほうがええ!と思ったのは私だけだろうか??

2016/12/29

アナと雪の女王 映画 B

エルサの周りを凍らせる力は絶大だが、コントロールが難しいようで…。
これって、悪い夢でも見ていたものなら、一夜にして国が滅びそうなんですけれど…。

イケメンと恋に落ちる妹・アナ。二人の結婚を許さないエルサ。そのやり取りの中でエルサのグローブをアナが取ってしまったため、 エルサの力が暴走。真夏の国には雪が降り、人々はエルサをモンスターと恐れた。

アナがエルサに会いに行くでトナカイと男と出会う。彼に協力してもらいエルサのもとについたものの、エルサは国に戻ることを拒否。
アナを傷つけたくないというも、自分の力で結局傷つけてしまう。

アナは魔法によって命の危険に晒される。真実の愛でしか治すことはできないという。結婚を誓ったイケメンのもとへ届ける男とトナカイ。

しかしこのイケメン、実は国を乗っ取ろうとしていただけであった。そのため、キスを求めるアナを部屋に閉じ込め、暖炉の火も消す。
そして死んだことにする。
これでエルサを殺せばこの国は自分の者ということになるが、牢獄につながれていたエルサは脱出していた。

そしてクライマックス。アナを助けるために男とトナカイが国に戻る。
イケメンはエルサを殺そうとする。しかしぎりぎりでアナが割って入る。その瞬間、全身氷になり、イケメンの刃物を砕く。
え!?と思うシーン。
エルサの愛によってアナの氷は溶け、更に国中の氷も溶けていく。つまり心のドアを開くことで冷たい氷は消えるということだろう。

一件落着、ハッピーエンドになるわけだが、やはりアメリカ映画だなぁと思うのは、国中の人たちが手のひらを返したようにエルサを 受け入れているということ。確かにこの国の王女ではあるけれど、モンスター!とか言っていたのをみんなけろっと忘れているところに ストーリーの雑さを感じてしまう。

ディズニーの定番のストーリーの流れも読めてしまい、サプライズがないのが残念であった。

2016/12/29

僕だけがいない街

映画 A-

男には特別な力があった。
近くで事件・事故が起こると時間が巻き戻される。
それはまるで神が男に「やり直しをして人を救いなさい」と言っているかのようだ。
その力は冒頭のトラックの心臓発作から女の子を救ったところでうまく説明されている。

母と彼女とモールで買い物をしていたときにも同現象が起こるが、このときは男は原因を見つけ出すことができなかった。
ただ、母が幼児を連れだそうとする男を見つけ、それが未遂に終わったことでこの繰り返しは終了する。

このことが原因だからなのか、母が殺され、彼女の家が放火され、男は犯人と間違われて捕まる直前までいくが、 このとき戻ったのは数時間、数日前ではなく小学生のころ。
戻りすぎ!(笑)

ただ、そこで起こっていた幼児失踪事件を解決することが今回の一連の事件を解決することに繋がるということに気づき、 母が殺されるのを防ぐため、疾走するはずの幼児を救うよう努力する。一度は失敗し現代に戻るものの、 再度小学生に戻り、一人の女子の命を救うことに今度は成功。
それでも現代は完全ではなかった。まだ母の命を救えていない。

数年前にいなくなった幼児は一人ではなかったので、他の子も救わなければならないことがわかる。
そこで浮かび出た真犯人は実は担任の先生。二人きりしかいない車の中でその推理を披露するあたりあまりに危険すぎるのだが… 案の定、橋から落とされてしまう。
それでも助かったからだろう、現代に戻った男はまだ生きていた。

自分の地元(北海道)での連続誘拐事件を防げたことで母は死なずに済んだが、好きだった彼女とは他人になってしまった。
自分が結婚していたのは、初めに救った女の子。まあ、それでもいいと思うのだが複雑な心境になる。

そして真犯人である先生を、弁護士になった同級生の力を借りて追い詰める。
先生は自殺しようとするが、取っ組み合いになり、男は首を切られて亡くなる。

この手の話は、だいたい日本ではラストで主人公が死んじゃうよね。ハッピーエンドになりそうでならない。

犯人が先生であることはほぼ確定ぐらいの流れであったし、スリリングな展開とも言えない。
ひねりも不十分というか、それほど大きなサプライズもない。
しかし最後まで飽きずに見ることができたのは、それなりに楽しかったからだろう。

2016/12/29

INITIATION LOVE イニシエーション・ラブ 映画 B

ブ男が合コンで美人と出会い、しかもその美人からお誘いを受けてイケメンに変身という話かと思うスタート。
ブ男が「美女のために痩せる!」と宣言し、次のシーンで美女が男に買ったシューズをはいて走っている映像が流れる。
男、超痩せて美男子になっている。どれくらい時間がたったのかわからないが、スゲー変化と思う。
立ち振る舞いも変わり、車も変わり、イケメンはぐいぐい美女を抱く。もはやブ男の片鱗もない。

イケメンは静岡から東京へ仕事のため移るわけだが、ここからすれ違いが始まる。
現地の女性とも付き合うようになり、静岡に残した美女を妊娠させては下ろさせ、癇癪起こして叩いて…やっていることは最低だ。

しかしラストのラスト、イケメンは東京で出会った美女の豪邸(両親に紹介されている)から静岡へ車を飛ばす。
その日はクリスマスイブ。静岡の美女と会う約束をしていたのだが、一方的に分かれたからその約束をまだ信じているかもしれないと思い、
ホテルへ向かうのだ。

ここで衝撃的事実が!元のブ男だと思われていたイケメンは実は別人。ここから走馬灯のような種明かし。

美女が日焼けしていたのは、ブ男たちグループと海にいっていたからで友達とではない。
ブ男に迫る美女が「女の子の扱いが得意な格好いい男は嫌い。誠実な人がいい」といったのは嘘ではなく、
イケメンに散々な目にあったからの発言。
美女の家に分厚い本があってこんな高い本を買いやがってとイケメンは激怒するが、それはブ男から借りたもの。
ブ男がイブの夜のホテルの予約を取るとき、ちょうどキャンセルが入っていたのは、イケメンがホテルに電話をしたものだった。

すべてが視聴者を誤解へ導く伏線というわけ。

そして最後に、静岡のホテル前に現れたイケメンを見て、すべてを悟り冷たい笑みを浮かべる美女。
「あら、こんなとこで何をしているの?」と言いたげな表情。
いやはや、恐れ入った。

ラストのどんでん返しは面白いものの、そこまでの過程が低調であったため、渋めの評価としました。

2012/8/14

インモータルズ -神々の戦い- 映画 B-

昔、神々の間で戦争があった。勝者はゼウスたちオリンポスの神、そして敗者はタルタロスの地下に幽閉された。その際、なんとかの弓という強力な弓が勝利に貢献したそうだが、それはギリシャの神殿に隠されていた。

仮面で顔を隠した強力な敵がやってきて、主人公の村を襲う。母は目の前で首を切られて殺された。

一度は奴隷になる主人公だが、巫女に助けられて脱出、神の力もあって困難を乗り切る。

ただし、敵は強大で、ギリシャの巨大要塞に押し寄せてきた。途中、巨石の中から弓を手に入れる主人公だが、敵に奪われてしまう。

敵はその弓を使って要塞の入口を破壊、総崩れになりかかるギリシャ軍を主人公は鼓舞して立ち直らせる。

最後は、タルタロスに幽閉された敗者の神の封印を、敵のボスが解放する。神が人間界に介入することをよしとせず、介入したアレスを殺したゼウスだったが、敗者の神が復活したことで下界する。そこで戦うのだが、個体としては圧倒的強さを誇るものの、数に勝る敵の神によって、仲間達が次々殺されていく。娘のアテナも深手を負ったため、山を崩壊させて敵の神の頭上に落とした上、人間の敵兵は雪崩となった土砂に押しつぶされて、戦いはギリシャの勝利に終わる。

ラスト、雲のように見えた上空では、オリンポスの神と封印されていた神々との戦いが繰り広げられている。一方、地上では勝利したギリシャに平和が訪れていた。

残忍なシーンが多く、私はあまり好きになれない作品。ストーリー性も乏しい。

主人公の仲間は結局巫女を除いて全滅するし、巫女とは割と簡単に交わってしまうし…。戦いの最中に、巫女の予知能力を失わせるような行為をするのはいかがなものかと(まあ、明日生きているか分からないという状況であれば、それも理解できるが)。

弓は簡単にゼウスによって壊されてしまうし、だったらそんなやっかいな弓は初めから人間界に置いておかないで、壊してしまえばよかったのに…と考えてみたり。前の戦争でなくなったということらしいけれど、だったらだったらで、人間がその弓を発見した時点で壊せばよかったのに……とか色々考えてしまった。

今ひとつストーリーに深みがなく、戦う宿命的なものも感じなかったので、自分としてはこの評価。

2012/8/14

王様ゲーム 映画 B

ある日、ある学級のメンバーに突然王様からメールが届くようになる。その命令に背くと存在自体を消されてしまうということなのだが、超常現象からして人間のできることではなく、イコール霊、呪いの仕業と言うことになる。

それならそれで、デスノートのように悪魔を出してもいいから、論理的な駆け引きでクラスメートを救ってくれればよいのだけれど、「お前なら止められる」とクラスメートが期待し、消えていく中、主人公の男子と幼なじみの女子、それに鋭い女子クラスメート、頭のいい3人組、主人公の男子がかつて命を救った男子のみが残るようになる。

ここで、王様が主人公男子と考えた頭のいいグループは、廃校に呼び出し主人公を殺害しようとするが、主人公の仲間の男子の機転で消されてしまう。しかし、この男子もルール違反をしたということで消され、ついに残りは3人に。

まあ、最後は幼なじみの女子が王様(本人自覚なし)ということになるんだけれど、この子を殺そうとする主人公男子や頭のいい子も結局、しょうもない理由で消されてしまい、幼なじみの女の子だけがのこる。ここで初めて自分が元凶だと気づき飛び降り自殺を図るが、結局数ヶ月後、他の学校で生徒として存在しているこの女子。

新しい学級で王様ゲームが始まることを示唆している。

ストーリーの中に、思ったほどプライズがなく、サプライズとして用意されていたネタ(過去数件、突然メンバーが消えた学級が新聞記事に残っていた)も、王様によって消されると存在自体が社会から抹消されることを考えると、そもそもこのような記事があるはずもなく、これは王様(呪い)の作り出したトラップであることを割と簡単に見抜けてしまったので、なんだか予定通りに話が進んでいく感じだった。

漫画や小説ではそれでもいいとして、映画化する際は、もう少し王様と対決してほしかったかな。

どうやったら王様ゲームをに終止符を打つことができるか、どんでん返しのどんでん返し、そのたたどんでん返しぐらいがあったらよかったのに…。今回のストーリーは、小さなどんでん返しがラストに1つあっただけだった。

2011/8/28

ムーラン・ルージュ 映画 A+

ショーのダンススターにして高級娼婦のニコールキットマン(役名忘れた)と、名もない作家の恋愛話。女にとってベストフレンドは、若さが失われると共に去っていく男ではなく、永遠の輝きを持つダイヤや宝石、と歌うニコール。しかし、作家を自分を指名した公爵と間違えてしまい、ステージ奥のベッドに誘ってしまう。

そこで、作家の詩を聞き恋に落ちてしまうのだが、彼女を指名した公爵がそこに入ってきたので、それを誤魔化すために作家と新しい部隊のリハーサルを急遽始めたと嘘をついてしまう。公爵がスポンサーになり多額の資金をムーランルージュというその建物と彼女にかけるのだが、その目的は当然のことながらニコールと関係を持つこと。いや、公爵も本気になっているため、妻として迎えること。

ニコールは、男を作家デビューさせるために、パトロンである公爵と関係を持つことを伸ばしながら舞台の練習を続ける。二人の恋愛は禁じられた関係であり、二人は舞台で台詞や歌を交わすことでお互いの気持ちを伝え合う。

しかし、やがてニコールと作家の親密な関係が公爵にばれてしまう。公爵はもし今夜自分の所に来なければ作家を殺すと脅す。ニコールは作家のために公爵の元に行くが、恋愛感情を持ってしまったために、これまでのように他の男に抱かれることがどうしても耐えられない。結局、公爵のところから逃げ出してしまう。

いよいよ魔の手が作家とニコールの元に忍び寄る事態となり、二人ショーを捨てて逃げだそうとする。お互いがいれば、他は何もいらないと。しかし、寸前でニコールの命が残り少ないことをムーランルージュの支配人から聞かされるニコール。その事実を隠し、逃亡直前に公爵の元に戻ると告げるニコール。困惑する作家。

ニコールのショーの初日が始まる。内容は公爵によって変えられてしまった。そこへ作家が現れ、突然舞台に上る。公爵は殺し屋に作家を殺させようとするが、舞台の仲間の活躍もあってなんとかそれを阻止。舞台の台詞や歌を使い、自分の気持ちは本当は変わっていないと伝えるニコール。作家と抱き合う。

しかし、終演のためカーテンが閉まったとき、その奥で遂に倒れるニコール、命を落とす。作家はこの事実を作品として一気に書き上げる。

「女のベストフレンドは金目の物」と歌っていた娼婦が、作家と出会い「愛し愛される人生が最も幸せ」と、自分達の気持ちを隠しながら歌う姿がステキだ。しかも、常に相手のことを考えて行動している。逢い引きするにしても、別れを切り出すにしても。

ちなみに、ニコール・キットマンがみゆきさんと度々顔が似ているのが個人的にはツボであった(笑)

