本日の御題:ネクストキャビネットは成功するか?
◆ネクストキャビネットとは?
 民主党前代表の菅氏は、以前、シャドゥキャビネット(影の内閣)やオリーブの木構想など様々な考えた方をもって 民主党をなんとか自民党の対極に置くよう努力してきた。ネクストキャビネット(次の内閣)という考え方も、その流 れを汲んでいる。

 簡単に言えば、正式な内閣とは別に野党が内閣を組織することで政権交代をスムーズに行うことができるようになる。 いわば平時から臨戦状態に置くのである。大臣を任命して、その担当分野について政策秘書をつけ、また官僚とは別の ブレーンを持つことで、与党・内閣の不正を指摘すると同時に、いざと言う時はその代わりをいつでも引き受けることが できるようになる。

 実はこのネストクキャビネット、つい最近だが実際に組閣されたことを皆さんはご存知だろうか? 存在自体は知ってい ても、大臣の名前までは……という方が多いのではないか? 具体的な構成メンバーは次のとおりだ。

総理大臣鳩山由紀夫(52)
官房長官菅直人(52)
無任所大臣川端達夫(54)
教育・科学技術大臣松沢成文(41)
外交・安保大臣伊藤英成(57)
男女共同参画・人権・総務大臣千葉景子(51)
社会資本整備大臣前原誠司(37)
雇用・社会保障大臣今井澄(59)
予算・決算大臣横路孝弘(58)
財政・金融大臣岡田克也(46)
消費者・産業大臣足立良平(63)
地方分権・政治・行政改革大臣松本龍(48)
環境・農水大臣佐藤謙一郎(52)
情報・通信大臣小沢鋭仁(45)
司法大臣江田五月(58)

 主な特徴としては、小渕氏が組閣している内閣よりも平均年齢が13歳も若いことである。

◆ネクストキャビネットの今後
 上記の閣僚はその名前らも分かる通り、政策決定の指令塔となる。表の内閣が省庁に縛られ、情報通信技術が 通産省と郵政省の縄張り争いになっているのに比べ、ネクストキャビネットは「情報・通信大臣」とするなど、 官僚に拘束されないメリットを十分に活かしている。
 国会の各委員会では政府の閣僚と議論しあうことが期待されている。

 しかしその割にはネクストキャビネットはあまりに静かなスタートになってしまった。その理由の一つは、 国会での質疑応答の際、これらの閣僚が政府閣僚と対決する、つまり対極軸とまでは至っていないからだ。
 確かに発足間もないネクストキャビネットにそこまで求めるのは酷なことかもしれないが、発足の理由を考えると いささか存在感が薄い。

 また閣僚がすべて民主党であるため、どうしても最大野党の内部的な組織として映ってしまう。
 社民党や共産党など他の野党は確かに勢力も小さく、また政策も異なるため共闘は難しいかもしれないが、 自民党という巨大政党に公明・自由を合わせた3党を相手に民主党がただ1党で臨んだとしても、決して 「次の内閣」には成り得ないだろう、と誰の目にも映ってしまうのだ。

 1998年の参議院選挙直後、民主・公明・自由が協力関係にあったあの時に、なぜネクストキャビネット(当時は シャドゥキャビネットと呼ばれていた)を立ち上げることができなかったか、残念で仕方がない。
 現状では実効性も、それに付随するインパクトも比べ物にならないほど小さいのだ。

 私は基本的には反自民党の立場である。それは自民党の一党独裁政権(現在は連立であるが、閣僚の多くはやはり 自民党議員である)が続いた結果、政治と業界の癒着が深刻化しているからである。
 これが意味のない財団を作り上げ天下り先とする温床になったり、薬害エイズ・長銀への資金注入などに代表され る親密企業への行政の対応の悪さを生み出している。
 政権を交代し、政治と業界の癒着を断ち切ることこそが、今の日本には最も必要なことであると筆者は考えている。

劉表さんからの感想(1999.12.20投稿、12.24掲載)

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