『捕らわれた太陽 4』 その日、御堂茜は朝から不機嫌だった。 ウッキーこと下僕・・・もとい、朝日奈大が学校に来ていないためである。 いつもなら、大の『おごり』(無理矢理)で朝食を取るはずが、今日はおか げで食いっぱぐれてしまった。 しかし――― 茜が異変に気付くまで、そう時間はかからなかった。 昼休みになって、明凌連の連中がバタバタと騒がしくしているのを見て、 茜はすぐに大体の事情を察した。 『明凌連の奴らが慌てるのは、大絡みのとき(だけ)』 茜にはそんな確信があった。 大はああ見えて、とても明凌連では重要な位置にいる。いや、もっと言っ てしまえば、大は皆に愛されているのだ。 まあそれが茜には面白くなかったりするのだが・・・。 とにかくその大に何かあったからこそ、明凌連の連中はあれほどうろたえ ているのだろう。 茜はこっそりと屋上に続く扉の前まで行き、明凌連の連中が話す内容を 聞き、大が拉致された(らしい)ことを知った。 (大っ・・・!) 一瞬、足元がグラリと崩れるような錯覚に捕らわれる。 大のことでこんなにもうろたえてしまう自分に、茜自身驚きを隠せない。 (大、無事でいろよ?俺が必ず助けに行ってやる!) 午後の授業が始まったとき、すでに校内に御堂茜の姿はなかった―――。 放課後――― 明凌連(+明凌朝日奈派)の面々は、手分けして大の捜索を開始した。 東堂・四方チーム、導明寺照宇・壱茶チーム、神南・後藤チーム、宗近・松 尾チームの4チームに分かれ、各チームが東西南北に散っての大捜索であ る。 「とにかく、昨日の帰りに朝日奈を見た奴はいないか、目撃者を探すことに 全力を尽くしてくれ。」 東堂の声に、 「了解。」 「うす!」 「オーケイ。」 「わかった。」 皆が頷く。 そして――― 一斉に校門を出たところで、各自が担当区域へと散って行った・・・。 御堂茜は焦っていた。 らしくないと思いつつも、焦りはどんどん大きくなる。 大が見つからない。 昼からずっとゲーセン・公園等、大が行きそうな心当たりの場所を当たって いるのだが、誰一人として昨日の夕方に大を見たという者はいなかった。 (やっぱりマジで拉致されたってことか!?) 明凌連のボッちゃん(松尾)の推測は、やはりどこかで話半分・・・と思って いるところがあった。 しかしこれは――― (やはり時広絡みだとしか考えられない。あのサルなら、誰の目に触れるこ となく、大を拉致することも可能だろう。・・・ったく、あのウッキーはどこまで抜 けてやがるんだ!?オレ様にここまで心配をかけるなんて、ふてぇ野郎だ。 見つけたら、3ヶ月は飯を奢らせねぇとオレ様の気が済まねぇっ!) 茜の思考は、やや無理矢理とは言え、正常(?)な方向に戻りつつあった。 これでこそいつもの御堂茜だ。 (こうなったら・・・奥の手を使うか。あまり気は乗らないがな。) ある1つの決意を胸に、茜は一旦足を止めると、元来た道を戻り始めるの であった―――。 ☆ 大は気を失っていた。 時広に口付けられ、これから自分の身に一体何が起こるのか?その想像 が確信に変わったとき、頭がショートしたのだ。 まあようするに、その『確信』の内容が大の許容範囲を超えたのである。 「・・・・・・」 時広は数秒間、意識のなくなった大を無言で見下ろしていた。 そして―――どうしたものか?と思う。 自分としては、このまま大を手に入れてしまいたい・・・とそう思うのである。 この場合、意識の有無は二の次だ(キチク)。 だが。 一方で、体だけ手に入れても仕方がない・・・そんな気持ちもあって、時広 自身、そんな自分の気持ちに戸惑っていた。 (俺は一体、君に何を求めているんだろうね・・・?) 大を見つめながら、時広はそっと心の中で問うた。 自分がどれほど切ない瞳をしているか、このとき時広は気付く由もなかっ た。 もし大の意識があったなら、絆されて流されてしまっていたかもしれないく らいには、時広の表情は大への想いに満ち溢れていたのである。 しかし愛を知らない男(時広)には、それは到底理解できない感情であっ た。 しばらくして――― 「大君・・・」 時広は大の額にそっと口付けると、意を決して、そのまま部屋を出て行く のであった・・・・・。 【5へ続く】 [途中書き4] いつもながら申し訳ありません。もう一体いつまで続くのか・・・書いてる本 人が問い掛けたいような心境です(←撲殺)。今回は、いつも以上に訳のわ からない話になってしまいました(汗)。というか、場面転換しすぎですよね。 読みにくくって申し訳ないデス^^; 今回は茜ちゃんが主役でしょうか?(笑) この『捕らわれシリーズ』(いつの間にそんな略し方に?/苦笑)ではお初の 登場だったので、ちょっと力が入ってしまいました。これからも出番が増えそ うな予感?(クスリ) 普段が会話中心で書いているので(というか、ごまかしているので?/爆)、 今回はダメダメ度がアーップいたしております(土下座)。まあようするに、 皆頑張って大君を探しているんだなぁっていうかんじでしょうか(苦笑)。 時広さんもなんとか意識のない人間を襲うほどはキチクじゃなかったという ことで(アハハ〜)<帰れ! そんなこんなで、まだ続きます(汗)。こんなヘタレ文ですが、ご感想等頂け ましたら嬉しゅうございます>< |