2011/8/28

塔の上のラプンツェル 映画 A

光る花の前で歌を歌うと、花びらは光り、そして時間が遡る。よって年齢も若くなる。それを独り占めしている老婆がいたが、国の王妃の病気を治すために兵士達がその花を発見し、水に煎じて王妃に飲ませてしまう。すると、王妃の病は治る。その後、娘が一人生まれるのだが、彼女の髪は金髪で花の魔力が封印されていた。

老婆は生まれて間もない姫(ラプンツェル)を城から浚い、誰の目にも付かない森の奥の塔に封じ込め、自分の子供として育てる。成長した娘は外に出たいと言うが、「お前の髪を狙う輩がいる」「外は危険」といって、幽閉を続けようとする。

しかし、盗賊の男が城から盗んだ冠を持って逃げている時に、たまたまこの塔を発見し、二人は出会うことに。娘は冠を隠し、自分を外に出し、そして毎年自分の誕生日に無数の光りが天に昇る場所までエスコートしてくれたら返すという。

盗賊はしぶしぶ姫を外に出すのだが、運悪く老婆に見つかり、更には盗賊仲間も老婆にそそのかされて追われることになる。

洞窟で絶体絶命の時に歌で髪を光らせ明かりとし、脱出するところなどは、ありがちだがなかなかうまい使い方だ。やがて二人は恋に落ちるのだが、そこを老婆に見つかる。

老婆は、盗賊が欲しいのは冠だけでお前への愛は偽りだと言う。冠を渡し、試してみればいいという。姫は盗賊を信じて冠を盗賊に渡す。盗賊が自分を一人残し、船で去っていくのを目撃し、愕然とする姫。しかしこれは老婆の策略で、盗賊仲間に盗賊を襲わせ船に縛り付けて湖(?)に出す一方、盗賊仲間も不意打ちで倒してしまう。

そして姫には、「だから言っただろう。みんなお前の力が欲しいだけなのさ」と囁く老婆。老婆(ここではまだ実母と思っているラプンツェル)の言うとおりだったと泣く姫だが、塔に戻った後、「自分の力をずっと使ってきたのは老婆」で、しかも「自分は赤ちゃんの時に誘拐された王女」ということに気づく。個々は若干強引な気がしたが、誕生日の光りの祭典は王女を偲んでのものということと、冠を付けたときあまりに似合ってしまったから(?)で、自分の本当の両親は王宮にいると直感したらしい。

かくして老婆と戦うことになるのだが、姫を助けに来た盗賊も老婆の不意打ちにあって刺されてしまい絶体絶命の危機。ラプンツェルは老婆の言うことを聞くから盗賊の傷を神の力で治してあげたいという。しかし盗賊は、ラプンツェルが老婆に一生縛られて生きることに耐えられなく、魔力の封じ込められた髪をバッサリ切ってしまう。

切られると魔力を失う髪は金髪からブラウンへと変わった。髪の魔力で時間を戻していた老婆は急に老け始め、塔から落ちて死んでしまう。これもありがち。

こうしてラプンツェルは国王・王妃の元に帰ることができたのだが、気になるのはラプンツェル自身の証拠になるであろう髪が真っ茶色でも、両親はなんの疑問も感じず受け入れてくれるというのがなんともな気はした。誘拐されてから18年間経っているから、顔だけじゃ当然分からんと思うのだが、細かいところは気にしないのがアメリカ映画。

2011/3/20

アマルフィ 女神の報酬 映画 A-

ひょんなことで、誘拐事件の父を演じることになった外交官役の織田裕二。しかし、彼は要人を守るスペシャリストであり、常に冷静にして洞察力に優れている。

身代金の引き渡し場所の監視カメラが全てひとつのセキュリティ会社で管理されていること、人が通っていないのに蝋燭の火が揺れていることなどから、画像がすり替えられているということに気づく。しかし、そううまくいくかな…とは思ったけれど。。。景色に溶け込んだ人だけを消す場合、通常は別の時間にとった静止画を当てはめたりすると思うが、物はともかく他の歩行者などが画面の中に入ってくればすぐに分かってしまうトリックだからなぁ。

さて、犯人は誘拐した子供の声を聞かせることはできないが、生きている写真だけは携帯に送ってきていた。私は、犯人は人が多く住んでいる場所にいるから大声を出されるとまずいためと思ったが、顔見知りの犯行だったのね。。。危害を加えられていないことを考えると、そもそも子供は自分が誘拐されていると気づいていない可能性も。

最終的には、これは日本の外務大臣の暗殺計画に繋がる。外務大臣がイタリアに来る日が一日遅れたため、犯人側の動きも一日ずれてしまった(クリスマスに間に合わなくてごめん…と首謀者の日本人が誘拐された子の母にいっている)ことで、犯人の本当の目的に気づく主人公。

しかし、子供を助けたい一心で、セキュリティ会社のシステムを止めてしまった母。それによってシステムをハッキングする犯人達。大臣および大統領のパーティのセキュリティシステムはダウンする。また、交通網は麻痺してしまう。

元々、母と首謀者は知り合いでもあったため、「死なないでほしいと伝えてほしい」と主人公に言う母。この状況でそれを言えるか本当のところ疑問だった。自分の子と自分を犯罪に巻き込んだ男を、たとえ知り合いといえども簡単に許せるはずがないと考えるのが普通だろうから。

犯人達は日本の外務大臣のパーティに紛れ込み、そして大臣に銃を突きつける。それは数年前、大臣の判断で援助した金が軍事政権に流れ、そして主人公の妻およびその仲間を殺してしまったことへの復讐であった。大臣および日本政府は、邦人の死を隠していたため、パーティーに集まったカメラの前で大臣に白状させ、そして殺すのが犯人の目的。

っていくらなんでもそこまでするか…とは思ったが。

「死なないでほしい」という誘拐された子の母の言葉を伝え、更に真実を明らかにするためには、大臣を殺してはならず、また犯人も死んではいけないと主人公に諭され、銃を下ろす犯人達。

主人公は、次は南米へ渡るらしい。

若干、途中中だるみ感があったのは否めない。もう少しスピーディな展開でもよかった気はするが、話としては面白かった。

2011/3/20

インシテミル 7日間のデス・ゲーム 映画 A+

時給10万円を超すアルバイトは、単に24時間監視されるだけ。そして7日後、報酬は支払われる…。ただし、生きて帰れるかは別問題だが。

密室に素性を互いに知らない10人の参加者に10体のインディアン人形。これはアガサ・クリスティの有名な小説、「そして誰もいなくなった」をモデルにしていることは分かる。違うのは多数決によって投獄出来ることや、ロボットがいることぐらいだろうか?

参加者はまず、夜になったら自分の部屋に戻らなければならない。巡回しているロボットに見つかると殺されてしまう。更に部屋には鍵がかからず、ひとりひとつずつ、武器が用意されている。それはナイフからボーガン、拳銃等々。変わったものとしては、死体置き場の吊り天井のリモコンまで。

主人公はコンビニでバイトの本を読んでいる時に女性に声をかけられ参加する。

二日目の朝、いきなり男がひとり死んでいる。これは夜中に廊下を出回っていてロボットに排除(殺された)のだと私は思ったのだが、参加者は誰もそうは思わず、銃殺されていることから拳銃の持ち主が犯人だと決めつけ、そして武器を確認せずに研修医(実際はハッタリ)の男の言葉を信じて、ひとりの男を投獄してしまう。

これで一安心かと思いきや、今度は世田谷のおばさんが殺されることに。犯人は、若い女。彼女はおばさんが園児虐待をしていた人と勘違いし、恐ろしさのあまり殺してしまったのだ。

しかし、投獄しても殺人を防げなかったことに参加者たちは更にパニックに。

そうこうしている内に、吊り天井で研修医が死ぬ。リモコンを持っていた男が疑われ、研修医の彼女が男を斧で殺す。そして女は自殺。二人はここを出たら結婚する予定だった。というか、自殺はしなくても…。これは映画の時間短縮のためだろうな。。。

若い女がおばさんを殺したことに気づいた主人公は若い女の部屋へ。しかし、逆に毒薬(しびれ薬?)を飲まされ、部屋を這って逃げ出す。男を追う女。毒薬は初めに死んだ男の武器で、女の部屋にあったのは銃のような武器。この時点で、この女の死に方を直感しました。はい、巡回してきたロボットに射殺されます。主人公の男は、間一髪で自分の部屋に逃げ込みセーフ。

さてさて、人数が調子よく減ったところで、残っているのは主人公と年配の男性、そして主人公を誘った若い女。三人はそれぞれ武器を出し、お互い危害を加えずにここを出ることを約束するが、テーブルに置いておいた銃がなくなっている!! そして年配の男が銃殺されている姿を発見!

いったい誰が!? 視聴者は主人公と年配の男性以外に生き残っているのは女しかいないと思うが、牢獄の扉が開いていることに気づく主人公。これって、なんだかんだいって、投獄されているほうが安全でいいっとことじゃない? って思ったんだけど。。。このシステム、ありですか?(^^;

そこにいたのは連続通り魔殺人犯。彼がリモコンで吊り天井を落とした張本人だった。通り魔と主人公がとっくみあいをするなか、女が拳銃を持って主人公を助ける。しかし、引き金を引いてはいけないと主人公。というのも、年配の男が拳銃に何か細工をしていたことを思い出したから。

しかし、通り魔は拳銃を奪うと引き金を引いてしまう。暴発した拳銃によって死ぬ。

無事生き残ったふたり+死んだふりをしていた年配の男は外に出ることができたが、ここでネタばらし。女はセンター側の人間だった。場を盛り上げるために(動画映像を配信しており、そのアクセス数を増やすために)仕事をしていたのだそうだ。なぜ最後の最後で主人公を助けたのかは言わずに立ち去られた。なんやねん。

年配の男は、息子が死んでしまったこのゲームに参加して、見事生き残った。しかし、24時間監視されていたのであれば彼の死が自演であったことはセンター側は知っていたはずで、それなら報酬を彼に支払うべきではないのか? 年配の男はバイト代をもらっていないのだ。

ちなみに、カイジの映画もそうだったが、あまりに非人道的なゲームが、普通に成り立っていて、そして裁かれないというのはいかがなものかとおもう。とはいえ、ところどころで先を読めてしまう展開ではあったが、全体的にスリリングで楽しめたのも事実。

2010/9/20

沈まぬ太陽 映画 A

国の影響力の強いナショナル・エアラインでは、勤務環境が非常に悪く、結果として航空機の不整備やパイロットの過労などで、事故を誘発する環境にあった。労組の委員長・恩地(おんち)と副委員長・行天(ぎょうてん)だった二人は、首相が外国から日本に帰国する日にストを決行すると会社に脅しをかけることで見事勝利した。

しかし、それが理由で、恩地は海外の僻地へと左遷させられてしまう。当初は2年という期限付きだったが、彼は引き続き、中東での経験を活かすという名目で、同様の僻地を転々とする。

一方の行天は、その後会社上層部と結託し、会社寄りの労組を作るなどしてその地位を固め、ついには常務にまで上り詰める。

二人が勤めていた国民航空が墜落事故を起こすと、遺族最優先で事故の係を務める恩地だったが、やがて転機が訪れる。

首相の推薦で新しく任命された会長が、会社の抜本的な改革を始めると、会長は恩地を重用するにようになる。

しかし、会社の不正が明るみに出るやいなや、首相の態度は一変する。国の監督不行届が自らの責任問題に発展する恐れがあるとみるや、会長を解任してしまう。

またもや恩地と行天の立場は逆転し、行天は上司の不正をいいことに彼を見捨て、いよいよ経営者に上り詰めるところまで来る。しかし、行天が会社のチケットを不正に現金にし、政治家その他にばらまいていたことが、恩地の労組時代の同士で行天の手下になっていたものの告発によって明らかになり、警察に捕まってしまう。

一方の恩地は、希望していた遺族係からは行天の仕業で外され、再び海外赴任(しかも辺境の地)に送られるが、既にそこに自分の生きる場所を見つけており、不満はない。

初めは同士だったふたりの対照的なその後の人生や、政治家の老獪なところ、そしてなにより信念をもった生き方がすばらしく描かれている。通産省の利権なども絡み合い、腐敗した巨大組織をなんとか建て直そうとする恩地の生き方に、漢を感じた。

2010/9/20

ヘブンズ・ドア 映画 B

脳の腫瘍のためにいつ死んでもおかしくないと宣告された男と、7歳の時から病院の外に出たことがなく、余命僅かな癌患者の女の子の話。

二人は、酒に酔った勢いで病院前に泊まっていた車を盗み、海へと向かう。天国では、海の話で今持ちきりなんだという昔話を男が言ったため。

しかし、その車には大金が詰められていた。

そうとは知らず、ガソリンスタンドでは車にあった銃で結果的に強盗をすることになり、原宿の洋服店では服を買うために郵便局を強盗することに。それもこれも、海をみたどころか、まともに外を歩いたことのない女の子のためだった。

しかし、車の所有者には当然狙われることになる。乗り換えた車で走っているところをトラックで後ろから衝突されたり、命がけで逃げまくる。

一度は警官に捕まってしまうが、少女が男のために銃で薬局の店員を脅し薬を処方してもらったこともあり、ふたりの命が終わる残り僅かな時間を有意義に過ごさせるため、警察は救急車付きでふたりを海辺まで連れて行く。これはちょっとあり得ない展開だと思ったが。。。

