日本の教育を考える〜社会科編に対する投稿
陽圓喜さんのご意見
 まず,軽く自己紹介。私,塾講師なんです。現場からの意見として。担当教科は五教科。 ただし,中学レベルまでです。

 高校入試において,公民のウェイトが低い一因に,進度の問題もあると思われます。 教科書内容が満足に終わらないまま,入試を迎える学校が多いんですよ,少なくとも私が 生活している某県では。それに対する配慮かもしれません。本当のところはわかりませんがね。

 小学生で理科が好きな子は多い。それは,身の回りに起きていることが題材だから。 子供たちも,その現象は知っているんです。
 中学生に教える公民。政治に関しては,憲法が中心です。それがそもそも間違いのもとではないで しょうか。
 まずは,法律についての学習から始めるべきでしょう。民法や刑法が良いでしょうか。 多少なりとも知っているはずですから。法を知り,その成立した背景を知り,過去の法との比較をし, 十分機能しているかどうかを考えさせる。 その上で,法律制定のしくみを教え,法を作るのも,変えるのも,また 無くすこともできるのも,君たちなんだ。という流れにもっていけたら いいのになぁ。法律も知らないのに,法律の制定の学習って言ったって, 「なんなの,それ?」ってなもんです。
 公民の学習は,現在の内容では,2年は欲しいところです。  


管理人より
 塾講師という立場でのご意見には非常に重みを感じました。
 ご意見、ありがとうございます。
 今後も忌憚のないご意見や反論をお聞かせください。

 公民が中学三年生にならないとやらないのは私の県も同じです。おそらく全国規模でそうなんですよね?
   しかも三年生というのは受験やなんやで、実質的には2学期までですから、大変忙しいんですよね。
 だからどうしても公民は最後まで進まないで、重要と思える所を点々と習う程度。しかも授業の進み具合 などによっては、下手をすると二年生で終えるはずだった日本史を、こっちのほうが 重要だからという教師の言葉でやってしまったり・・・。
 もちろん、生徒はそんな教師のマインドを敏感に感じ取るものです。

 また憲法を教えるのって結構難しいですよね、イデオロギー的に。実生活とはかなりかけ離れています。
 もちろん、重要なことは百も承知なのですが、確かにそれを初めからやっても好奇心が沸かないから、 学力向上には私も非効率だと思います。まずは法律を作るのも変えるのも我々国民なのである(実際に条文を 書くのは官僚だとしても・・・)という自覚を教えなければ、「難しいことはお上に任せておけばよい」という雰囲気は 今後も延々と続くと懸念しております。
 陽圓喜さんのご意見は尤もだと思います。

 付け加えるならば、現在は私が中学生だった十数年前に比べて遥かに政治不信が強いことです。確かに私が生まれた 頃ロッキード事件があったりと、政・官・財の癒着はありましたが、経済成長中だったせいか今ほど政治不信は ありませんでした。
 政治家になりたいという卒業論文で書いた同級生もいました。
 しかし現在は違います。政治家になりたいと言ったら、「捕まるようなことするなよ」という言葉がまず口を 出るでしょう。それほどダーティなイメージが定着してしまいました。
 これでは、例えば国会の仕組みを教室で教え、実際に議事堂へ社会科見学に行ったとしてもその感動は 低いと考えられます。「わー凄いなぁ」ではなく、「ここがあの証人喚問が行われた場所か・・・」という 感想しかもてなかったしたら悲しいとか言い様がありません。

 是非、社会科を教えるのが楽しい社会になってほしいものです。

 陽圓喜さん、ご投稿ありがとうございました。

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