荘子曰く 聖人の勇気

窮の命あるを知り、通の時あるを知り、
大難に臨んで懼(おそ)れざるは、聖人の勇なり
(私訳)
 「勇」とは勇気のこと。

 「窮の命あるを知る」とは、不遇な状態に陥る運命もあると言うことを知る、ことである。
 命とは運命のようなもので、自分の努力とは無関係に定められたものをいう。
 つまり、努力しても一向に芽が出ないからと言って嘆いてはいけない、人生には多分にそういう事があるという ことを知りなさい、と荘子は言う。

 「通の時あるを知る」とは、時流に乗って事が順調に運ぶこともあると言うことを知る、ことである。
 通とは事が通じた状態、つまり成功を修めたことを言っている。
 人生において、成功することも当然あるだろう。それはあるべきしてあるのであって、決して慢心してはいけない、 と荘子は言う。

 「大難に臨んで懼れざる」は、我々が普段認知している勇気のことと言っていいだろう。大きな困難にぶつ かっても、恐れず立ち向かうことを言っている。

 我々は勇気と言うと、どうしても最後のことばかりに気を取られてしまうが、不遇の状態に陥っても焦らず・ 諦めず努力を続ける勇気や、事が次々と成功していっても謙虚であり続ける勇気は長い目で見れば非常にに大切なこと だろう。

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