本日の御題:東アジアのナショナリズムとどう向き合うか

◆危険な韓国
 今、韓国がおかしい。太陽政策と称して北朝鮮との融和政策を取って来た成果なのだろうが、最近スポーツの祭典ではことあることに 「統一旗」を見るようになった。そしてそこには北朝鮮の「美女軍団」が存在する。彼女たちは想像以上に大きな成果を上げている。 素朴で純朴な彼女たちは、北朝鮮の国民が金正日の独裁・圧政下に置かれ、飢えに苦しんでいるという事実を韓国国民に忘れさせるのには 十分だからだ。

 統一旗は、韓国国民のナショナリズムの高揚に多大な貢献をしている。昨今の反日感情の高まりは、一つには日本海の名称問題や 竹島の領有権問題、あるいは小泉首相の靖国神社参拝が関係しているであろう。しかし、それ以上に南北朝鮮の統一を強く意識する韓国国民が、 その原因を作ったアメリカ/日本への嫌悪を再認識していると考えるべきだ。事実、今韓国では反日だけではなく、反米の風も吹き荒れている。

 しかし、それは今後韓国の政権に大きなリスクを負わせることになるだろう。記憶に新しい金融危機を乗り越え、サムスンに代表される 大企業が興隆し、経済が好転したという成功も一瞬で失われてしまうかもしれない。なぜなら韓国の北朝鮮寄りの政策は、地域の安全保障 に大きな影響を与えるからだ。特に、北朝鮮が核開発を放棄しない現時点においては。

 今後、問題になるのは一度統一への熱が高まった国民を韓国政府が制御・抑止することができるかということである。北朝鮮が今後も 核開発の問題を引きずればアメリカだけではなく北朝鮮と国境を接し、ノドンの射程距離に首都北京が入る中国も北朝鮮に対して 厳しい対応をすることになるだろう。その場合、韓国は北朝鮮という同胞のために冷や飯を食う覚悟ができているだろうか。
 たとえば、もし北朝鮮への経済制裁が国連によって発動された場合、韓国政府の立場は微妙になる。同朋意識の高揚のため、 北朝鮮を救えという気運が国内で高まることは間違いない。しかし、経済制裁のようなものは一国でも同調しない国があると意味を なさないため、それは韓国の孤立を意味する。韓国政府は難しい舵取りを要求される訳だ。

 今後、韓国は北朝鮮に更に接近するだろう。もし統一されることになれば、彼らは米国の手を離れ、文化的・経済的結びつきから 中国寄りに外交の軸足がシフトしていくことも間違いない。南北分断状態がなくなれば在韓米軍の存在意義は薄れ、ナショナリズムに 後押しされて統一朝鮮政府は駐留する米軍を追い出すことになるだろう。
 悲しいことに、その受け入れ先が、日本になることは言うまでもない。

◆東アジアの軍事バランス
 中国に目を向ければ、かつては領土問題でギクシャクしたロシアとも友好な関係を築いている。中国にとって、ロシアは戦闘機、潜水艦、 ロケットなど軍事的なものをノウハウまで含めて与えてくれる国であり(中国はただ購入するのではなく、ハイテク技術を国内に根付かせる 努力をしている)、今や友好国である。東南アジアは華僑が事実上その経済を牛耳っている。南北朝鮮に対しては反日という共通の価値観がある。
 台湾には武力という脅しと経済交流という同化政策を行っている。
 さて、ここで問題になるのは今後の日本の立場だ。南北朝鮮が中国寄りになった場合、アメリカの日本の位置付けは冷戦時以上に重要なものとなる。 なぜなら軍事的に巨大化している中国と、アメリカは対抗しなければならないからだ。
 また、日本もアメリカを必要とする。日本単独でロシア、中国、南北朝鮮と交渉することは明らかに不利だからだ。これまで韓国と日本が分担していた 米軍を、日本が一手に引き受けなくてはならない日がもうすぐそこまで来ている。

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