荘子曰く 巨悪は眠る

鉤を盗む者は誅せられ、国を盗む者は諸侯となる
 法が整備されると必ずその抜け道を見つけ出してまんまと咎めを受けない人達がいる。 むしろ法の網にかかる人の方が遥かに小物であることが多い。
 上でいう鉤(こう)とは帯止めの金具のこと。
 帯止めのような小さなものを盗めばたちどころに捕らえられるが、国を盗んだ者は 裁きを受けるどころか諸侯に取り立てられる。
 荘子はこの理不尽さを嘆く。

 ちなみにこうして盗み取ったものを背景に、悪人が善人ぶって表社会で名声を受けるようになったら 世も末というべきだろうか。何やら今日のこの国に、よく似た状況と言えなくもないが。

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