この手のものはあまり選挙直前にすると胡散臭くなるので、本日公開します。
◆選挙の焦点
さて、20世紀最後の国政選挙は「弔い・神の国解散」として幕を開けた(と言ってもまだ公示はされていないが)。
逼迫した国家財政、上向かない経済情勢という中で与野党の支持率は徐々に均衡化ししている。今年の6/25のは、
もしかしたら日本の歴史を大きく転換させる日になるかもしれない。
しかし、国民にその自覚はまだ薄いようである。確かに、ある電話アンケートによれば、回答者の8割近くが投票に行く、と言うものの、
回答者は全体の6割程度であり、答えなかった人が政治に関心の薄い人だと考えれば、投票率が劇的に向上するとは思えないからだ。
その理由はおそらく意外に単純なものだろう。
現在、「少子高齢化」「少年犯罪の凶悪化・低年齢化(教育問題含)」「官僚・政治家(首長・議員)・教師・医師・警察などの不祥事多発」
「国家財政の無駄遣いと逼迫」「経済・就職率の低迷と失業率の上昇」「原発・ゴミ廃棄・ダイオキシン等の環境問題」「北朝鮮・中国・ロシア等近隣諸国との外交問題」
「中央集権的国家システムの弊害」「不良債権問題」など議題に事欠かない状況にあるにもかかわらず、
与党自民党の総裁にして内閣総理大臣は実に詰まらない問題発言を連発させて失笑を買い、
また野党は最大野党の民主党が中心となってその発言を執拗に責めている。
まるで現在日本が置かれている状況から現実逃避でもしたかのような与野党の中傷合戦に、飽き飽きしているのが現状だろう。
芸能人が議員になった久しい国会だが、議題そのものがワイドショー並みに落ちたことに対する私の危惧は大きい。
◆Do you choice either "CAN" or "DO" ?
さて、テレビ討論会などを見ていると、実は与野党、掲げている公約の多くは似通っている事が分かる。
政治腐敗は防止しなくてはならないし、教育改革はやらなければならない。不良債権はできる限り早急に解決しなければならないし、規制緩和は推し進めなけれ
ばならない。就職率を上げるため、失業率を下げるため今後も財政出動はやらなければならないし、しかし同時にこれ以上国家財政を悪化させることは
できないから必要ない補助金はカットしなければならない。
そうそう、行政の効率化を考えた場合、地方分権は必要だろう。
まさに、それができるならば自民党でも民主党でも、はたまたその他の政党でもいいわけだが、実際にやらせてみてできる政党などないだろう、というのが
有権者の総意ではないだろうか。どの政党も都合のいい理論と数字のマジックであたかも明日にでもできそうな甘言を口にするが、国民もそれほどお人よしではない。
裏切られる期待など初めからしないのだ。
結果として、投票率は上げ悩む。
しかし、実は自民党と民主党、この両者には決定的違いがただ一つだけある。
それは"万年与党"と"万年野党"であることだ。
思わず笑われた方も多いだろうが、この差こそ、同じ公約を掲げていても遂行時に差が出るのだ。
自民党は戦後ほぼ全ての時期において与党として君臨した。そのために、広く業界・団体との間に癒着ができてしまい、結果として
特定業界団体の利益を追求する集団になってしまった。これは想像に難しくない。自民党の支持基盤は都市部ではなく、農村部などに多いからだ。
「弱者救済」の美名の下、彼らは特定の人たちに金をばら撒きつつ、一方では官僚や財界との癒着することで彼らに便宜を図ったり、天下り先を確保する
などして保身を図ってきた。
その結果が薬害エイズであり、彼らは表の顔とは裏腹に弱者を切り捨てて強者をのさばらせたのである。
彼らは自分たち及び官僚の天下り先である特殊法人の不正を寛大に処理しようとし、また隠そうとした。バブル崩壊時には、収入が伸び悩む国民の税金から
バブルに踊った金融機関へ資金を投入した。金融機関のトップはスケープゴートになった一部を除き殆どが経営責任を免れ、銀行や証券会社の社員は一般企業に比べて
今なお高水準の給料を維持している。
これが弱者救済だろうか?
地方分権にしても、中央から地元地方へお金を運ぶことが仕事である地方出身者の族議員が多い自民党では、とうていできることではない。
少なくとも、その点に関しては"幸か不幸か"万年野党であった民主党のほうが遥かに自由に動けるのである。
紙に書けば差はでない両党の政策だが、もし日本の国を包括的に構造改革をやろうとするならば、どちらの政党がより適しているかはすでに明らかだろう。
では最後に、6/25の選挙結果代予測を記したい。
◆地域経済分科会様予測
想定投票率は68%。これより高いと野党有利、低いと与党有利と見ています。
| 与党 | 野党 | その他 |
| 自民党 | 公明党 | 保守党 | 改革クラブ | 民主党 | 共産党 | 自由党 | 社民党 | その他 |
小選挙区 | 130 | 10 | 5 | 5 | 122 | 11 | 5 | 2 | 10 |
比例代表 | 55 | 20 | 0 | 0 | 48 | 32 | 14 | 11 | 0 |
合 計 | 225 | 245 | 10 |
たとえ、保守系無所属議員が与党に寝返っても、自民は政権を維持できないでしょう。
公明党は、地盤の兵庫、大阪でも冬柴幹事長ら大物も次々共産党候補に敗れる可能性が大。
◆管理人予測
比例区では政党支持率をある程度反映して自民・民主・共産が有利。公明党は投票率が60%以下なら共産との順位入れ替えも。
小選挙区では、農村部など特定地方で自民の圧勝。逆に都市部では、民主が躍進。共産は自民・民主に次いで多くの選挙区に候補者を出すも、得票数1位は難しく、
次点、3位などが目に付く。クリーンなイメージで投票する人が現れるも、共産主義を捨てきらない同党は与党への不満の受け皿にはならない。
分裂によって存在意義の薄らいだ保守・自由は議席数が半減。保守は次の参院選でも敗れるようなことがあれば、自民との合流も有りか。
社民も支持母体以外からの得票は望めず苦戦。土井氏のパフォーマンスも効果薄く終わる。
| 与党 | 野党 | その他 |
| 自民党 | 公明党 | 保守党 | 民主党 | 共産党 | 自由党 | 社民党 | その他 |
現議席 | 267 | 42 | 21 | 96 | 26 | 18 | 14 | 15 |
小選挙区 | 150 | 20 | 5 | 105 | 10 | 3 | 1 | 6 |
比例代表 | 60 | 25 | 2 | 51 | 30 | 8 | 4 | 0 |
合 計 | 262 | 212 | 6 |
地域経済分科会さんからのご意見(投稿日2000.6.11)(掲載日2000.6.18)