老子曰く三つの指針

我常に三宝あり。一に慈、二に倹、三に敢えて天下の先たらず。
(私訳)
第一の宝、「慈」とは人を慈(いつく)しむこと。
第二の宝、「倹」とは物事を控えめにすること。
そして第三の宝は、人の先頭に立たないことである。

 老子はこれらについて次のように説明している。

 人を慈しむからこそ勇気が沸いてくるし、物事を控えめにしているからこそ行き詰まらない。
 また、自ら人の先頭に立とうとしないからこそ、担がれる。

 現代のような競争社会には通用しない、そう思う方もいるかもしれないが、老子が生きていた時代もまた、 周王朝の徳が衰え、各地の諸侯達がしのぎを削る激動の時代だった。しかも命がけである。
 すべてが老子の言う通りにはならないかもしれない。しかし、一片の真実として、心にとめておきたい言葉である。

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