老子曰く玄徳

生じて有せず、長じて宰せず
(私訳)
 老子の言う「玄徳」とは、「道」が備わっている大いなる「徳」のことである。
 「生じて有せず、長じて宰せず」とは、「生むけれども所有せず、育てるけれども支配しない」の意。
 人は誰しも自分が作ったものは自分のものとして傍においておきたいし、育てたものは思うが侭に扱いたいと 思うものだ。
 しかしそれは徳という観点からは反する。
 たとえ生み出したのが自分であっても生まれてしまったからにはもはや自分のものではなく、 たとえ苦労して育てたとしても育ったからにはその行動を制約してはならない。
 それをすることはエゴであり、自分のことしか考えていない小さな人間のすることなのである。
 大いなる徳とは、たとえ自分が生み出したものであっても人に分け与え、たとえ自分が育てたものであっても それを用いるときは自分の都合ばかり考えない、ことであると老子は言う。
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