本日の御題:マクドナルドの経営に学ぶ
 本日のコラムはこれまでの政治関係というよりは、より身近な話題を扱ってみた。

◆激安商品と期間限定新商品
 一時期、ファーストフードといえばマクドナルドとロッテリアがその規模からして双璧と思われていたが、 ここ数年の間に状況は激変した。マクドナルドの一人勝ちである。

 両社が価格競争に突入するきっかけになったのはマクドナルドの「サンキューセット(定価390円)」が始まりだった。
 それに刺激されたロッテリアは「サンパチトリオ(定価380円)」を発売し、セットならドリンク代が浮くようになった。
 しかし世界規模で展開しているマクドナルドの底力はロッテリアの比ではなく、「100円バーガー」をマクドナルドが 発売した際は、ロッテリアは価格競争を断念している。

 しかしマクドナルドにも落とし穴がなかったわけではない。マクドナルドの100円バーガーは発売当初はインパクトがあったものの、 一度定着してしまうと逆にありがたみが薄れてしまう。当然、価格も上げにくい。
 もちろん、飛ぶように売れても利幅がないため、アルバイトのバイト料捻出も間々ならない。
 さらに価格低減による品質の低下は明らかであり、「安いけど不味い」というレッテルが次第に貼られるようになっていった。
 そこで、マクドナルドとの価格競争で傷ついたロッテリアに代わり、品質を落とさず味で勝負し続けたモスバーガーやケンタッキー が再評価されるようになったわけだ。

 そこでマクドナルドが次に取った戦略が、「激安」の非定着化と「期間限定商品」の恒常化という二本柱である。

 まず前者から見ていこう。
 定価が210円であった頃、同じ物が100円で買えるとなれば消費者はお買い得感を感じるが、定価そのものを100円にしてしまうと 得した気分にはならないのが人情。そこで定価をあえて高め(ハンバーガーなら130円)に戻す一方で、 「平日半額65円」と謳うことで、消費者に割安感を与え続けることが可能になった。
 普段なら(定価130円)を出さなくてはならないものが、平日ならその半分で食べられる、という認識がここに完成する。

 しかしこれでは安かろう不味かろうという認識と、採算の悪化が起ってしまう。
 そこでマクドナルドは安いというイメージを消費者に植え付けた後で、期間限定商品を恒常的に出し続けることにした。
 元々人の心理は「今しか手に入らない」というものに弱い。価格も多少高めであっても購入したいと思う。もちろん、販促品 であるためスケールメリットが働いて、マクドナルド側からすれば十分採算が取れる。また話題性もある。

 そうして「安い」というイメージに引き付けられた客は、店内に入るなり決して安くはない企画商品を購入することになるのである。

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