◆日本人の気質
日本は製造(ブルーカラー)は強いが、ホワイトカラーは弱いと言われた時代があった。
おそらくそれは今でも変わりない。
正確には、製造業の中でも進化が比較的遅いモノ、ある程度完成されたモノが強い。家電しかり、車しかり。
反対に、パソコン部品など日進月歩では、完全に日本メーカーは締め出されてしまっている。こちらは規格の問題もあるが…。
これはどういうことだろうか?
私は、日本人の気質に原因があると考えている。
日本人は協調を重んじるといわれてきたし、現在の企業でもそれは変わらない。
それは素晴らしいことである反面、経営判断がどうしても遅くなる。
たとえば、何かを決めるときも、協調型の日本企業では、ホワイトカラーは多くの人のスケジュール調整を行い、
一同に集め、了解を貰わねば事を進めることができない。
当然、管理職は会議に追われることになる。
会議が増えるということは、目を通さねばならない資料が増えるということだ。
しかも、自分の部署の話だけではないので、内容を把握していないことも多いとなると、より分かりやすい、詳細なデータの
提出を部下に求めるようになる(ただし資料が多ければ分かりやすいというものでもない)。
部下は会議のたびに膨大な資料作成をすることになる。
これらはすべて、決断を遅らせ、ホワイトカラーを非効率な業務に縛り付ける悪い例だ。
一方、ブルーカラーでは協調性がある日本企業が強いのが分かる。
製造業・特に製造現場に求められるのは個性でもなければ決裁でもない。
決まったラインで決まった製造を行っていく、それだけである。このルールを黙々と守って実行していくという点においては
日本人は強さを発揮できるのだろう。
◆高齢化も影響している
また、日本企業というより日本全体にいえることだが、どうしても高齢化というものは避けられない。
私も含めて、人間、年を取るとどうしても保守的になりがちだ。それは企業に限らず、身近な、たとえば両親や家族を見ていても
分かることだろう。
しかも、自分より若い人はどうしても下に見てしまうため、役職ある年配者は、若い世代の意見に対しても否定しがちである。
もちろん、経験がある年配の意見というのも必要だろうが、彼らが積み重ねてきた経験自体が、既に時代から取り残されている
ことも少なくない。20年前、30年前に経験したことが現代では通用しなくなっているということも多々あるのである。
残念だが、高齢になると時代についていけなくなる。たとえば電化製品ひとつとってもそうだろう。若いころは新しい製品を買ってきて
説明書もろくに読まずすぐ使えたのに、年齢を重ねると説明書を何度読んでも忘れてしまう。高機能であればあるほど(自分が若かった
ころになかった機能があればあるほど)、その傾向は顕著になる。
これはつまり、新しいものを理解する能力が衰えているということだ。
尤も、中国・三国志時代の名宰相・諸葛亮ですら、「血気盛んな若者に指揮を取らせてはならない」と言ったぐらいだから、
少なくとも大きな失敗をしないためのブレーキとして年配の方の意見を聞くのは重要である。問題はブレーキを常にかけたまま
走る車のようになることだ。