海辺で、男は少女の肩にもたれて息を引き取る。

終始強気な男だったが、ラスト前では「死にたくねー」と怯え、少女になだめられている辺りに、悪ぶっていても、強がっていても、弱い男なんだということが伺え、憎めないキャラになっている。

ワゴン車で崖を飛び越えて車はぐしゃぐしゃなのに、怪我一つしていないとか、あり得ないことも所々にあるものの、最後まで飽きさせない作品だと感じた。

2010/9/20

サマーウォーズ 映画 A

数学が得意な少年(健二)は、憧れの先輩女子(夏希)に、許嫁のバイトを頼まれ、彼女の家に行く。彼女は今だけでいいからということで、もの凄い経歴詐称で健二を紹介するが、すぐにばれてしまう。

それどころが、健二は犯罪者としてテレビに映し出されることに。

世の中は、とある仮想空間によって結ばれ、その空間なしでは社会が動かないほどになっていた。そこへの侵入パスワードを、健二が解いてしまったために、彼のIDが盗まれ、犯人に仕立て上げられた模様。

仮想空間内では、管理人能力をもった謎のユーザーが好き放題に荒らしまくり、社会は完全に麻痺状態に。

そこへ夏希の初恋の男が現れるが、彼は夏希一族の恥さらしというレッテルを貼られていた。というのも、家の山をかってにうっぱらい、どこともなく消えたからだ。一族の長老の婆さんに認められたくて戻ってきた男は、自分の開発したプログラムがアメリカで認められたという。しかし、それこそが、今システム内をめちゃくちゃにし、社会を混乱させているウィルスだった。

婆さんは男を追い出す。

しかし、そんなことでは済まされない。ウィルスが国のシステムに侵入すれば、それこそミサイルのボタンを押すことさえできるのだ。

ばあさんが知り合いの政治家他多方面に電話をし、国家総出で一度は混乱を沈めるが、それも一時期のもの。

ならばと大量のサーバと氷を自宅に持ち込んで、最強化したウィルスと戦いを挑み、見事屋敷に封じ込めることに一度は成功するが、婆さんがなくなり、その遺体を腐らせないためにと、ダメ男が氷をサーバ室から持ち出したためにサーバが熱暴走! ウィルスは復活する。

そこで夏希は、自分が得意なゲーム、コイコイにウィルスを誘う。その掛け金は、ユーザー数。ウィルスはもの凄い量のユーザーIDを盗んでいたため最強だったので、逆にその力の根源を除こうという作戦。

掛け率を増やすことで、少しずつウィルスのユーザーIDを削ることに成功するものの、掛け率を高く設定していたために一度破れただけで逆にピンチに陥る夏希。しかしその時、全世界から自分のユーザーIDを差し出す人々が現れる。そこで夏希は大逆転! 五光に赤タン、青タン、猪鹿蝶といった具合に凄い点数をたたき出し、遂にウィルスを追いつめる。

しかし、ウィルスは人工衛星が地上に落ちるように設定していた。それを解除するためには難解なパスワードが必要なのだが、健二が解く度に新しいパスワードが作られてしまい、なかなか解除できない。

そこは、健二と夏希、そしてウィルスを作った男の強力プレイで無事乗り切ることができ、人工衛星の落ちる場所を僅かだが変えることができ、九死に一生を得る。

キャラがとても立っていて、そのキャラごとにしっかり活躍しているところがすばらしい。最終的には、二人が恋仲になるというおまけ付きもほのぼのしていてよい。

2010/7/26

カールじいさんの空飛ぶ家 映画 A

カールじいさんが無数の風船を家にくくりつけて飛ぶシーンをパッケージで見ていたので、ほのぼの系の話と思っていたら、意外とアクションがあって驚いた。

冒険家を目指す少女は、子供のカールじいさんと出会う。カールは、少女が行きたいという滝の流れる南米のとある場所まで、自分を連れて行くようにと半ば強制的にカールに約束させる。やがて二人は成人し、結婚するのだが、どうも女性は子供が産めない体であることが、冒頭で伝えられる。子供を持たない二人はやがて老い、そして先に妻が亡くなる。

カールじいさんは妻との約束を果たすため、家ごと飛び立つのだった。

なんとか近くにまではたどり着けるモノの、浮いている家を凧のようにあげながら、歩いて滝のある崖までいかなければならなくなったカールと少年。少年は「老人の手伝いをする」ともらえるバッジのために、カールの家に来ていたところで、浮いた家に乗ってしまったためにここまで来ていた。

途中、少年は鳥と仲良くなるのだが、その鳥を狙っている伝説の冒険家がいて、大量の犬を飼って鳥を捕まえようとする。この冒険家こそ、カールとその妻が憧れていた人なのだが、この冒険家、目的のためならば人を殺す残虐な性格であった。

初めは鳥目目当てで侵入したわけではないということで客扱いだったものの、カールたちが鳥を手なずけていることを知ると態度が急変、鳥泥棒として二人を狙う。

一度は逃げることができたものの、カールの味方になった犬には発信器が付いていたため場所を特定され、ついに鳥を生け捕りにされてしまう。

カールは鳥のことなど自分には関係ないと、妻との思い出の詰まった家を無事滝の近くまで運ぶことに成功する。その頃には風船の水素ヘリウムもだいぶぬけていて、家は地面をこすりながらようやく移動できる程度だった。

カールは目的を果たしたものの、少年が勝手に風船の一部を体に巻き付けて鳥を助けに出てしまう。カールは妻の冒険の書を読む。すると、自分への感謝の気持ちと、新しい冒険へ、と書かれていた。

カールは、それまで何よりも大切にしていた思い出の家具などを家の外に出すことで、少なくなったヘリウムガスでも家が浮くようにし、少年の後を追う。自分とは関係のない、鳥を助けるために。

そこでアクションがあるのだが、ほとんど天空の城ラピュタばりのアクションだった。気球船の外壁を上る姿や、カールじいさんの家から、ホースを使って冒険家の気球船に乗り込む姿は、まさにパズーそのもの。

カールは機転を利かせることで、無事鳥を救い、悪い冒険家を森に落とすことに成功する。彼は落ちる際、幾分かの風船をもっていたので、たぶん死にはしないだろう、という感じ。

初めはロープを上れなかった小さな少年が、鳥のためならばロープを上っていく姿や、自分のことばかり考えていたカールが、過去の思い出に執着せず、鳥のために奮闘する姿は非常に好感が持てた。

2010/7/26

インビクタス/負けざる者たち 映画 B+

南アフリカのアパルトヘイト(黒人への人種差別政策)が国際的な非難を浴び、政治犯として牢獄に入れられていたマンデラ氏が晴れて自由の身になった。そして彼は、選挙で南アフリカの大統領に!

しかし、それでも白人と黒人の間の溝は深く、黒人は白人を象徴するモノを壊したがり、白人は黒人に恐れを抱いていた。

マンデラ氏は、ラグビーのワールドカップ優勝という形で、黒人も白人もない南アフリカとして国民をまとめることに成功する、という話。

かなり長い月日を独房に入れられていながら、釈放後は白人を許すマンデラ氏の姿には、尊敬の念を抱かずにはいられない。これが実話をベースにした映画というのがまた泣ける。

しかし、映画作品としての完成度としては、もう少し紆余曲折というか、黒人と白人の間の対立やわだかまりが描かれていてもいいと思う。あまりに両者が簡単に心を開けてしまっている気がする。もっと対立に対立し、ワールドカップ直前まで暴徒化しかけていた急進的な人たち(たとえばマンデラ氏を暗殺しようとする白人テロリストや、白人に仕返しをしようと企む黒人など)が、ラグビーの試合を通して助け合う、といった演出が、作品としてはあってもいいように思える。

葛藤がもうひとつ描かれていないのが残念だった。

2010/7/24

重力ピエロ 映画 A

両親に似ていない弟。能力も容姿も。それもそのはず、弟は17年前、母をレイプした男との間に生まれた子供だったから。絵の才能がある。

弟は町中の落書きを消す仕事をしていた(クライアントから依頼されているという)。しかし、それは嘘で、実は自分で描いては自分で消していた。無意味に思える落書きも、頭文字を取ると「A」「G」「T」「C」からなり、それはDNAを構成する4つのアミノ酸であること、更に17年前に起きた連続レイプ事件の発生した場所であることが後々分かる。

落書きのある近くでボヤレベルの放火が続いたのは、この街に戻ってきていた連続レイプ犯への警告を込めたメッセージだった。

レイプ犯の子供として街の人から見られてきた苦痛への復讐を弟が考えていたとき、実はそれと知らずに兄もレイプ犯に接触し、そして殺そうとしていた。結果的には弟のほうが先に手を下してしまうのだが。弟からすれば実の父の家に火を放ち、バットで父を撲殺してしまう。兄はその犯行を見る。

自首しようとする弟を止める兄。「このことで一番お前が考えてきたんだ。大して考えていない検事や弁護士にゴタゴタ言われる筋合いはない」と自首を思いとどめる兄。それでいいのか?(苦笑)

とはいえ、話としてはとても面白かった。

ちなみに重力ピエロというタイトルだが…。サーカスで笑顔のピエロが空中ブランコをやっている。「落ちるんじゃ?」と心配する弟に、母が「あんなに楽しい顔しているんだもん。落ちるわけがない。幸せだと重力に逆らって、そのうち体が宙に浮く」みたいなことを言っているところからついているようだ。あまり物語の中身と関係ないような気がするが…。

2010/7/24

そんな彼なら別れさせます! 映画 B-

「愛って素敵」と言っている幼い主人公(女)。しかし、彼氏からあってけなく振られてしまい、「愛なんて」という性格になる。というプロローグから始まる。別れさせ屋の会社を切り盛りする主人公だが、クライアントとして接した男に口説かれメロメロに。しかし、そのクライアントは実はライバル会社の社長だった。

会社のクライアントはそのライバル会社に奪われ、自分も捨てられる。 友人兼従業員の女性を解雇せざるを得なくなり、まさに人生どん底。

しかし、妹に恋する好青年と妹を取り持とうとして奮闘(報酬は10000ドル)。やがて二人に愛が芽生えるというもの。

解雇した従業員はライバル会社に入り顧客情報を盗んで戻ってくる。ライバル会社は潰れる。

まず、別れさせ屋といっても、何か別れる原因をでっちあげて別れさせるわけではなく、単にクライアントに代わって別れを伝えるだけと言うから拍子抜けした。工夫もなにもない。あるのは、冷めた言葉だけ。。。本人に言われたならまだしも、知らない人にいきなり「別れを代弁」されて、素直に信じる人ばかりではないとも思う。返ってトラブルの元ではないだろうか?

主人公の妹は金の亡者で、彼女が好きな男は素朴な感じ。たとえ男にブランドモノのスーツを着せ、にわか作りのクールさを教えたところで、二人がうまく付き合うことになっても続かないだろう…。と考えていた。この縁結びのビジネスも雑だと思う。しかも、たまたま結ぶ相手が妹だから、嗜好や行動範囲も把握していたけれど、一般の人を相手にした場合はそううまくいくとは限らない、というか無理ではないか。

なんとなく、全体的にその場限り感のある作品だった。

2010/7/24

おっぱいバレー 映画 A

タイトルで損をしていると上映時から言われていたけれど、まったくその通りです!!

内容は、おちゃらけた中にも、感動部分が織り交ぜていって、いい映画だと思いました。

ストーリーは、5人しかいない男子バレー部の顧問になった女子先生が、もし次の大会で一勝でもすることができたら、おっぱいみせてあげる、と生徒たちに約束し、それが原動力となって練習に励んでいくというもの。 中学生男子の過剰なまでのおっぱいへの執着が丁寧に…いやちょっとリアルに???(笑)描かれている。

女の先生は、前の学校で生徒たちにみんなで遊びにいく約束をしながら、「受験前に生徒を連れ出すなんていってないですよね?」と偉い先生に問われ、つい「はい。私は言っていません」と答えてしまう。その結果、生徒たちからは「嘘つき」と呼ばれてしまう。このトラウマがあるからこそ、「一勝でもしたらおっぱい見せるという約束をしたのですか?」と新しい学校で偉い先生に問われた際、嘘をつかずに「約束しました」ということになる。

「不戦勝で勝ってもおっぱいは見せない」とか「1セット取ったと思ったら相手は全員二軍だった」といった具合に、おっぱいを見せることになりかけては結局見せずに話が進んでいくところがまたいい。

動機はどうであれ、生徒たちが一丸となって成長していく様をコミカルに描いたよい作品だ。

2010/7/19

私の中のあなた 映画 A+

自分が生まれたのは、姉にドナーとして臓器を移植するため。

そんなショッキングがことが現実にあったら…と思わせる映画でした。11歳になった妹は、自分の体を守るために、勝率91%の弁護士をなけなしのお金で雇う。この弁護士、恰幅がよく健康そうなのだが、介護犬を飼っている。実はけいれんを起こして倒れてしまう持病の持ち主であることが後ほど分かる。

映画は姉の子供の頃から、同じ境遇の男の子との恋、家族でのエピソードなどが挿入されていく。ただ、役者が同じなだけに、現在のことなのか、過去の回想なのかがたまに分からないことがあった。映像的に分かりようにしてほしいな。

さて、クライマックス、法廷で娘(妹)のアナと争うことになった母。彼女は娘(ケイト)の病気のために仕事を辞めたが元は弁護士だった。ケイトの延命のためにアナの了解をとってこれまでにも様々な医療行為をしてきたというが、アナが医療行為を始めたのは5歳からであり、同意があったとは決して言えないと91%弁護士は主張。

姉の命を助けるのがそんなに嫌かと、母はアナを慟哭する。辛い気持ちになるアナは、途中、病室にいる姉に外の公衆電話からかける。アナ「辛い」、ケイト「頑張れ」。そのやりとりの意味がこのときは今ひとつ分からなかった。ケイトは自分に臓器を提供することを拒否するアナを応援しているの???

