本日の御題:アメリカの暴挙と日本の無能
◆戦争の世紀と平和の世紀
20世紀が終わろうとしていた時、我々人類は自らの過去をどう振り返り、何を誓っただろうか?
21世紀を迎えようとしていた時、我々人類は自らの未来をどう描き、何を願っただろうか?

 20世紀は戦争の時代であった。第一次世界大戦以降は兵器の性能が飛躍的に向上し、空爆等による 民間人の死亡数は兵士の死亡数を上回った事も19世紀までには見られない傾向であった。
 人類は国際平和を強く願い、国際連盟、国際連合という2つの平和のための枠組みを作った。

 また20世紀は原爆の世紀でもあった。化学兵器、生物兵器の世紀でもあった。大量破壊兵器と弾道ミサイルの世紀でもあった。
 人類を、いや地球上の生きとし生けるものを、いや地球そのものを何度も絶滅、破壊できる兵器を作り上げ、 敵国のこめかみに突き付けることで己を守ろうとした。

 そしてあるとき突然、冷戦は終わった。
 人々の心から大きな悪魔が消え去った事で、21世紀はもっと平和な時代になると誰もが期待した。
 しかし皮肉な事に、力の均衡が崩れた事でホットな戦いが再び世界各地に蔓延し、唯一の超大国は自国のエゴのために 拒否権を乱発しておきながら(自国の利益にならないことに対して拒否権を使うのは当然だとブッシュ政権は公言している)、 他国が拒否権を使おうとすれば「それでは国連が機能しない」と非難する。
 自国の兵士が同盟国で事件を起こしてもそれを不起訴にしようと躍起になり、自国が売りさばいたもはや現役では使えない旧式の兵器が 他国で悪さをすれば、それを片付ける事が平和を守る事だと豪語する。

 さらに唯一の超大国はアフガニスタンで見せたような「YES/NO」を世界各国に強要することで事実上の脅しまで行っている。
 もしアメリカを支持すれば、今のスペインのように国力以上に「大国」として認めよう。しかし支持しないならば、常任理事国の「フランス」だろうが 「ロシア」だろうが、EU一の経済力をもつ「ドイツ」だろうが容赦はしない。
 それがブッシュ政権になってからの一貫したスタンスだ。そしてこれが自称世界の警察でもある。
 もはや我々は、唯一の超大国の抑止力として、アメリカ国民の良心・良識に期待するほかない。

 しかし、この認識が世界規模で広がったとき、おそらくアメリカにとっても不幸な結果を生むだろう。
 唯一の超大国に対してはどの国家も本気で反対する事ができない。その状況で、裁判権も立法権も行政権も持った傲慢な警察が不当な要求を突きつけて きたならば、人が行き着くところは意外と単純なものだ。
 たとえばロシアのチェチェンは地元ではゲリラ戦を繰り広げ、ロシアの首都モスクワでは劇場占拠という暴挙に出た。
 たとえば北アイルランドではイギリスからの独立が認められないために、爆破事件が起こったこともあった。
 たとえば北京での爆破事件は貧困地区に住む者の犯行であった。
 いずれも、まともに戦って勝てないと確信した者の行動である。
 そう、21世紀の戦争そのものの仕方が全く変わるかもしれないのだ。

 単なる物量では戦いの勝敗は決しない。例えば航空機を爆破させる事で飛行機社会アメリカは大パニックに陥った。事実、世界一の競争力をもつはずの米国の航空会社は、 そのリーダーカンパニーでさえ存続が危ぶまれるほど大打撃を受けている。
 郵便も影響が大きかった。ある日突然、白い粉の入った郵便物が届くと、仮にそれが塩コショウの類であったとしても誰もがパニックに陥った。
 韓国で起こった地下鉄の火災事件も今後テロとして十分使える手法だ。
 いいや、人の生活に密着したところで、もっと効果的な方法もあるはずだ・・・。
 21世紀のアメリカ本土は、もしかしたらとてつもなくリスクに富んだ地域になるかもしれない。

◆日本の国会議員は人材不足
 さて、世界がポスト冷戦の混乱期にあるとき、日本の政治家たちは何をしているのだろうか?
 合いも変わらず、地元への利益誘導のために国家の血税の浪費に奔走し、族議員と呼ばれても恥じる事もない無恥な輩が面を揃えている。
 北朝鮮問題がこれほど逼迫している最中でさえ、未だに「攻撃しなければ攻撃を受けない」「兵器を持たなければ攻撃されない」「自衛隊は憲法違反」、 いやいや「ミサイルが飛んできたら災害と判断して自衛隊を派遣する」といった詭弁というか、全く以って冗談にもならないことを国会の場で、大臣が平然と言っている。 正気の沙汰ではない。

 しかも、平和ボケは未だに治っていないようで、旧社会党出身者、その中でも女性議員に特に多いが、国連に公平さを求め何でも国連の名を出す傾向が日本にはある。
 しかし、それは明らかに現実を直視していない、あるいは全くの無知の為せる技だ。
 国連は、各国が自らの権利を主張し、利益を如何に合法的に手に入れるかの権謀術数が渦巻く場所である。

 例えば、フセイン大統領がいる限りアメリカのイラク攻撃が避けられないと感じれば、ロシア・フランスはアメリカの武力攻撃を非難しながらバクダットに入り、 そしてフセイン大統領に退陣を要求する。一見相反する行動に見えるがこれはとても強かな戦略で、アメリカに攻撃の口実を与えないばかりか、 アメリカの提案ではなくロシア・フランスの提案でフセイン大統領を退陣させることで、その後のイラク新政府に対して影響力を高めようとする意図がある。
 ロシアもフランスも、国民レベルでは単なる平和運動かも知れないが、政治家たちは自国の利益のためにちゃんと最大限の努力をしているのだ。
 イラク攻撃に反対しているからといって、チェチェンに軍隊を送り込んで大虐殺をやっているプーチンを、決して平和主義者と誤解してはいけない。

 このあたりが決定的に違う。日本の国会議員が国益を考えていないとは言わないが、北朝鮮の拉致問題で被害者の家族がアメリカ政府に解決を訴えるなど異常事態が 起こるほど、その政治手腕はお粗末なものなのだ。とてもイラク問題でうまい駆け引きができるとは思えないし、北朝鮮の問題にしてもアメリカや韓国と協調して 当たると言ってはいるが、結局自分では何も判断できないというのが真実の姿なのだ。

 それは日本の防衛体制そのものがアメリカの手のひらの中にあるためだ。アメリカの貿易赤字の半分近くが日本だったバブルの頃(ちなみに現在、 そのありがたくない地位は中国に譲っている)、日本は貿易不均衡を是正するために 高額でF−15戦闘機を大量に購入したが、その戦闘機は誘導式の爆弾を積めない為、北朝鮮が仮に弾道ミサイルの発射準備を開始したとレーダーで察知しても、 攻撃する事ができない。
 そもそも自慢のイージス艦は航空機を捕らえるためのレーダーしかもっておらず、弾道ミサイルに対しては全く役に立たない。
 巡航ミサイルトマホークの類を持っているわけでもなく、おのずとアメリカ協調外交を強いられるわけだ。自国の平和を自国で守れないものの宿命である。
 高い金をアメリカに払い続けながら、なお自立もできない。これを飼い殺しと言うのではないのか?

 日本国民にとって、日本政府が言う政治は笑えないジョークに似ている。


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