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何物にも縛られない自由 |
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往け、吾、まさに尾を塗中に曳(ひ)かんとす |
ある時、釣り糸を沼に垂らして楽しんでいる荘子のところへ楚の重臣がやってきて、わが国の宰相になっていただきたいと荘子に言った。 当時、楚には霊験あらたかな甲羅があると聞き及んでいた荘子は重臣にこう尋ねた。 「その亀ですが、死んでから甲羅を拝んでもらう今の状態と、泥水に尾を引きずりながらでも生きていた頃の状態とどちらが幸せだったでしょう?」 重臣は「もちろん、生きていたときのほうが幸せだったでしょう」と答えた。
その時、荘子の言った言葉が「往け、吾、まさに尾を塗中に曳(ひ)かんとす」
全ての人にとってそれが幸せな生き方とは限らないし、在野で生き抜くことも苦労はあるであろうが、荘子の自由人としての
姿勢がうかがえる。 |