本日の御題:疑惑の総合商社は...
◆辻元氏を生贄にしてはいけない
 社民党の辻元氏が涙の会見をしたのは先週であった。彼女は「ムネオ」君を類稀なる皮肉をもって責め立てた急先鋒であったが、 立場が変わるとこうも人は変わるものなのかと、改めて感じた一幕だった。
 今更ながらだが、孫子の「勇怯強弱は状況の所産に過ぎぬ」という言葉の深さを知ったものである。

 さて、それではそろそろ本題に入ろう。辻元氏は既に議員を退職し今やフリーランスの身となっている訳だが、当のムネオ君やマキコ君は 如何なものだろうか? もちろん、コイズミ君タケベ君も例外ではない。いやいやそれを言うならば、ドイ君もリストに入れるべきだろう。
 政界は問題を摩り替えるのが得意だし、マスコミは新しいものに飛びつく性質があるため、結果として一枚かんでいる。熱しやすく冷めやすい 国民性も手伝って、お座なりにはなっていないだろうか?
 ムネオ君については、ムネオハウス以外にも物的証拠は上がっている。内部告発からも分かるとおり、もはやあれは「疑惑」ではなく 確固とした「犯罪」である。これではムネオ君は議員を辞めるに辞めれないだろう。そしてそれを許容してしまう自民党の体質もある。
 マキコ君に関しては、与野党共に二の足を踏んでいる。周知の事実であるが、彼女の人気が怖いのだ。しかしあの程度の女が怖いようでは、 とてもではないが老獪な海外の政治家と渡り歩く事はできないだろう。彼女は血気盛んだが、意外とずさんだ。例えば、指輪事件にしても、 あの手の会話を簡単に録音されてしまうところにガードの甘さを感じる。
 しかし与野党が追求をこまねている間に、彼女は確実に周りを固めていった。疑惑が上がったときのマキコ君は顔をこわばらせていたが、 今や「疑惑は何もない」と公然と言い放っている。この変化は何を意味するのか? 答えは明瞭である。 「ウラで押さえ込みが完了した」のである。

 それに引き換え、辻元氏はある意味潔かった。彼女のやったことは法的には明らかに違法であり、民主党の山本氏の時と同じ裁きを受ける必要があるだろう。 「山本氏のときは名義を貸していた本人も知らなかったのに対し、私は本人は知っていたから違う」というのは幼稚な弁解であり、ただ回りの人間を 共犯者だと呼んでいるに過ぎない。
 しかしそれでも私が彼女に同情してしまうのは、@名義貸しそのものが当選間もない頃の右も左もわからない時期に行われた事、A否定してはいるが 党ぐるみの斡旋であった事、そしてB秘書給料が彼女のポケットマネーではなく彼女の秘書に支払われていたためである。
 違法な事は間違いないが、「法律」には「情状」というものもある。その点は十分に考慮した上で判決に望んで欲しいものである。

 問題は「明らかに黒に近い疑惑」を抱かれている他の人々が、党に守られて辛くも生き延びている事である。
 政治家にとって「嘘」は必ずしも悪い事とは限らない。駆け引きが必要な政治の世界では、偽る事も時には必要なのである。しかし、保身のために つく嘘ほど見苦しいものはない。そして、その嘘をつけたものだけが生き残るの世界、それが政界だとしたら、次々生まれる疑惑は政界の浄化には 繋がらず、むしろその闇を一層深くしてしまうだろう。

◆小泉総理の強かな戦略
 さて、話は変わるが、真紀子氏から自らが抵抗勢力になったと皮肉られた小泉総理は最近になって「初心貫徹」という言葉を 思い出したようだ。あまりにしばらくぶりに聞いたせいだろう。「郵政三事業の民営化」というフレーズが妙に 新鮮に聞こえる。

 ここで私が気になるのは、なぜこの時期に言い始めたかということである。
 一つは真紀子氏更迭後、一向に上向かない支持率を回復しようとしたのだろう。一年前の熱気は姿を消し、新潟への遊説では冷や水を浴びせられもした。
 そしてもう一つは、内閣の伝家の宝刀、解散総選挙を見越した人気取りであることは間違いない。解散総選挙をする前に是が非でも支持率を高めておかないと、 小泉総理にとって進退問題になるからだ。もちろん、自民党の執行部に対する示しという意味もある。
 私は解散総選挙は秋口になると予測していたが、もしかしたらもっと早まるかもしれない。というのも、選挙の争点として郵政事業を掲げる事で、 自民党内の抵抗勢力に対し「No」と言わせないようにするためだ。
 小泉氏が先週、靖国神社に参拝に行ったのも、夏から秋にかけて選挙が行われる際、近隣諸国に対する配慮が足りないとマスコミに叩かれないためでは ないだろうか?
 今後、解散総選挙は事態を注意深く見ていく必要がある。

戻る