鳩山民主党に勝算はあるか? に対する投稿
劉表さんの感想
 今のままでは私はあまりないと思います。
 「自民も民主、どっちもどっち」であるのがその理由です。

 例えば大阪では官僚に相乗りです。さらに、神戸でも空港には神戸の民主党は賛成でした。
 これではいくら公共事業批判を国政で言っても歳出の65%を占める地方でこのざまでは、 説得力がないと思うのです。具体性に欠きます。
 多くの自治体でも相乗り与党として、従来型の開発行政を推進しているわけです。

 その結果、利権政治を支持する人々は、自民と民主どっちを選ぶか問われれば迷うことなく自民でしょう。

 よって次期総選挙の私の予想は、


自民250±20、公明40±5、自由25±5
民主120±20、共産40±5、社民15±5、改革など10
というところ議席が落ち着くのではないかと見ています。

 場合によっては東京、京都、大阪などの小選挙区で共産と民主、公明がうまいぐあいに食い合うなどすれば、 自民が安定多数270の圧勝もありえると見てます。
 民主は読めません。比例では善戦しますが、選挙区がどうもいまいちです。
 上記のような国政と地方で矛盾した態度をとっていて有権者が納得するかどうか。
 共産は大阪府知事選挙で勝つようなことがあれば、50議席もあり得るでしょう。

 与野党ともに最近、政策の具体的な中身が見えないという気がします。
 そうした政策でなにがどう変わるかも見えません。これが不況を見えない出口にしている元凶のひとつだと考えます。

 政治改革、行政改革そして最近与党の多くの政治家が口にする教育改革でも、 本来はあくまで問題を解決したり、よりよい社会にするための手段のはずなのに、 だんだん目的化してしまっているような気がします。
 選挙制度改革がそのよい例で、集権的財政システムと裁量行政、族議員のありかたをそのままにして選挙制度を 変えてもうまくいくはずはないどころか、事態は巨大与党による、政策の具体的像がない、ばら撒き財政という、 最悪の結果を招きかねない。

 首相公選制がいいという政治家もいますが、これも根本のシステムが変わらないとどうにもなりません。
 むしろ地方の首長のように相乗り首相なんてばっかりになったら、手に負えない。
(大体、大統領制でうまくいっているのはアメリカくらいで、その他の南米諸国などは経済が疲弊しています)
 いや、今の経済、社会、行政のあり方のまま行ったらそうなるのは明白です。

 そんなことより、いかに多様な民意を反映させるか。そのシステムはどういうのがいいかを真剣に考えるべきです。

 神戸にしても、空港は反対だが共産党も嫌いだから、結局選挙では推進派に入れた人もいるわけですから、 そういう声をいかに反映させるか工夫すべきだと思うのですが。
そのための憲法改正なら議論も無駄ではないと思いますが。

 多くの議論が問題を解決するにはどのような施策をとり、それにはどのような コストがかかり、そのコストはどこをどう調整して持ってくるのか、これを議論することは不可欠ですが、 この核心部分を避けているように思えます。

 96年総選挙以降、特にその傾向が強まっているように思えます。
 あの時は与党第1党は社会保障の全体像を示さずに消費税引き上げをいい、野党第1党は具体的な財源も示さずに 減税と消費税上げ反対を行ったので、ろくに政策論争がありませんでした。

 一般に政治家が手詰まりになると大風呂敷を広げ出すのは古今東西同じです。具体的議論が影を潜め 精神論が横行し出したら、戦前の日本を持ち出すまでもなく、亡国の兆しです。
 ある大風呂敷が手詰まりになればばら撒きで切り抜けるか、別の大風呂敷を広げるか。 憲法議論もある種の「大風呂敷」の感が否めません。

 社会保障、高齢化問題に対して「美風」などを持ち出したら黄色信号です。
 少子化に対して「うめよふやせよ」を持ち出したらよくない兆候です。
 教育改革にしても、「愛国心を育てよう」は不必要です。誰だってオリンピックじゃ日本を応援しますから。
 そうじゃない。具体的に学校のありかたをどうかえ、その資源はどこから持ってくるのか。

