◆対米重視というより一辺倒
友人は多いほどいい。私はそう思う。そしておそらく、日本国憲法もそうだろう。
国際社会の中で名誉ある地位を築く、ということは、
決してアメリカ一辺倒外交を展開するという意味ではないだろう。
靖国神社参拝に対する中国、韓国の対応は、日本人には確かに解せない点が多い。国内のナショナリズム高揚のよい
プロパガンダとして利用されている感が否めないからだ。
しかし、同時に彼らに付け入るスキを与えてはいけないのも確かだ。アメリカという強い味方がいるから大丈夫だと小泉首相は高をくくっているようだが、
日本の頭を飛び越えてアメリカが中国と国交を樹立した過去を忘れてはならない。国力や政治的・経済的結びつきによって国家間の関係は常に変化する。
今はたまたま中国よりも日本と組むほうがアメリカの国益にかなっているからそうしているだけで、一たび日本の国力、例えば経済力が低下すれば、
アメリカの対アジア外交は大きな転機を迎えるはずだ。アメリカがそれまで中国の正統な政府として認めていた中華民国を捨て、中華人民共和国を認めたのと
同じように。
◆意地の張り合い早めよ
中国の首相の高圧的な態度は、確かに日本人の神経を逆なでするところがある。中国にどの国よりも投資し、インフラを整えたのは他ならぬ日本だからだ。
しかし外交は常に利害で動かねばならない。詰まらぬ意地の張り合いで国益を損ねては、名宰相として語り継がれることはできないだろう。
靖国神社参拝の問題など、元々大きくする必要が全くないのだ。A級戦犯を別に移しておしまいである。それすらできずに「外圧に屈するのは面子に関わる」的な
ことを言うことにそもそも外交のセンスを感じない。中国から強く非難され参拝を取りやめれば外圧と呼ばれるかもしれないが、韓国大統領と会談時に「A級戦犯を
分ける」と言えば、それは外交的成果だ。韓国大統領からは点数稼ぎをさせてくれてありがとう、ときっとテーブルの陰で袖を掴まれ呟かれるだろう。
要はタイミングなのである。
ただ突っぱねるだけの外交が、いったいどれだけの利益を国に与えてくれるだろうか?