本日の御題:グローバリゼーションという名の火遊び |
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◆企業を愛さない株主の増加 バブルというよりは自転車操業という名のほうが相応しいかもしれない。アメリカ経済の根幹を揺るがしかねない今回の米国市場の株価暴落は、 もはや誰にも止められないほど深刻な様相を呈している。 そもそも、暴落はエンロン社の不正会計に端を発している。内容は利益の過大申告。一社でこのようなことが起これば他社も 類似したことをしているのは古今東西差がないようで、まさに人知には限りがあるということを雄弁に証明していると言えるだろう。 ではなぜ利益の過大申告などしたのだろうか? 税金を少しでも多く支払いたいという愛国心がそうさせたのだろうか? いや、実はアメリカ経済のバブルを支え続けた「強い株主」こそが、結果として経営者を不正会計へ弄らせたのである。
現在、グローバリゼーションの名の下に、多くの多国籍企業が事業の継続的拡大という至上命題を背負っている。拡大期に入っている市場で
トップを走っている企業に、世界各地から膨大な資金が株式を通して流れ込む仕掛けが出来上がっているからだ。
資金の流れが国家間をいとも簡単に、しかも瞬時に移動するシステムを作り上げたアメリカは金融面でこれまで多大な恩恵に預かってきた。 私は初めに、「バブルというよりは自転車操業」であると言った。そう、企業は、解体するまで 永久に利益を増大させ続けなくては(しかも投資家が納得するスピードで)ならないという脅迫感に追われながら、決算書を作成することに 執心することになったのだ。株主ウケする決算書を粉飾してでも出さなければならなかったのは、 経営者のモラルの低下もさることながら経営環境の大きな変化のほうが影響していると筆者は考えている。
◆火消しが火元になる時
しかし、バブルへの警戒感があったこの時期に発覚した不正会計処理は米国への信頼を揺るがすのには十分であり、90年代から去年まで火消し役だった
米国が、突然火元になってしまった。現在は特別投資材料のない欧州や日本はそれに引きずられる形でズルズル株価を下げている有様だ。
東南アジアは経済基盤が弱く、中国も生産拠点や消費地域としては魅力があるものの、技術面でのリーダーシップを取れるまでには至っていない。
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