母はあまりに必至すぎて、ケイトの命を救うという一点にばかりあまりに固執しすぎて、若干家族の中でも浮いている様子。

家族間のこの泥沼化した状況を、物語としてどう結ぶか、想像できずに見ていた。後味が悪かったら嫌だな…と。

さて、法廷では、ふたりの兄も傍聴していたのだが、ついに口を出さずにはいられなくなる。実は、アナに親を訴えて欲しいといったのは、他ならぬケイトであった!自分のために家族が犠牲になっていることに我慢できなかったケイトは、これ以上、妹にも、父にも、母にも、迷惑はかけられないと言う。自分のために父から母を奪い、知能の後れた弟にかまってやることができず、妹の世話をすべき自分が世話をされていることが辛いのである。

死期迫る彼女の望みは、ビーチに行くことだった。一日退院で家族で行くのだが、母は病院から出たら死んでしまうと断固拒否。それなら離婚だと父は叫ぶ。結果として、後から母とその姉も合流し、夫婦仲が戻ったことをアピール。

そしてケイトは死ぬ。

深く考えさせられる映画でした。

2010/7/13

サマータイム・マシン・ブルース 映画 A-

地味なテイストながら、なかなか面白かった。SF研というサークルには5人の男子が所属しているが、誰も本気でない。「SF」が何の略であるかも分からない人たち。そして写真部の女子が2人。部室は相部屋状態。

そんなSF研の部室に突然タイムマシンが現れる。それに乗って一日前に戻り、部室の壊れたエアコンのリモコンをもってくるというミッションを遂行しようとするのだが、それを実際に行ってしまうと矛盾が生じてしまう。というのも、昨日からリモコンを持ってきた時点で、リモコンが壊れるという昨日の事実が否定されてしまうからだ。その結果、世界が終わってしまうかもしれないと、リモコンひとつ直せない研究者に言われる。

その事実を、先に昨日に行った仲間に知らせるために、今日に残っている男二人が昨日にタイムスリップをするのだが、なかなか伝えるまでに紆余曲折がある。その過程がコミカルで面白い。

また、実際に昨日起こったことと整合性(つじつま)が取れていくところはうまいと思った。

ラスト、なんとか一件落着した後、このタイムマシーンは、元々25年後からきた未来人が乗ってきたものだが、それを知ったヘタレな研究者が、「自分こそ25年後にタイムマシンを作る者だ」と研究に情熱を燃やすのだが、そこが唯一「?」と思った。

過去に戻ることで、今の自分が影響を受けることはあるだろうが、未来の自分から影響を受けてタイムマシンを作るということが本当にあるのかどうか。それは未来が先にできて今ができる、ということになるわけで、その場合時間軸が逆になってしまう。ましてタイムマシンを作った人間にそれが起こることは考えにくい。というのも、未来ができる前に今が存在するならば、この時点でタイムマシンを作るという強い意志は生まれない訳であり、とすると彼が未来の影響を受けてタイムマシンを作ろうとすることはありえないからだ。

もっとも、ヘタレ研究者以外の者がタイムマシンを作ったということであれば、あるいは今回の事件の有無にかかわらずタイムマシンを作る能力があったということであれば、その限りではないが。

コメディタッチながら、しっかりストーリーの流れもできているところは、いい作品だと思う。

2010/5/23

ストロベリーシェートケイク 映画 C+

色々な恋がある…というか、恋は甘く切ない、そしてとても辛いものだということを
様々な女性の生き方を通して表現しているとでもいえばよいだろうか?
しかしそれでいて、少なくとも男性の僕には全く共感ができなかった群像劇。

面白いエッセンスを感じない。

個々に暮らしていた女性たちが、最後どこかで繋がれば面白いとは思うけれど、今ひとつ尻つぼみ。

「神様なんかに頼っちゃいけない!」って海辺のシーンも、取って付けた感が否めない。

2010/5/18

ハンサム☆スーツ 映画 A

くしゃみをしただけでも周りの女性が逃げ出すとか、うまいと思った。ブサイクというキャラを、具体的に、しかもオーバーに、しかしリアルに表現するのって結構大変だと思うのね。普通に考えると、満員電車で隣に立っているだけで嫌な顔されるぐらいしか思いつかないものなので。

しかも、このくしゃみの設定が、北川景子との出会いに繋がっているところがいいね。

ブサイクがハンサムスーツを着ることでハンサムになり、別人格になっていく。しかしハンサムスーツにも欠点はあって、お湯に弱い。それは生活をする上では結構不便でもある。

モニター用はそうだけど、商品版はそういう欠点もないというが、しかし一度着たら二度と外せない。つまり生まれてきた自分はこの世から存在しなくなる覚悟がなければならない。それはそれでキツイ選択だ。

結果として主人公は着てしまうんだけれど、でも、まだ完全に体と一体になっていないことを、北川景子(といっても、ブサイクになるスーツを着ていたが)からもらったリストバンド(音楽でます)で気づくというのもいいね。名曲「マイレボリューション」もブサイク君には染みる。

ちなみにこの北川景子、実はブサイク君の店に一度勤めるものの、容姿だけで好きだと言われ、辞めてしまう。そして、ブサイクのスーツを着てもう一度現れる。内面で愛してほしい、というのはなんとも美人ならではの意見ではないだろうか、と思いつつ、確かに容姿だけで愛されても嫌だな、と自分も思う。

このブサイクな女の子が北川景子であることは最後まで伏せられていたが、それは当然気づいて見ていた。まあ、いいトコロに落ち着いているのではないでしょうか。

2010/5/16

天使の恋 映画 B-

14歳の時だったか、レイプされ子供ができ、病院に降ろしに来た佐々木希。彼女はこの事件を境に、傷つけられる側から傷つける側へと変わる。理由価値のある人間だけを友人とし、いじめられっ子を救って(裏でいじめを指揮していたのは希)、仲間にし、そして売春させた後男を恐喝、金を得るというかなり腹黒い一面を持つ。

そんな彼女が高校教師に恋をした。歴史の先生なんだけど。

出会いは、たまたま偶然、名字が同じで写真屋さんが間違えて写真を送ってきたことなんだけど、どうも二人は同じ高校に通っているらしい。ってそれまで希はこの先生のこと、気づかなかったの!? という素朴な疑問がある。

ずっと、知人を利用し、騙してきた希が本当の恋をして、真実を友人たちに伝えるんだけど、レズの友達がナイフを持ち、嫉妬に狂って希の友達を殺しにきたり、結構はちゃめちゃだ。というか、この友達、母親の旦那で血の繋がらない父に頻繁にレイプされていたらしい。しかし母のために言わないでいたら、発覚したとき、母から「あまえが悪い」みたいなことを言われ、ショックで父を刺したという。今ひとつ、よく分からない展開。

教師は、手術をすれば命を取り留めることはできるかもしれないが、その代わりに過去の記憶を失うというもの。それなら死んでしまったほうが…とか教師は思っているが、希の愛を知り、手術を受けることになる。

手術は成功するが、過去の記憶は消えていた。そして、初めて会った日と同じような雨の日に再会。恋が発展していく感じで終了。

あまりに見え見えの展開、そしてどす黒い・しかし取って付けたようなバックボーン、粗さの見え隠れする設定、そして臭すぎる台詞。感情移入はできませんでした。これは携帯小説が元なのかな? 正直、浅い、と思ってしまった。

2010/5/4

笑う大天使(ミカエル) 映画 B

母と貧乏に過ごしていた上野樹里だったが、母が死に豪邸に住む兄に引き取られる。そして、良家のお嬢様が通う学園に転校することに。

ちょうどその頃、世界各地で良家の娘が誘拐されるという事件が多発していた。

樹里はしばらくネコをかぶっていたが、やがて同じネコをかぶって学園生活を送っていた仲間2人と出会う。彼女たち三人は、理由は分からないが、とにかく急にパワーがついたり、電撃(?)を発することができるようになったりする。

しかし、その理由は分からない。

なんてしているうちに、学園の娘たちが行方不明に。黒い犬によって導かれ、国外へ脱出する悪人たちを見つける。その首謀者はなんと学園のシスターだった。たぶん、一連の事件の日本支部長みたいな感じなんだろうな。組織の黒幕は他にいると思う。

そこで超人的な能力が身についた理由を知る。そう、この日のために、天より与えられたのだ。

相手の船に乗り込んで、バッタバッタを相手を倒す戦闘シーン。ちょっとお馬鹿な感じが笑える。

しかし、へりの機関砲を受けて遂に3人は死んでしまった…はずなんだけど、囚われていた学園の女子たちの祈りが通じたのか(?)、突然上野樹里が巨大化して現れ、大魔神の如く強い力でへりを丸めてポイ! と投げ捨て勝利。

って、基本ギャグの映画だけど、もっと他にないのかってぐらいのクライマックスにしらけてしまった。

尊敬していた作家が、実の兄だったというラストのオチは、結構早い段階で想定していたので驚かなかったし、だからなに? ってぐらいの衝撃しかなくて、これも肩すかしを食らった気分。

2010/5/3

パッチギ! 映画 A-

沢尻若い!

京都を舞台にした日本人高校の不良と朝鮮学校の不良がストーリーの中核をなしていながら、フォークや学生闘争、ラブロマンスまでコラボレーションしていて、全体的によくできている。

「戦争をなくすために戦争する」という毛沢東の言葉は、軍国主義者によって簡単にねじ曲げられ、国民の扇動に使われそうだけど…というか実際そういう使われ方をしたのではないのかな?

それでも、日本人と朝鮮人(韓国人)との対立しながらも、一部でしっかりと友情・愛情がはぐくまれていく様は共感でした。京都の川をルビコンの川に見立てた演出や、歌には、世界の紛争をうまく集約できている。

それでいて、悲惨が過去から、簡単には日本人を受け入れることができない朝鮮人社会も描かれており、ギャグばかりではない、深く重いテーマを感じた。

2010/5/2

タイタンの戦い 3D 映画 B

時はギリシャ神話。ゼウスが全世界を支配していたが、次第に人間たちが思い上がり、神を冒涜し始めていた。

神が人間を作った理由が、人間の愛、祈りによって神が永遠の命を得ている、という発想が面白いと思った。もちつもたれつなのね。一方、ゼウスに騙されて冥界の王となったハデスは、人の恐怖によって力を増すんだとか。

さてさて、全能のの神ゼウスは、神との戦いを決意したとある王に罰を与えるため、王に化けて妃に近づき、そしてHなことをしてしまう。それを知った王は王妃と赤ん坊を棺に入れ海に落としてしまう。なんとも狂気な沙汰だが。。。妃は騙されただけで、裏切ってはいないのだからさ。

王妃は死んでしまうが、息子ペルセウスは半神であったこともあり生き延び、漁師に助けられる。しかし、その漁師(父・母・兄弟)も、ハデスによって殺されてしまう。

ハデスは人の恐怖を増長するために、ゼウスの了解を得て、ゼウス像を破壊したア○国に乗り込み、10日後にクラーケンをよこすので、国王女アンドロメダを生け贄にすれば国は助けるが、そうしなければ国を滅ぼすと告げて去る。

プルセウスは国を守るため…だけではなく、漁師の家族を殺したハデスに復讐するためにクラーケンを倒すことを決意する。しかし、そのためにはメデューサの首が必要だった。

ということで、この先はハリウッドならではの派手な戦闘シーン。CG使い放題(笑) 巨大サソリを倒し、手名付け、メデューサの元に行く。っとその前に魔女の所に行くんだった。そこでクラーケンを倒す方法を教えてもらうのね。

さて、供をした人間他仲間はみんなメデューサを倒すときに死んでしまうのだが、盾に映るメデューサを見て倒すプルセウス。ここ、ひねりなしですか。。。って正直思った。

出てきたところで、ペルセウスの母の母国の王(ハデスの手下となっていて、化け物。共にゼウスを憎む者として)と戦闘。倒した後、ペガサスに乗ってア国へ。ってか、黒いペガサスってありかよ! ほかに白いのはたくさんいたのに、よりによってなぜ黒!?

王女アンドロメダを喰いに来た(?)クラーケンにメデューサの首を見せて石化させ、無事退治。最後のボスキャラなんだし、もっとクラーケンしぶとくてもよいんじゃない?

