本日の御題:新しい洗脳方式!? 訪中国会議員がアブナイ
◆共通の認識がかもし出す真実味
 少し前の話になるが、今年の国会議員の外遊には異変があった。8月下旬から9月上旬の僅かな期間に、なんと51人にも国会議員 が訪中を果たしたのである。これは極めて異例のことで、コバンザメのようにその背中に引っ付いているアメリカに対しても 前例がない。
 なぜこの時期にそのようなことが起ったのか? それは最近の中国海軍の日本沿岸海域の活動や、領有権問題が存在する海域での無断調査、 さらに日本のODA援助によって完成した建設物の事前通告なしの民間移転など、様々なことが原因と考えられている。
 つまり、これらの問題によって硬直しかねない日本政府の対中国外交を和らげる意味で、中国側が積極的に日本の国会議員を 招待しているというわけだ。

 ここまでが新聞で報じた内容であるが、実際はやや異なっている。
 まず、日本の国会議員と中国要人の話し合いでは、従来同様、あくまでも日中関係のあり方について日本が中国のご意見を聞く というスタンスが取られていること。つまり形式的に招待とはいっても、現実は日本の政治家に対して中国政府が要望を伝える 場に過ぎないということだ。

 特に今回は、51人もの政治家が訪中しているにもかかわらず、立ち寄る場所も会談する中国要人もほぼ同じであることに筆者は 注目したい。もちろん、これだけ短期間の間の訪中である。話す内容にそれほどの差があるとは考えられない。相手が同じなら 尚更だ。
 そう、実は日本の政治家を待ち構えているのは、同じ場所に立つ同じ顔なのである。
 朱首相、銭副首相、王外務次官補、熊光[木皆]人民解放軍副参謀長という面々である。
 しかもスケジュールは中国側がすべて管理している。つまり日本の政治家は中国によって都合よく作られた通りに場所に 向かい、向こうの思うが侭の話をし、そしてまた全て中国側の設定された日程を終えて岐路につく、ということを 延々と繰り返しているのである。
 そこには主体性の欠片もない。外交の名を借りた単なる小旅行である。

 それだけならばいい。しかし今回の訪中ラッシュには、中国政府の強かな戦略が隠されていると筆者は予感している。
 日本の政治家の多くが短期間に同じような話を聞かされたため、中国にとって都合のいい共通の認識を知らず知らずの内に 植え付けられてしまっただろう。
 そして今後彼らは、対中国外交に当たる際、その埋め込まれた共通の認識によって周囲から同意見が述べられることで、 あたかもそれが正しい意見であると錯覚するようになるはずだ。
 いわゆるナチスのヒトラーが言った「1人の人に言われた嘘は嘘に過ぎないが、100人に同じ嘘をつかれれば本当になる」 の改良版である。

 それは筆者の考えすぎだろうか? 真相はわからない。ただし今回の異常な訪中ラッシュが中国政府によって引き起こされ、 そして全て中国政府の立てた予定通りにスケジュールをこなしていく日本の国会議員を見る限り、中国のいいようにされている 感は否めない。
 中国には朝貢を受ける伝統がある。
 今回のことが、彼らに古いプライドを思い出させることにならなければよいと、筆者は危惧している。

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