本日の御題:北朝鮮の核実験について

◆発言の真意はどこにあるのか?
 テレビの公開討論で、「日本の核武装も議論として必要」とか言った政治家がいる。。。その人の名は中川政調会長。
 驚くなかれ、彼は与党・自民党の政調会長という要職についている人だ。

 これは近隣諸国に対して悪影響を与えかねない。彼は知っているのか!? 韓国で一番嫌いな国ナンバーワンが日本であるということを。
 韓国同様アメリカの核の傘によって守られている日本が核武装を考える(議論するとはそういうことだ)というのが彼らをどれだけ刺激するか。
 その可能性を今論じるべきではない。
 アメリカが日本から全面的に手を引き、本当の意味で自衛する日が来るまで、日本は非核三原則を守るべきである。
 しかも、北朝鮮の核開発・拡散について国連が主導となり、責めようとしているこの時期に、なぜ核の議論をしなくてはならないか、私には全く分からない。 北朝鮮を非難する大義を失うことになりかねないからだ。
 まして、毎年国連総会で非核を訴えてきた日本政府が突如核の保有について議論を始めれば、国際的な信頼を失いかねない。
 B級週刊誌の記者ならいざ知らず、与党の政調会長が容易くそのようなことを口にすることに私は疑問を感じる。

 もっとも、副産物もあった。中川政調会長の発言の影響かどうかは分からないが、中国が北朝鮮への送金を停止し、荷物のチェックも行うようになったためだ。
 米国のブッシュ大統領は、日本の核武装を懸念することで、中国を動かすことも可能になるだろう。
 実際に核武装することはないとしても、核武装に対して含みを持つことで、北朝鮮包囲網に消極的な近隣諸国のお尻を叩くことぐらいはできるはずだ。
 ただ、この薬は劇薬に近い。ひとつ使い方を間違えれば、そのまま破滅への道を進みかねないことを十分理解した上で、政治家は使うべきである。

◆待っても事態は好転しない
 しかしその一方で、北朝鮮に対しては軍事行動も含めた徹底的かつ効果的な制裁をしなければならないと考えている。
 というのも、核開発の疑惑が持たれた1994年から、事態は少しでも好転しただろうか? 北朝鮮に対する譲歩は、結論からすれば彼らに核開発の時間を与えたに 過ぎない。核開発を国是にしている以上、どんな約束も決して守られないし、目的は決まっているのだからそれを止めることもできない。 私は北朝鮮が2度、3度と核実験を繰り返す危険は非常に高いと考えている。そして繰り返される度、核の脅威はいよいよ現実のものとなるのだ。
 彼らは明らかに核を他国への脅迫の道具として使おうとしている。その精度が問題を先延ばしすればするほど、確実に高まるのは目に見えている。
 これ以上、彼らに譲歩し、融和策を取ることに意味があるだろうか?
 近隣諸国が、いや世界が枕を高くして寝るためには、核開発を推し進める国家に対して、断固としたNOを突きつけるしかないのである。
 悲しいことだが、書いていて心の底から嫌な気持ちになるが、そのために流される血はやむを得ない。
 戦争など決して望まないが、それでもここで北朝鮮の暴走を止めなければ、核非拡散条約は有名無実となり、イランを含む第二・第三の北朝鮮が世界中に現れるだろう。 そのとき、人類は本当に意味で核の恐怖に陥ることになるからだ。
 こんなことを書くと、鷹派のように思われるかもしれないが、日本人は自覚すべきである。平和は叫ぶだけでは訪れないものである、ということを。 平和は守ってこそ初めて訪れる。特に、独裁国家の前では。
 たとえば、ナチスがいい例だ。当時、ナチスドイツの近隣諸国への侵攻を英仏は黙認した。結果としてポーランド侵攻で宣戦布告となったわけだが、 彼らは自分の力で止まることを知らない。黙認すればしただけ、更に悪化した状況に追い込まれるのである。であれば、できるだけ早い時期に、手を打つことが 結果的には最も犠牲の少ない解決方法なのである。

 ただし、それでも問題は多い。北朝鮮を攻撃することを、太陽政策を勧めてきた韓国政府は許さないだろう。
 北朝鮮と国境を接している中国・ロシアも反対するはずだ。
 また、北朝鮮が核実験を行うに至った責任が最も重い国として、韓国国民が米国を上げていることを考えると、米国が北朝鮮を攻撃した場合、韓国国民がそれを 支持するとは到底思えない。むしろナショナリズムに後押しされ、韓国国内の米軍基地は使用不能になるかもしれない。
 その場合、日本の基地を使うことになるが、それはそのまま北朝鮮の標的に日本が選ばれるということでもある。しかも、集団的自衛権の問題も合わさり、 日本の対応が不十分なものに留まれば、米国からは不信を買い、国内からは政府・与党に対して強い風当たりになるだろう。

 つまるところ、日本にとってもここが正念場ということだ。

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