とここで人々の恐怖の心によって力を増し、オリンポスのゼウスの力を超えたハデスが現れる。っていうか、オリンポスの12神、ゼウスに力貸してやれよ!(笑)はじめいたのに、途中でゼウスに「さがれ」って言われたらみんな消えて、それっきり。宮殿が揺らいでゼウスのピンチになっても、誰も助けにこないってどんだけ薄情やねん!(苦笑)

そして、力を増したハデスを、聖剣を投げつけるだけで勝利するプルセウス。どんだけ強いんだ…。

とストーリー的には、大味な内容でした。それでも、確かにアクションシーンはすごかった。3Dで見ることをお勧めします。

2010/4/3

大阪ハムレット 映画 A

とーちゃんが突然亡くなったかと思ったら、かーちゃんは、夜のお店でオヤジとダンス。そして新しい男が。お腹には新しい命が。。。

血の繋がらない3人の息子たち。

長男は、高校生だが老けて見える。大学生で教育実習生の子に恋をして大学生と嘘をつくが、やがてばれてしまう。

次男は、凶暴で喧嘩がとても強いが、それだけの男。自分が誰なのか、分からない感じ。

そして三男は、女の子になりたい男の子。

三男は学芸会でシンデレラを演じるが、男女と揶揄され、くじけそうになる。それでも、必死に踊りきり、やがて観客に認められる。

次男は強い相手を3人も相手に喧嘩をして、無事勝利。単に喧嘩が強いだけではなく、人は悩みながら生きていく(ハムレットの言葉を暗唱できるまでに)ことを理解する。

長男は、年下でも関係ないと、東京へ帰る教育実習生に告白。駅の階段をおんぶして彼女を見送る。

新しいとーちゃんは、血の繋がらない子供のお遊戯を見に行くために、せっかく見つけた仕事をクビになる。しかし、そこには家族愛が描かれている。また新しい仕事をさがせばいいじゃない、子供が生まれてもどこかに行ったりしないでね、というかーちゃんの言葉が好きだ。

結局の所、みんながハムレットなのだ。各々悩みながら生きている。でも、必死に生きることの素晴らしさを教えてくれる作品。

2010/3/29

カラヴァッジョ 天才画家の光と影 映画 B+

好みは愛するために、命は描くために。

天才的才能を持ちながら埋もれていたカラヴァッジョ。
彼はマラリア(?)に冒されていた。

彼は友の絵を描いたことで評判になり、有力者に明かりの入る部屋と十分な報酬を与えられ、お抱えの画家になる。
しかし、その行動は放蕩そのもので、一日絵を描いたら数日遊びほうけるという有様。

愛する娼婦をモチーフに聖母を描くこと2回、時には神をも冒涜しかけない行為をするが、有力者の尽力によって命を救われる。

しかし、決闘で友が人を殺してしまったことでお尋ね人に。

各地を逃げることになる。

そこでとある騎士団に、画家の腕を見込まれて入団することになるが、そこでも上司とそりが合わず、結局逃げ出すはめに。

最後は教皇に罪を許されて国に戻る最中に具合が悪くなり、搬送していた水夫たちに見限られ浜に捨てられて一生を終える。

カラヴァッジョは、模写を得意とした画家だったようだ。
魔女狩りや無宗教者が殺されていく様をまじまじと見て、それを描く。

すばらしい芸術家であり、多くの人に愛され、同時に多くの人を愛しながら、激情に任せた行為が祟り、不遇の死に方をするところが泣ける。

2010/1/21

アバター 映画 B+

3Dの映像ということで期待して見に行ったが、眼鏡をかけさせられてちょっとガッカリした。これってずっと前にもあったじゃん(汗)
人類がエイリアン側になり、他の星の先住民や森を侵略していくというストーリーには、若干の新しさを感じた。驚きは感じないけれど。

森を守ろうとする研修者と、森や先住民を力で支配しようとする大佐、そして資源を求める資本家というゴールデントリオと、アバターとなって先住民に溶け込み、そして酋長の娘に恋をする主人公というのはかなりベタな設定だが、それ故にはずさないとも言える。

主人公が足が不自由であるという設定もいいね。それ故に、アバターで飛び跳ねるシーンが活きてくる。

アクションはそれなりだが、やっぱり3Dは思ったほど宜しくない。平面が重なっているように見える感じといえばよいだろうか? 一面一面が平べったく感じた。

アバターになるためには装置に入って寝なければならず、装置が軍の施設内にあるうちは好き勝手なことができないため、それを移設する大胆行動はなかなかよいが、他の星で人類をある意味裏切るような行為をする勇気がどこから沸いてくるのか知りたい。補給を受けられなければ、せっかく移設した設備もいずれ電源が落ちるし、盗んだ航空機も燃料切れで動かなくなる。そのとき、彼らはどうするつものなのか? と思った。

ラスト、先住民の姿をしたアバターに、主人公(人間)が移れ、ハッピーエンドになったのはよいね。ただし……大佐を倒し、そのときは人類を星から追い出すことに成功したとはいえ、次また来るのではないか…と心配したのは僕だけではないはずだ。

2010/1/14

ウルルの森の物語 映画 B

絶滅したはずの日本オオカミが生きていた、という設定はよいと思う。
獣医として北海道で働く父と、心臓が悪くて息子・娘を父の元に送った母。母は父の夢を邪魔しないために離婚したというところは泣ける。
終盤のビー玉をウルルに投げつけるシーンにつなげるために、息子は携帯ゲーム好きにして、それを父が取り上げるというシーンが入っているところなどは芸が細かい。

それにしても、小学生ぐらいの兄妹が、ウルルを森に返すため、二人で遠い場所までウルルを抱いて歩くというのは凄いな。なかなかできないでしょ。北海道だし(笑)

父が、ウルルの遠吠えに気づいて息子たちの場所を見つけるところとか、前振りもあっていいけれど、吊り橋で娘のピンチを助けた直後、あっけなく転落するあたりは…って気がする。

他にも、オオカミの国に行く途中にある「光る泉」に蛍が飛んできて気づくんだけど、家族の背後でめっちゃ輝いているモンだから、初めから気づけや!!って軽くツッコミを入れてしまった。

また、花も光っているのもいらないと思うし、父の妹が途中で合流し、一緒に先へ進んでいたのに、あるところで突然「じゃっ」って言って別れるのもなんだか違和感を覚えた。

ちなみに、この父の妹、オオカミの写真を出版社に売ろうとしていたんだけど、オオカミが研究所に連れて行かれると知って、写真を燃やしちゃうのね、最後に。
でも…そうなることぐらい、初めから想像付くんじゃないかと実は思った。専属のカメラマンになりたいがためだったようだが。

しかも、デジカメだから、印刷した写真を燃やしても、データ残ってますぜっ! って意地悪なことも考えちゃった(笑)

2010/1/4

下妻物語 映画 A-

下妻って地名だったのね。

バイクに乗っているロリータ・ファッションのフカキョンが、いきなり軽トラに吹っ飛ばされるところから始まる。

そして長い回想。回想シーンだけで、1時間以上あるんだから凄い。普通、これはやってはいなけないと言われる手法なんだけど、ここまでやると逆にアリなのかな?

ロリータ・ファッションと暴走族が出会ったら……かみ合わないようでかみ合っている感じがいい。
ラスト、返り血を浴びて鉄の棒を振り回すフカキョンは、何かに取り憑かれたようでした。

そんなに笑えるところがあるわけではないけれど、「他人なんてどーでもいい」と思っていたフカキョンが、友情のために暴走族の友達を助けに行ったり、プレッシャーを感じながらも刺繍の仕事をしたりと、自分の殻を破っていく姿はいいと思った。

2009/11/15

カイジ 映画 A

全くうだつの上がらない男・カイジは、友達の保証人になったばかりに200万円の請求をされることに。しかも、むしゃくしゃしていた彼は、貸し金のベンツを蹴飛ばし、凹ませてしまう。

そんな彼が送り込まれたのが金融業者のクルーズ船。そこで負けたら強制労働、しかし勝てば自由になれるゲームに参加することに。

カードを使ったジャンケンを12回やって、勝率5割以上ならクリアというもので、全て引き分けならクリアということに気づいた男にそそのかされて絶体絶命のピンチになるも、うまく男に復讐することに成功。
しかし、若干その方法がルール違反のような気がする。
1人12枚のカードを全て時間内に使い切らなければならないが、カイジは元々1枚しかなくて、それで勝利して自分のカードは使い切っている。
それなのに、たぶん1枚も使っていないおっちゃんのカード(12枚)を二人で使い切るところに、ゲームのルールに反しているのではないかと思った。
人のカードを使ってもいいの?

もしそうなら、カイジがはめた男だって、自分のカードは全て使い切ったけれど、☆はまだ残っていたわけだし、復活の可能性があったはずなのに、サラリと地獄行きになっていた。

仮に人のカードを使ってもOKだとしよう。それでも疑問は残る。
このおっちゃん、直前までカードを一枚も使っていなかったのね。ぐー、ちょき、ぱーを各4枚ずつで12枚と考えると、偶数だから二人で使えば使い切るはず。それなのに一枚だけカードが残ってしまう。
これが分からない。もう少しいうと、おっちゃんはカイジと異なるマークのカードを交換しているから、3種類のカードのバランスは崩れている。
それを全て引き分けで使い切ることは不可能。

さてさて。カイジはクリアしていながら、この出会ったばかりのおっちゃんのために地獄行きに自ら志願する。
そんなにお人好しな人がいるかなぁ〜とか思った。

しかも肩に焼き印。それでもし地上に出ることができたなら、人権侵害で大変な問題になるはず。地下に都市、いや国を作ろうという金融業者のじいさんの野望もかなり無茶がある。

さてさて、地下に落ちたカイジは命を張った勝負に打ってでる。勝てば地上に出られるというゲーム。
平均台程度の幅を高層ビルの高さで渡らなければならない。次々脱落していく仲間たち。それは分かるけど…おっちゃんのためとはいえ、途中で何度も振り返ったり、慟哭したりするかなぁ…あの状況で(^^;
既に平常心を保っているように思える。

さて、そんなカイジは見事一千万円をゲットして独りクリアするわけだけど、ここから今回のゲームを仕組んだ男と闘うことになる。奴隷と王様のゲームという設定はなかなか面白い。

二度負けて地獄に落とされることに決定するものの、金融業者の女に協力を持ち出し5000万円の金をゲット、見事逆転する。5億円をゲット。男は地下労働を死ぬまですることになる。

さてさて…しかし金融業者の女は「悪」だね。金利云々の名目で、40数万円だけをカイジに残し、トンズラしてしまうのだ。
カイジはおっさんから1000万円のチケットを手渡され、自分のために不幸になった娘に渡してくれと懇願してから死んでいったから、せめてこの1000万円には手をつけないで欲しかったが、カイジの脚本家はそういうことは許さなかったようだ。

後半、ビルからビルへ細い道を歩くシーンで、「誰も助けることはできない。自分でやるしかない!!」と叫んでいたシーンからして、娘にも与えられた1000万円で楽するのではなく、自分の力で生きていけ、というメッセージなんだろうなと感じた。

と色々書いてしまったが、僕の評価は意外にも高い。
「明日からやればいい」とたるんたことばっか考えていては、人はただ年を取って死んでいくだけだ、という強烈なメッセージが気に入った。

2009/10/1

人のセックスを笑うな 映画 B-

永作博美がとてもかわいく、そして色っぽい。しかし、それだけの作品のような気もする。

とある大学生は、学校の先生に恋してしまう。永作にモデルになってくれと言われて、家に呼び出された青年は、言われるがままに服を脱ぎ、そして初体験を迎える。二人は付き合うのだが、先生(永作)は実は旦那付き。つまり不倫。

しかも永作の旦那は年が離れていて、初め父親だと思って青年は接してしまう。

ちなみにこの話、結論らしきものがない。青年は卒業、青年を好きだった女性は家業の看板屋を継いで仕事をしている。

青年は永作がインドに行っていることを知る。「なぜインド?」

その結論もよくわからないまま二人は再会する。再会してどうする? なにがある? よく分からない。つまり、この映画の言いたいところは、人が恋をしたりセックスをしたりすることに理由はなく、だからといってそれは否定されるものではない、ということなのだろうとは薄々感じた。

永作が可愛くなかったら、評価が下がりそうな映画だ。

2009/10/1

恋空 映画 B+

回想の映画です。

男子とつきあったことのない女子高生・みかが携帯をなくし、拾ってくれたのが金髪少年ヒロ。みかの携帯に毎日のようにヒロから電話が入り、はじめは嫌だったみかだったが、次第にヒロとあってみたいと思う。しかし、金髪の姿を見て逃げ出してしまう。

とはいえ、二人はつきあうことに。そして初体験。しかしヒロの元カノによって雇われた男たちによって乱暴されてしまうみか。男たちを半殺しにするヒロ。「お前は俺が守る」というヒロに寄り添うみか。

やがてみかのお腹に赤ちゃんが。しかし、またしても元カノによって階段を突き落とされ、流産してしまう。

その直後からヒロは学校にあまりこなくなる。ヒロの自宅でのパーティに呼ばれなかったり、それでも行ってみれば他の女とキスしているところを目撃したり・・・。急に冷たくなったヒロは、やがて一方的に別れを切り出す。

みかはその後、優しい男と出会い付き合うが、それでも亡くした子供の命日(クリスマス)には必ずある場所に行っては子供の手袋を置いたりしていた。そこで度々ヒロと出会う。二人は毎年、ここで子供の供養をしようと決めていたから。それは別れた後も変わらなかった。

しかしある年、ヒロの代役がきているのを目撃する。そこでみかは知る。ヒロが癌におかされてもう長くはないという事実を。みかを悲しませたくないヒロは、みかに冷たくすることで自分から遠ざかっていかせようとしたのだ。みかはヒロの元を訪れ、ヒロの最期まで愛する。

まあ、恋愛ものの王道だと思う。王道すぎて正直泣けない。台詞も所々臭く、苦笑いをしてしまった。みんな、なんだかきれい事を言っているような気がした。でも高校生にはそれが受けるのも事実。押さえるところは押さえているストーリーだと思う。

2009/9/9

BALLAD 名もなき恋のうた 映画 B

主人公の真一、友達の女の子が苛められた際、守れず逃げ出してしまうような心の弱い男の子としてスタート。
その後、通学路途中の大木の下から古い書簡を掘り当て、タイムスリップした際は戦国時代。草陰から火縄銃で狙われていた草薙くんが演じる 又兵衛の命を救う。
携帯を見せるなどして未来から来たことを立証するしんのすけ。 更に、両親まで木の下でタイムスリップし、戦国時代に。