 科学技術立国。科学技術を発達させるにはある程度の無駄を覚悟するのも必要です。
それをたとえば行政改革とどう両立させるか。あるいはどっか公共事業でも削るか。

 さらにこれからは国際化する中で環境問題や貿易問題などへの対応はどうするか。具体的にどういう政策を取ったり、 あるいは国際社会へ働きかけていくのか。
 そうしたなかで、具体的にどのような日本のあり方、あるいは(世界のあり方)を目指すのか。
 全体としてそれにはどのような利点と不利点があるのか。
 あるいはどのような選択肢があるのか。
 そんな具体的な話は、私が不勉強なせいか、与野党とわず、政治家からついぞ聞いてません。

 金融問題くらいでしょうか、具体的な話になったのは。しかしこれも末期症状が現われてからの対応であり、 しかも、結局貸し渋り対策をしていながら商工ローンなど悪質な金貸し業者に隙間を与え、野放しにしてきた。

 今こそ、野党第1党は率先して具体的な改革の議論を積極的に出していくべきです。

管理人より
 多岐にわたるご意見、誠にありがとうございました。

 まず、地方自治体の選挙ですが、確かに民主党と自民党、本来政策論争をして戦わねばならない人たちが なぜか仲良く手を取り合って公認候補を立てています。
 その結果、政策論争は当然行われず、どちらを選んでも結果は一緒、という意識を有権者に蔓延させています。
 これで投票率の低さを嘆くわけですから、政治家の体たらくは目に余るものがあると私も感じています。
 政党、または政治家からしてみれば、相乗りにして「勝ち組」を形成したほうが「楽」なのでしょう。
 勉強しなくてもいい、手間隙かけて一日中、街頭演説に精を出さなくても済む。選挙資金も単独で公認を出すよりは 安上がり。まるで政界のカルテルです。
 私は複数党の推薦を可能にしている今の選挙制度を変える必要があると考えています。

 また、手詰まりな状況に置かれると、政治家、官僚は甘言を吐いて知られてまずいことを隠し、後世にその責任を 押し付けようとする傾向があります。いわゆる責任逃れです。
 アメリカの大統領の誰かだったと思いますが(自信なし)、政治家にとって最も必要なのは、「将来について責任を とることである」と言った人がいましたが、この観点から見ると、永田町で大物面し、ふかふかのソファーにふんぞ り返っている議員さんの殆どは失格というべきでしょう。
 そういう人たちを目の当たりにすると、憤りを感じずにはいられないことがあります。

 最後に、民意の吸い上げ方法ですが、実はこれが最も難しいですね。
 民主主義なわけですから、民意は反映されなければならない。
 しかし、民意が常に正しいとは限らない。
 特に人間の心理から言って、大衆という枠の中で物事を考える庶民は責任感が希薄であるため、どうしても無責任 になりがちです。ある仕事をするのに人の頭数が多くなればなるほど、人は他人任せになるという性質があるためです。
 また、残念なことにマスコミに煽動されやすい。情報操作をされやすいのは、現場を知らないのだから仕方ありませんが。

 そのためにはやはり専門家が必要不可欠であり、私はこの専門家集団を(システム的に半ば強制的にでも)国民側に 立たせる制度は作れないか、と考えています。
 その手法としては、公開議論をして、インターネットなどによって視聴者からリアルタイムに意見・反論を聞く。
 すると下手なことはいえなくなるわけです。
 うっかり政府の悪行を隠すようなことを言ったら、即座に「貴方の意見に100万人の反対票が集まりました」と言われる からです。
 また、国民も個別案件の議論に直接参加できるから、政治に対してよりアクティブになります。選んで当選させてしま ったらそれで終わり、という今の体質を改善できると思うのが如何でしょうか。

 最後に、大統領制についてですが、私は日本は是非とも大統領制にすべきであると考えています。理由は国民性です。
 責任を取るといって総理大臣を辞任しても、彼らには派閥の長(ないし実力者)として帰る場所がある。そこで暗躍すること が十分可能なわけです。
 これではいけない。「大統領、やめてしまえば、ただの人」的なシステムを作ることが必要であると思います。

 今回は、ご投稿、本当にありがとうございました。

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