◆日本のODAが株式化される!
日本はこれまで、中国に対して莫大な政府開発援助(ODA)を行ってきた。それは戦中に日本軍より受けた被害の補償を求めない、
という表向き寛大な態度をとることで、中国が暗に要求してきた側面がある。
その金額は過去20年間で3兆円近くにも上り、低金利長期返済の融資の形で供与された金額と合わせると、6兆円にも上る。
これは二国間の援助としては群を抜いており、如何に中国が強かな外交を展開してきたかがお分かりになるだろう。
しかし、話はそれだけで終わらなかった。
昨今取りざたされている問題は、このODAによって建設された空港などが日本政府に無断で株式会社化、つまり民営化されてい
ることだ。
この問題が表面したのは北京の国際空港が今年の2月に突然、「北京首都国際空港株式会社」として香港証券市場に上場されたこと
に始まる。この施設は日本のODAによって300億円もかけて建設されたものだ。
中国の動向に疑念を抱いた日本政府はODA供与によって建てられた他の施設についても調査したところ、武漢の天河空港(63億円)、
火力発電所と港湾インフラが建設された上海宝山製鉄所(310億円)、日本の国際協力銀行の公的援助(300億円)が求められている広州
国際空港などが民営化が計画されたいる上、上海の紅橋空港はすでに民営化されてしまっていた。
この他にも日本の援助の主な対象となってきた近くの高速道路も公営から民営にして(株式化して)、その株式を中国本土や香港で
売りさばこうという計画が持ち上がっている。
◆さらに軍の近代化にも利用
こうして社会インフラを日本からの資金で賄っている中国政府は、軍事大国化の道を人目をはばからず歩んでいる。軍事費は
毎年10%代の増加を繰り返し、ロシアからの最新鋭戦闘機や潜水艦、空母などのライセンス生産や現物購入によって近代化を図っている。
その一方で、国内的には日本のODAを過小にしか報道しないことで大国の威信を保つと共に、国民の不満のはけ口としての反日感情
を保っている。
◆ようやく腰をあげた日本政府
こうした状況になって、遅まきながらようやく日本政府も重い腰を上げた。
まず、ODAによって建設された施設の民営化は明らかなODA合意違反であり、今後は厳しく監視すると共に抗議していくという。
また、2001年以降のODAのあり方について「研究する必要がある」とかなり控えめな形で中国政府に是正を求めた。
これは現在の第四次円借款の期限が終了する平成13年度以降をさしたものだ。
中国にはなお、内陸部の未開発という難問が残されており、海外の資金を必要としているが、欧米諸国は採算の見込みのない内陸部への
投資には消極的で日本のODAを当てにしている面がある。
日本政府が日本国民の代表という誇りを忘れ、政府間で取り交わされたODA合意をいとも簡単に破る現在の中国政府の態度をそのまま
に、追加援助を行うなどという暴挙に出ないことを祈りたい。