廉姫とは幼なじみでありながら、一侍大将に過ぎないという身分の違いから恋愛に積極的になれない又兵衛。
そんな折、突然地元の有力者、高虎が現れ、廉姫を嫁にしたいという。

城主であり廉姫の父である康綱(よしつな)は初め廉姫を高虎の力を恐れると共に、後ろ盾になってくれることを期待するが、真一の父から歴史の表舞台には
両家とも出てこないことを知り、高虎に媚びることをやめる。 結果として、高虎の兵5000人に攻められることに。

戦上手な又兵衛の奮戦もあり、なんとか持ちこたえるものの、兵力の差は埋まらず、敗戦が濃厚となる。
又兵衛は高虎の首を取ることで勝利をもぎ取ろうと決死の覚悟で奇襲をかけるが失敗、敵に包囲されてしまう。
そこに川上一家の車が突入し、又兵衛を高虎の前まで導くと、両者は一騎打ちをする。結果として又兵衛の勝利で戦いは決着するのであった。

戦の前、廉姫はこの戦いで勝利をしたら自由に生きる=身分を越えて生きる、と又兵衛と約束をしていたので、ハッピーエンドと思いきや、 凱旋帰国する又兵衛を凶弾が襲う。あっけなく又兵衛は死んでしまうのであった。

正直、この死に方はしらけてしまった。クライマックスで盛り上がった後、あまりにあっけない死。
しかも、又兵衛を撃った人間は誰だか分からず。雑兵の手にかかったのかな???
いずれにしても、真一たちを呼び寄せたのは廉姫の祈りであり、その甲斐あって川上一家がタイムスリップしたというのに、 又兵衛が死んでしまっては結局目的を達成できなかったのではないか? ラストは腑に落ちなかった。

ちなみに、今まで可愛いとは思わなかったが、この映画の中のガッキーは可愛い(笑)

2009/8/31

リアル鬼ごっこ 映画 B+

「全国に王様と同じ名字である鈴木さんが多すぎる」という理由だけで、パラレルワールドで鈴木さん狩りが始まる。
パラレルワールドとこちらの世界は並行して存在しているため、片方で人が死ぬと、もう一方の世界にいる同じ人も死んでしまう。
主人公の妹は、パラレルワールドで鈴木さん狩りされている自分と父を守るために兄をパラレルワールドに送ったのだった。

パラレルワールドでは7日間、リアル鬼ごっこがされるが、主人公が飛ばされたのは5日。翌日にはパラレルワールドの妹と出会う。
うんうん。このスケジュール感はいいね。1日目からスタートだと、2時間枠の映画に収まらないから。

主人公は見事逃げ切ることができるのだけれど、そこで王様とテレビ中継(テレビ局と宮殿のみ)で繋がる。
そこまではよかったんだけれど、不覚にも、王様はそれまで隠していた自分の素顔を自ら見せてしまう。仮面を取って。
それはないんじゃないか? と思った。

というのも、元々平凡なサラリーマンだった王様が王様になれたのは、パラレルワールドを利用して、別世界の人物を殺すことで自分の敵を 殺してきたからだ。
そしてパラレルワールドを行き来できる(実際には妹がやっている)人間がそこにいるわけだから、素顔を見せると言うことは自分が今までやっていたことを 考えるととても危険なことになるからだ。

あまりにうかつすぎて若干引いてしまった。

とはいえ、当初の「鈴木さんが多すぎるから減らす」というのは微妙に理由が違っていて、本当は「多すぎる鈴木さんから主人公たちを探す」ことが目的だった、
という展開は納得のいくものだった。

ただ、最後にまた別のパラレルワールドに飛ばされる主人公は……それはないと思う( ̄□ ̄;‖
ってか、それを強制的に兄にやらせる妹って…ある意味、鬼。
妹には兄のことが四六時中見えているということかな? だとしたらそれも怖い。
ラストはいらないと思った。

2009/8/23

フレフレ少女 映画 B

ガッキーが出演していたのは知っていたけれど、今ひとつ興味がなくて見なかった映画。テレビ放送でも気乗りしなかったがとりあえず見てみたら思ったよりはよい話だった。

新入生として入ってきた野球部のエースを応援したいという理由で応援団に入ったガッキー、しかしそこは団長が一人しかいない部だった。5人いないと応援団として機能しないため、必死に部員集めを行い、なんとか5人、ヘタレが集まる。
しかしそこでガッキーは団長になってしまい、しかもヘタヘタの応援しかできなかったため、野球部からは練習試合の敗戦の責任を押しつけられ、「応援に来ないでもらえる?」とか言われる始末。

そこへ現れたのが伝説の応援団長。彼の甘い言葉にのって行った合宿先ではしごかれ、団員たちはみんな逃げ出す算段。
「野球をするのは野球部員で、応援団がこんなに一生懸命頑張っても仕方がないだろう」と不満を漏らす団員に、ガッキーは結論を出す。

「頑張っている人を応援するためには、頑張っている人以上に強くなくてはいけない」

ちょっとしびれた。

ガッキーが好きだったエースは他校不知火高校に転校してしまうのだが、ガッキーたちの応援の成果もあり、ついに地方高校野球の決勝戦でぶつかることに。

1回に2点を奪われ、そのまま9回まで2-0で推移。

2アウト1、2塁。ピンチながらホームランが出ればサヨナラのチャンスでもある。
結果、ガッキーたちの応援が神風(?)を起こし、外野フライが風にのってホームランになるのだが…。

うーん、ここは勝って終わるのではなく、結局試合には負けてしまうというほうが良かった気がする。

それまで、野球部からは認められていなかった応援団。しかし、たとえ敗北しても最後まで応援してくれた応援団に「ありがとう」と言ってくれたほうが感動したような。

不知火高校の応援団からも、ガッキーたちの応援団は練習試合の際、応援団として認めてもらえなかった。そのときは、試合後の応援団同士、互いにエールを送る習わしさえ断られたのだけれど、 ガッキーたちが試合に勝てずガッカリしているところに不知火の応援団のエールが聞こえてきて、今度は認めてくれた、というほうが現実っぽくていい。

映画のように勝ってしまうと、若干「やっぱ作り話だな…」という感想を持たずにはいられない。

ちなみに、ラスト、副団長(ガッキーが来るまでは団長)とガッキーは卒業するのだが、そこでセーラ服に着替えているガッキー。
自分が以前好きだったエースへ渡すつもりだったお守りを副団長に渡して告白って……あり? だってそれが他校に転校したエースへ渡すためのものだったことをこの副団長も知っているんだよ。

「あいつ(恋敵)に渡そうと思って買った物をくれたって…」

と複雑な気持ちにならないのかな??

しかも、ガッキー、抱きついた際に第二ボタンを奪う。

おいおい…いつからこの二人はそんな関係に(笑)
これまでは、副団長の一方的な気持ちでしかなかったから。

時間がないから手短にまとめました、という印象を否めない。

2009/5/31

パプリカ 映画 B

夢の中に入ることができる装置を使い、心の病を治療するという使い方をしていたのだが、あるとき装置3つが盗まれてしまう。そして悪役たちは覚醒しながらにして人の心に入り込むことが可能となった。その設定は面白いと思ったけれど、話の内容はいまひとつ盛り上がらなかった。夢と現実の世界が途中でくっついたのは分かったけれど、黒幕のじいさんが何をやろうとしていたのか、もう少し明確にしてほしい。

現実世界に巨大化して現れて、町を壊してしまうのは何がしたいのかいまひとつ分からなかった。

2009/5/31

ナショナル トレジャー 映画 A

徳川埋蔵金を思わせる設定に親近感を覚えました。先祖代々受け継がれてきた財宝の話。しかし、暗号を解読すればその先にはまた謎があり、延々と繰り返される。そのために一家は考古学の世界では言わずとしれた名物に。
ファーストシーンでいきなり裏切られるところ、それを切り抜けるところはなかなかのサスペンスだ。その後も、主人公組と悪役組が常にすれ違うタイミングで謎を追いかけていく様は、ドキドキ感が続いてよい。

ラスト、いったん宝はなかったと思わせておいて、実はあった、というのもしらけない作りになっているのはさすがだと思った。

個人的には、独立宣言書のレプリカを盗もうと店員に間違われ、現金がなくカードで支払い、身元がバレるというところがうまいと思った。あれがなければ、警察が自分たちを追うこともなく、ストーリーのオチにたどり着けない。物語の展開がうまいです。

2009/5/10

ALWAYS 続・三丁目の夕日 映画 B-

小説を書いている男、しかし甲斐性がなく、実子ではない男の子は米の値段が上がったことを言えぬほど気を遣われている。そして本当の父で実業家が息子を引き取りに来るのだが、芥川賞を受賞すれば子供は帰さなくてもいい、という条件で新作を書く。しかし、実力はともかく、審査員に接待しないと選ばれないと詐欺師にそそのかされ、結果金をむしり取られた上、賞にも入れない。

ダンサーをやっている元恋人は他の男のところに(大阪)行こうとするが、ラストで小説家が書いた話を電車の中で読み、引き返してくる。

全体的に普通すぎる展開に退屈感を覚えてしまったが、そういう映画なんだと思う。

2009/5/10

60歳のラブレター 映画 S

2組の夫婦と1組のカップルの話。みんないい年しているけれど、恋愛っていいな、古女房とかいいな、って思う内容でした。(試写会行ってきました)とかく未婚の僕は相手に理想を求めてしまいがちですが、そんなに格好いい男でなくても、そんなにかわいい女でなくても、愛し合えるんだ、幸せになれるんだ、と思った。美絆っていいな。それが長い時間をかけてできあがった絆ならなおのこと。

ラスト、古女房から旦那に送られたギターを旦那が病室で弾き語りするシーンとか結構泣ける。手術が行われる前にそのギターを見つけたから、「ああ、助かるんだな」というのは分かったけれど、それでもハラハラドキドキ。

30年前、結婚した直後の妻から届いた手紙を読んで、それまで仕事人間だった夫が、彼女の夢を叶えるべく、白いシーツにラベンダーを描いて、花の咲いていないラベンダー畑に広げるシーンも印象的でした。

そしていうんだよね。「おまえはただ俺の後ろを歩いていた訳じゃない。俺の背中を押してくれていたんだ」これぞ内助の功ってところ。試写会ではあちこちから鼻水をすする音が・・・。いい映画です。

2009/4/22

レッドクリフ PART I 映画 B

ちょい前にテレビでやっていた映画。三国志の赤壁の戦いを舞台にしてはいるけれど、パートIではそこに至るまでを描いたという感じ。襄陽から民を連れて逃げる劉備、関羽と曹操の関係など、キャラ立ての苦労が伺える。

そして後半になってようやく呉の大都督・周瑜が登場。主役はおせーってか。。。まあ、周瑜の性格を表現するために、豚を盗んだ兵士が誰だか分からないよう、どぶ沼に兵士たち全員を走らせるあたりは三国志っぽくていいね。

しかし、仕方がないことだけど、キャラの濃さで劉備陣営に明らかに負けているし、意外と難しいと思った。周瑜と孔明を中心に描くというのは。三国志を初めから知っている人相手であればいいんだけどね。

まあ、それにしても女性を映画館に呼ぶために曹操と小喬の恋愛話にするとはねぇ・・・。女一人のために曹操が遠征するとは思えんが・・・。

2009/3/31

ルパン三世 VS 名探偵コナン 映画 B

とある国の王女とコナンのヒロインであるランがそっくりという設定で、「ああ入れ替わるのね」と思い、事実アッサリ入れ替わってしまうあたりにもう少し工夫がほしい気がした。お互い服を替えれば相手になり済ませるというのは分かるけれど、いまひとつそれを生かしきれていない。

また、ルパンが求める財宝(ステンレス化できる)という現実離れしたものと、コナンの現実的な推理がどうコラボレーションするのかと期待してみていたが、それらは特に交わることなく残念。人を完全にステレス化できれば、コナンの名推理も全く意味を成さなくなりそうなので、泥棒のルパンがそれをどう使い、探偵のコナンが更にそれをどう暴くか、VSというからには知能同士のぶつかり合いを期待したのだが、味方になってしまったのも残念だった。

正直、相手が馬鹿すぎる・・・・・。警備も甘すぎる(苦笑)

とはいえ、全体的にあきさせないつくりになっていた。特に全くことなるテイストの登場人物を絡ませるのは結構な労力だったろう。

2009/3/15

インストール 映画 C

部屋中のものを全て捨ててしまった女子高生と、誕生日が来ると10歳になる少年が出会い、少年の部屋の押入れでネットを使ったHなチャットをするバイトをするという話。
ゴミ捨て場(?)に部屋中のものを出し女子高生が寝転んでいるシーンとか非現実的な気がして、若干ひいた。

その後、二人はHについて学んでいくわけだが、少年の母親にバイトのことがばれてしまう。
そしてバイト代を少年がもらいにいき、30万円の現金をもらう。それを山分けしようとするが、インストール代ということで、女子高生は全額少年にあげてしまう。

少年はネットオークションでタイムマシンを買うとか訳の分からないことをいう(苦笑)

非現実的な世界が終わり日常に戻った二人。「結局なにも変わっていない」という女子高生に「インストールは機能を追加することではなく、一からやり直すこと」みたいなことをうまいことを言っているような顔で言うのだが、正直少しもうまいことを言っているとは感じなかった。

そして二人は、別々の道を歩んでいく、的なエンディング。

意味がわからん。
何が面白いのか? 何を訴えようとしているのか? 見た人に何を感じてほしいと思っているのか?

特にひねりもなく、テーマもなく、見せ場もない。

2009/3/15

朱蒙(チュモン) TV A+

韓国の連続テレビドラマでDVDにすると39枚という超大作!
できのいいテソとできの悪い末っ子・チュモンは王子として育つが、チュモンが王の本当の子供ではないということを知り、国を飛び出し、新しい国を建てる。それが後の高句麗という実話に基づいたドラマ。韓国ドラマだからなのか、裏切り者であっても親族だと殺さずに、しかも近くにおいているところに文化の違いを感じた。

しかし総じて人間関係については勉強になる。憎しみの裏には愛情がある。テソの母とチュモンの母の関係しかり。しかも因果なことにチュモンもかつての自分同様、実子でない王子をもつに至り、その苦悩もよく表現されている。

漢に負けない鋼鉄剣をつくり、更にそこから鋼鉄の鎧を作り、更にはチタンとソンムタンという怪しいものを作ったりと若干史実にしてはできすぎなところもあるが、それはよいとしようか。

気になったのは、話の後半で古朝鮮(コジョソン)の3つの神器を集めれば漢に勝てるみたいなことを巫女に言われるが、3つとも集めたんだっけ? 後半若干話の流れが遅くなり集中力が散漫になりながら見てしまった。それにしても、この設定は、どこか日本のロールプレイングゲームを髣髴させる。

2008/10/14

陰日向に咲く 映画 B-

それなりに人気のある作品だったので、期待して見たのですが、思ったほど感動できずに残念でした。

主人公(V6の岡田君)とヒロイン(?宮崎あおい)の出会いシーンはいいとして、岡田くんが借金の件で相談しにいった先で偶然再会ってどんだけだよ、って思った。しかも、宮崎さんが探している、母が若かれし頃好きだった男の奥さんが、岡田くんがオレオレ詐欺をした人というのも凄い偶然だ。

更にその男は数日前までホームレスをしていた。その場に彼がいたのは、たまたま同じホームレス仲間に、息子がプロ野球の選手になった人がいて、しかもその人が不在であったため、なりすまして家に戻った、みたいなになっているから、これもまた偶然。

しかも、そのホームレスにして宮崎さんの母の初恋の相手のおっちゃんと、岡田くんの父が知り合いと言うところもまた、偶然。

すべて偶然つくしで、それを奇跡と呼びたいのだろうが、作り話である以上、あまりにリアリティがなさ過ぎる。

もうひとつの平山あや(25)と彼女をおっかける3人のオタクの話は、完全に別の流れで進んでいるんだけれど、これってどこかで絡んだだろうか? 「ああ、なるほど」というレベルで。正直、このエピソードはいらない気がした。

個々のシーンは、それなりによくできているので、ディテールにこだわってほしいと感じた。

宮崎さんの母がホームレスのおっちゃん(西田敏行)に今でも会いたいと思っているというのも、いまひとつピンとこなかったし。。。

2008/10/5

キサラギ 映画 A

C級アイドルが、突然自殺をしてから1年。ファンサイトの掲示板で出会った5人の男がオフ会を開いた。サイトの管理人のHNは家元。彼は数々のレアなコレクションを持っている。しかし、このオフ会を提案したのは、オダユウジと名乗る男だった。彼の目的はただひとつ、アイドル・キサラギを殺した真犯人を捕まえるため。

彼が疑ったのは中年の男・苺娘。ストーカー被害に遭っていたことを知っていたオダは、掲示板への書き込みやオフ会での言動から彼が犯人だと決め付ける。しかし、彼には事件当日拘置所にいたというアリバイが。しかも、後々分かることだが、彼はキサラギの父だった。

次に疑われたのは、キサラギが通っていたショップ店員・スネーク。苺娘は見ていたのだ、事件当日、男がキサラギの部屋に入っていくのを。それこそスネークだった。彼はお店の商品をお届けにあがり、中身を詰め替え、ゴキブリを退治しただけだという。そして彼にもその後、店に戻ったというアリバイが。地震があり、店舗の整理に一晩中追われていたらしい。

とここで、キサラギにあまりに詳しすぎるオダにみんなの疑問の目が向く。オダは白状する。我こそはマネージャーであったと。彼女が自殺してからと言うのも、50kgも痩せてしまい、全く別人になっていたが、汗かきの体質でばれてしまった。

そしてもう一人、福島から上京してきたでぶの男。実は彼こそがキサラギの彼氏だった!

ことここにいたり、自分こそ一番キサラギに詳しいと思っていた家元はしゃがみこむ。みんな関係者であるのに、自分だけ一ファンであったと。

キサラギは炎に包まれて死亡し、当初はマネージャーへのラストメッセージのため自殺だと思われていたが、話を進めていくうちに事故である可能性が濃厚になる。

そして、彼女が火事の中、なぜ物置の部屋に行って亡くなったか・・・それは家元からのファンレターを取りにいったから。。。これですべて繋がる。

見ていてゾクゾクする面白い作品でした。

2008/9/29

魍魎の厘 映画 C+

女性のバラバラ殺人が多発する。この猟奇的犯罪の犯人を捜す話。ちなみに作家が犯人。

もっと推理小説的なのかと思ったら、そうでもなくてがっかりだった。バラバラにされた腕が妙にリアルで気持ち悪かった。

戦争中、死なない軍隊を作りたい軍部と、人の体をロボットのように修理・交換する研究をしたい博士は要塞のような建物を作り上げ、そこで研究を続けた。日本が戦争に負けた後も、GHQの援助で研究は続けられたが、いよいよスポンサーがいなくなると困った博士は資産家に目をつける。そこの一人娘を傷つけることで、母は娘の命を救うために一度は夫の残した財産の相続を放棄しようとしたのだが、相続し、博士に研究資金を提供するようになる。

まあ、こんな目論見がうまくいくはずはないんだが。

一方、妖しげな新興宗教が現れ、人々の財産を奪っていくのだが、その信者とバラバラ殺人の被害者は関連性がある。新興宗教の教祖様もまた実は踊らされているのだが、彼の息子がバラバラ殺人の実行犯であり、息子と博士には奇妙な協力関係、というか役割分担がされていた。

いずれにしても、気持ち悪い以外の何者でもないので、この手の映画は好きにはなれない。

2008/9/29

幸せのちから 映画 B+

貧困で共働きの夫婦には子供がいる。夫は売れないセールスマンとでも言おうか。この商品は売れると思って大量に買い込んだ医療機器は値段が高くてなかなか売れず、部屋には在庫の山が。

妻はそんな生活に失望し家を出て行くのだが、夫はあきらめない。息子を連れて時には営業に向かい、アパートを追い出されれば駅のトイレで眠る。そこを恐竜の生きていた時代の洞窟に見立てて。子供は楽しかったようで、教会に泊まることができなかったとき「また洞窟でもいいよ」というのだが、「前は楽しくても次は楽しくないこともあるんだ」という男の言葉には深いものを感じた。

男はとにかく給料がもらえない6ヶ月の研修期間をがんばる。そのがんばりようを視覚的に見せるために、医療機器を一度ホームレスらしき男に奪われ、さらにそれを壊すことで売らせないというのは作者も考えたな、と思った。トランクや医療機器を持ちながら金融商品の営業マンとして働く姿は、彼の置かれている状況を説明なしに表現できているから。

最終的には正社員として採用されることになる。これが実話をベースにしているところがすごいと思った。彼は後に自分の会社を設立するまでになったそうで、がんばれば「幸せを追い求めることができる(手にできるではない)」ことを訴えているのではないか。

ちなみに僕はこの映画を見て、幸せとは手に入れたと思った瞬間に失うもののように思えた。幸せを追い求め続けることが幸せかもしれない、と。

2008/9/27

未来予想図 映画 B

二人は大学に通っていたが、知り合いではなかった。しかし、さやかがヒロインを担当していた自主映画の相手役が突然盲腸になり、たまたま近くを通りかかったと慶太が相手役を担当する。シーンは教会での結婚式。これがきっかけで二人は付き合うようになる。
まあ、作者は手っ取り早く二人を出会わせたかったわけで、特に出会い方にはこだわりがないようだ。

慶太は建築家ガウディにあこがれており、卒業旅行はスペインへ。

卒業後、慶太は望みどおり建築事務所へ入社するが、さやかは希望の出版社ではなく印刷会社に入る。仕事にやりがいを感じている慶太とそうでないさやか。

二人は友達の結婚式に出て、次はお前たちだな、といわれるような仲だが、慶太がスペインへ仕事で行く話しがあり関係は激変する。さやかと離れたくない慶太が夢をあきらめて日本で仕事を続けようとしたので、かなり冷たくさやかは慶太を振るのだ。そこで二人の関係は一度絶たれる。

慶太はスペインへ。さやかは日本で夢であった出版社への転職を果たす。

さやかは「恋の叶う花火師」への取材を試みるがどうしても受けてくれない。花火師は自分の花火を上げたとき妻にプロポーズして結婚したが、その後は仕事にのめりこんで家族を省みない男だった。さやかは花火師を息子の運動会に引っ張ってくることで家族関係を修復し、インタビューを受けることに成功する。その記事を読んだ慶太。

一方でさやかはスペインへ一度行く。慶太に会いに。素直な気持ちを伝えるために。でも、慶太が地元の女性と子供と一緒にいるところを見てしまい、誤解したさやか、声をかけずにその場を後にする。

まあ、そんなこんなあるわけだけど、二人はまた再会する。そして「スペインに二人で行こう」とかいい始めるんだな(笑)「ただ行くだけじゃない、手をつないでいく」というのが一応決めせりふのようである。二人がまだうまくいっていたころ、同じことを話していて、それにかけている。

という具合に、なんてことない話でした。いやほんと、サプライズなし! 感動なし! どこかで使った手垢のついたネタをひとつの話にまとめてみました的な作品です。基本に忠実かもしれないけれど、多くの映画を見た人には物足りないかも。逆にあまり映画をみたことがない人なら、楽しめるのかな? 展開そのものは王道なので。

2008/9/17

秘密 映画 A

母と子が乗っていたバスが事故に遭い、母は死亡、娘は助かる・・・と思ったら、娘の体の中には母の魂が!
父(小林薫)がそういう事例を調べると、同じ状況の事例を見つける。そのときは、2年後、突然もとの人格に戻ったらしい。娘の体の中にいる母も、いずれはいなくなり突然娘が戻ってくると見る人に思わせる伏線になっている。

この夫婦、実に仲がいい。元々ラブラブで、母はよく父のあごを触り、「剃り残しチェック」をする癖がある。これも後々の伏線になっている。

母は娘として生きることを決意し、高校へ。娘の記憶・能力(?)のおかげで、授業についていける母。そして医者を目指して猛勉強、見事大学に合格する。

ただし、この辺から夫婦(見た目は父と娘)の間に亀裂が。母は娘の世代(20歳も年下)の男を「先輩」「〜さん」と呼び、長電話。一方の父は、いいなぁと思う人がいても浮気をしてはいけないと思いとどまり、見合い話も断ってきたため、イライラが募り、ついつい電話に盗聴器(?)をつけたりして監視してしまう。

母は他の男と付き合う気はないんだが、父は母(彼にとっては妻)に電話をよこす男が若くて色男であるために、自分と比較して悲しくなる。父は日に日に嫉妬深くなり、嫉妬に苦しむことに。その姿を見る母「あなたを苦しめているのは私なの?」

その直後、母は目覚めると突然娘になっている。ただし、娘は自分の中に母がいたときの記憶がないから大変。それでも眠ることでスイッチされるので、母は娘に手紙を書いたりビデオに残してメッセージを送ったりするようになる。

次第に母でいる時間より娘でいる時間のほうが長くなる。初めてのデートの場所でアイスクリームを食べる父と母。そして「これが最後。自分の体だから分かる。さようなら」と母は告げてから眠り、以後娘のみになる。

数年後、娘は事故を起こした男の息子と結婚式を挙げることになる。父は父として娘の幸せを祝福するが、しかし母が父にしていた顎のあたりを触る癖を不意にしてしまい、父は娘が実はまだ戻っておらず、母の一人芝居であったことを知る。しかし既に結婚式も終わり、披露宴になるところなので、どうすることもできない。母は父を苦しめないために、他の男と娘として結婚することを決意していたのだということは、前のエピソードから分かるところがうまい。

また、父が調べものをして二年後に元の人格に戻った、という話が効いている。まさかずっと母が演技していたとは、僕は予想できなかったのでやられた、と思った。

とてもよい作品だが、あえて言うならかなり初めの部分だろうか。娘の体になって、自分の葬儀から戻った母。普通なら娘の代わりに自分が娘の体の中にいることをもっと嘆くはずだと思うのだが、意外と明るいというか、ニコニコしている。そこに違和感を感じた。
ただ、限られた時間の中で話を進めていくためには、落ち込んでいるシーンはとっとと飛ばして本題に入らないといけなかったのだろう。そういう意味では、この違和感には目をつぶることができる。

2008/8/16

スカイ・クロラ 映画 B-

世界の平和を維持するためには、戦争の悲惨さを人類が常に知っていなければならない。それは教科書ではなく、今まさに戦い、人が死んでいくという形で。そこで生まれたのがキルドレ。たぶん「Kill(殺す) 奴隷」なんだろうな。彼らは殺されない限り死なない永遠の命を持つ。彼らは生まれながらにして職業軍人のようなものであり、死ぬまでひたすら戦闘機に乗り続けることを運命付けられた。

この設定はなかなかよいな、と思って期待してみたのだか、そのネタを活かしきれていないことが残念でならない。

まず、キルドレの宿命や世界観(戦争をショーとして楽しむ一般国民)についての説明が遅過ぎる。そういう話なんだと知らずに観た人は、後半にならないとその世界観を理解できなかったはずだ。

また、ティーチャーという敵方のエースパイロットについてもキャラの掘り下げが甘過ぎる。元はこちらがらの会社の社員で、主人公が所属する場所の隊長(?)であるクサナギ(女性)の上司だったらしいが、それがなぜか敵に移ってしまった。そして主人公とも性的関係を持つことになるクサナギは、ティーチャーという名前を聞くと過剰反応し、あるときは主人公に代わってその戦闘機に乗り、彼を撃ち落そうとまでする。そこまで拘る宿敵でありながら、なぜ移籍したかの説明が「いろいろあるのよ」だけで片付けられている。マジですか・・・。ラストまでには真相が分かると思っていたのに、ガッカリ。

また、「明日死ぬかもしれない僕らが大人になる必要があるのかな?」という主人公の考えは分からなくもないが、そもそも戦闘機に乗り、地球上で唯一の戦争をしている人がすべて少年兵(女性も含めて)というのは、その説明としては不十分だと思う。子供である必要性もないのだ。というか、人権団体とか間違いなく噛み付くと思う。戦争は子供まで投入するとい悲惨さをアピールするために敢えてそうしているのかな? と予想してみるが当たっているかは定かでない。

さらに、やり放題感があるのは、子供子供と言っておきながら、煙草を吸うシーンがやたらと多いこと。さらに平気で飲酒までし、しかも車やバイクを呑んだ後に運転している。これが未来の人類だとしたら、随分と寛容になったのだな、と思った。煙草にあまりに拘るから、きっと何かの伏線なのかと期待していたが、たいしたことではなかった。

キルドレは遺伝子操作によって、子供の状態で生まれてくるらしい(たぶん)。そして主人公も、実は死んだ後、その経験を活かすために遺伝子操作によって再び別の人間として生まれ変わり、またクサナギのところに配属になる。たぶん、クサナギが煙草を吸うから、その記憶がどこかに残っていて「煙草を吸う上司は信用できる。なんとなく」ということになるのだろう。

全体的にキャラが立っていないのが残念だ。味方のパイロットについても、一人撃墜されていなくなっても、正直誰がいなくなったのか分かるまでに時間がかかるほど、わずか数人なのにキャラが立っていない。

飛行機や建物、小物に至るまで、物が3Dっぽくリアルである半面、人物や犬が妙に平面的に描かれていることだけが唯一評価できる点である。生き物がリアルに描かれていないのは、彼らが現実社会から遠く離れた場所に位置していることを示しているのか? と感じた。

2008/8/16

崖の上のポニョ 映画 C+

どうも最近のジブリ作品が好きになれない。話が唐突過ぎるというか。結論から先に言うと、ポニョが人間になれるかどうかチャレンジすることと、人工衛星が落ちたり、月が地球に落ちてくるのと、いったいどのような因果関係が!? と思う。全く持って理解できない設定。納得感が得られない作り話は、制作者のエゴにしか見えない。

そもそも、ポニョを見て「金魚だ!」と疑いもなくいうコウスケに違和感を感じてしまった。だって、僕には全く金魚には見えなかったから。いや、彼はまだ子供だからよいとしよう。しかし、母や老婆たちまで、人面魚にしてはあまりにもリアルなポニョを見て「ただの金魚」としか感じないというのは異常にしか思えなかった。

また、ポニョがコウスケ(男の子)に会いたくて抜け出したところ、海のミネラル成分(?)を偶然飲んでしまい、彼女の妹(同じ姿をしているが小さい)が巨大な魚の形をした波に変わるんだけど、それが街を完全に飲み込むのね。崖の上にあった男の子の家と、一部の小高い丘(山?)の頂上付近だけが地上に残ったほかは全て水没してしまうんだけど・・・。それって水面が百メートルとか二百メートルとかいう単位で上昇したことになるでしょ。ありえないよ、いくらなんでも。南極の氷が溶けでもしないかぎり、海水の量は一定なんだしさ。映画館で私は見たが、私の右後ろに座っていた子連れの男性が思わずもらした「めちゃくちゃだ・・・」という言葉に僕も賛同する。世界の主要都市は全て水没してしまって、人類はもはや壊滅的打撃を受けているはずだ。老婆達が水中に生じた気泡のようなところにいて呼吸ができているように、世界中の人も水中で生きていると考えることもできなくもないが、そもそもその場所に連れて行ったのは海底人(?)のような男なわけだから、彼一人が世界中の人を同様に救うのは不可能であろう。

不思議な力で、あの街だけが海面上昇したと制作者は弁解するだろうが、それはまさに制作者にとって都合のいい設定に他ならない。なぜなら異変は地球規模、いや先述したように宇宙規模で起こっているのだ。海面上昇だけがあの街であるというのは都合のいい設定でなければなんであろうか?

いや、あれは津波だから、一部の地域だけなんだという人もいるだろう。しかし、津波はその後半日以上、その場にとどまるだろうか? しかも荒れ狂うこともなく、静かな水面を保って。

不自然さはまだある。翌日の朝、水没した街の上に小船を浮かべて、赤ちゃん連れの夫婦が、呑気にいるのよ。まるでピクニックで湖にでもきたかのように。おいおい、、、なんだこの緊張感のなさは。もはや観る人を馬鹿にしているとしか思えない。街が完全に水中に沈んでいることからして、彼らはこの世が終わってしまうのではないか絶望したり、あるいは街の人の安否を気遣ったりするのが普通ではない? あえて言おう! 人物が全く描けていない、と。

人物という点では、細かいことをちょこっと書くと、人々の役割というか、何を考え、そのためにどう行動しているのかが理解できない。越前くらげの大量発生を思わせる始まり始まりのシーン、人間の男(?上で海底人(?)と表記した人)が海の中で新しい生命を作っている(?)のもなんで? だって彼、元々人間なんでしょ? だったらなぜそのような仕事を彼がしているの? 彼がする前は誰がしていたの?

しかも彼は海を汚す人間を忌み嫌っていて、滅ぼすことを画策している。そのために高濃度のエネルギーを彼の船の一室に蓄積している。しかし、彼の妻である海の女神(?)はそれを知っているのだろうか? 彼女もまた人類が滅ぶことを望んでいるのだろうか? 少なくとも許容しているのだろうか? 少なくとも高濃度のエネルギーの存在は知っているようだ。なぜならポニョによって、そのエキスが漏れ出してしまったことを報告しているから。ということは、夫が人類を滅ぼそうとしていることを承知していることになる。

だから彼女が船の墓場のようなところに現れたとき、てっきりそれは彼女の仕業なのかと思ったし、そこにいた人々はこのままでは皆死んでしまうのだと思っていた。しかし彼女は全く逆の行動に出る。動かなくなった船のタービンを回してあげるのだ。彼女は人類にとって敵なのか味方なのか、僕は混乱した。ついでに書くと、その場所でどの船も身動きとれなくなっていたし、そこまでは航行できていたコウスケの父の船も動かなくなってしまった。これは海の女神(?)の超人的能力の仕業なのではないかと思ったのだが、違うらしいので、じゃあどうして? ってことになる。殆ど世界観が破滅しているとしか言いようがない。

確かに、細かいところで辻褄を合わせることよりも、楽しく観てもらうことのほうが大切だと思う。しかし、違和感を感じたり疑問を感じたり、なにをしたいのかよく分からないといったモヤモヤ感を与えるようでは、楽しむことすら難しい。特に主人公の周りの重要な登場人物に関しては、もっとディテールに拘ってほしいと感じた。読んでいて薄々気付かれた方もいるだろうが、(?)マークが多いのだ、この作品は。

2008/8/15

トロイ 映画 B+

ギリシャ神話のトロイヤ戦争を映画化したもの。原作では、トロイヤの王子パリスがゼウスの指示で美の女神アフロディーテ、ゼウスの正妻ヘラ、戦いと知恵の神アテナのうち最も美しい者を選びなさいと言われアフロディーテだと答えたことに端を発する。しかし、映画ではさすがにそのシーンはなかった。というのも、映画の中では既に神々の世界と人間界は別世界であり、交わることはないのである(もっともギリシャの英雄アキレスは女神を母にもち、二人は会話をしているが)。

さて、基本神話をかなり忠実に描いているので、神話を知っている人は先が読めてしまい、若干残念かもしれない。とはいえ、この手の話で過度の脚色はマイナスになることが多いから、それはよしといよう。

史実と違うところといえば、ギリシャ軍大将のアガメムノンの死に方であろうか。彼は実の娘を殺したと誤解した妻によって、帰国後殺されているのだが、映画の中ではトロイヤの皇女によって殺されている。

しかし、そのほかは大方史実どおり。アキレスの上陸時の活躍やアガメムノンとアキレスのいざこざ、アキレスに扮したいことが、トロイヤの英雄ヘクトルによって殺されること等など。それでいて退屈さを感じさせない展開の早さがよい。

ただし、オデッセウスの存在感がいまひとつなのが唯一残念だろうか? トロイの木馬にしても、誰の発案なのかとか、あれでは分からないし、ラストは若干あっけなかった。もう少し、ラストに時間をかけてほしかった。

まあ、クライマックスはヘクトルとアキレスの戦いであり、それが終わった後というのは、エピローグに過ぎないのかもしれないが。

2008/8/13

硫黄島からの手紙 映画 A

対になっている父親たちの星条旗とうまくリンクしている。戦争には語る正義はあっても戦場には正義などないことを教えてくれるいい作品だ。戦争の惨さから決して目をそらしていない。

徴兵された一兵卒に、自害を迫るシーンに理不尽さを感じた。彼は決して軍人ではない。少なくても、自分の意思でその軍服を着たわけではない。にも関わらず、防衛していた山を守れなかったというだけで、自害を強要される。なんて理不尽だろう。

硫黄島に赴任してきた中将、オリンピック選手経験を持つ中佐、部下思いな上官と、逆に部下を痛めつけることしかせず、玉砕ばかり口にする上官たち。映画としてのキャラクターは揃っているのが勉強になる。

そして、一人、一人、寝食を共にしている同僚が銃弾に倒れていく。それまで漠然としていた死が、急に身近に感じられる。遠く離れた場所で聞く戦死者の報告は単なる数字でしかないが(スターリンの言葉)、共に生きている者の死とはなんと悲しいものだろう。そして、友を殺したアメリカ兵でさえも、自分達となんら変わらないことを思い知る。アメリカ兵に宛てた彼の母からの手紙は、日本兵の母が日本兵に送った手紙と全く同じ内容だったのだから。

戦争なんて早く終わればいい。一日遅れるだけで、本当は死なずに済んだはずの人の命が、確実に失われていく。それを何年も続ける愚かさを実感した。

2008/8/10 The Happenning 映画 C+

オープニングのシーンは公園。女が二人ベンチに座って話している。遠くから、女性の叫び声が複数上がり、気が付くと隣に座っている友人がかんざしを首に刺して自殺している。ショッキングな映像+話の導入としてはよいのではないかと思った。
その後、ビルの工事現場で複数の人間が飛び降り自殺していく様も、その異様さを表現できていてよい。

しかし、細かいところで粗が目立つ。
まず、かなり早い段階で、連続自殺事件が植物によって引き起こされていることが分かる。それは公園で最初の犠牲者が出たことから推測されるのだが、しかし、それだけでは不十分ではないだろうか? 植物が身を守るために毒素を出しているとしても、プラスαの要素が後半になって明らかになることを期待していたのだが、最後まで結局謎のままだった。そのため、いまひとつすっきりしない。

しかも、大人数の人間がまとまって行動すると植物が刺激されて異常現象が引き起こされるというのも分かるけれど、でもさぁ、、、車で数人で移動していて、ちょっとの隙間で自殺してしまう人たちもいたし・・・。基本的に人数だけが原因ではないような気がする。だとすれば、やはり何かとの因果関係がほしい。

また、感染すると自殺することが分かっているのだから、極力武器は持たないようにすべきなのに、軍の兵士は銃を持ったまま歩いているし…、詰めが甘いよ。

でも圧巻はラストかな。カップルの二人と、男の友人の娘の3人が、男と女+娘に分かれて母屋と倉庫にいるシーン。「離れて死ぬのは嫌だ」とかいう理由で、男は危険を顧みず、外に飛び出す。すると女もまた、娘を連れて外に出る。その直前に、その屋敷のばあさんが感染して死んでいるんだよ…。あんたら、友人から「娘を守り通してくれ」とか言われておきながら、道ずれかい!

しかもちょうどそのとき、感染がぴたりと止んで、三人は助かるんだけれど、その絶妙のタイミングで冷めました・・・。

三ヵ月後のテロップの後、ニコニコして街を歩いている男と、彼を迎える女。あんたら・・・あんなすごい体験しておきながら、三ヶ月で何事もなかったかのように暮らせるんかい! 女は妊娠していて喜ぶんだけど、たぶん、三ヵ月後という設定は、子供があのあとのHですぐできたことを示したかったんだろうなぁ。はぁ、そうですか・・・ご自由に。

そして、ニュースキャスターと科学者がテレビで話しているシーン。キャスターが「他の地域でも発生しない限り、国の施設から何かが漏れたのではないか? ということを信じる」みたいなこと言って、ああぁ、言っちゃったよ、と思った。
案の定、ラストは他の地域で同様の現象が再発するところで終わる。なんだか後味が悪い。

・2008年7月以前の感想を読む
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