『捕らわれた太陽 3』 ガチャリと扉が開かれ、大を拉致した張本人―時広慎也―が入って来た。 大を見て、少し驚いたような表情をする。 まだ眠って・・・いや、気を失ったままだと思っていたのかもしれない。 「よく眠れましたか?」 からかうような口調が憎らしい。 大は一瞬顔を顰め、それから小さく息を吐いた。 「ええ、誰かさんの薬のおかげでぐっすりと。」 微笑みさえ浮かべて切り返す。 この攻防だけは負けられない―――そんな決意のようなものが大を支配して いた。 時広はさらに驚いた様子で、無言で大をじっと見つめた。 口元に浮かぶ笑みは、大に対しての興味の表れだろうか。 「・・・・・」 「・・・・・」 今度は一転、無言の攻防が続く。 どれほどの時が経ったのか―――先に口を開いたのは、時広だった。 「ねぇ、大君。君をここに連れて来る前、俺が言ったこと覚えてるかな?」 「・・・・・」 大は少し考えてから、 「俺のことを教えろとかいう話ですか?」 「うん、そう!」 時広は何故かニヤリと不敵に笑った。 「?」 「俺はねぇ、前々から大君に興味があったわけ。だから今日はじっくりと君のこ とを教えて欲しいなって思ってねv」 口調は穏やかなのに、何故か大はとてつもなく嫌な予感に襲われた。 何がどう・・・とはわからないけれど、確実に大の中の本能とでもいうべきもの が、『ヤバイ』と告げていた。 「ぐ、具体的に言って、俺の一体何を知りたいっていうんですか?少なくとも、時 広さんが気にかけるような人間じゃないですよ、俺は。」 大はこのとき、直接的な質問をぶつけたことを激しく後悔した。 なぜなら・・・大の言葉を聞いた途端、時広が声を上げて笑ったのだ。 それもクツクツと地獄の底から這い上がるような不気味な声で。 「そんなに焦らなくても、後でじっくりと教えてあげるよ。俺が君の何を知りたい のかを・・・ね。」 とりあえず恐ろしい笑いを引っ込めた時広にホッとした・・・のもつかの間、気 付けば、大と時広の距離は驚くほど縮まっていた。 ついさっきまで、時広は確かに戸口のところに立っていた。立っていたはずな のだが・・・。 大はベッドの上で、思わず後退りする。 しかし時広がそれを見逃すはずもなく、ベッドに乗り上げて大との距離をさらに 詰めてきた。 「なっ、何で近づいてくるんですか?」 「フフッ、怯えてるのかい?」 「おっ、怯えてなんかいません。」 「じゃあ構わないだろ?コミュニケーションの一環だとでも思ってくれればいいか ら。」 「はっ、話なら離れてても出来るじゃないですか!」 「だーれが話をするって言ったのかな?体と体のコミュニケーションを図ろうって 言ってるんだけどな、俺は。」 「・・・は?」 大の思考が一瞬止まる。 時広はここぞとばかりに腕を伸ばし、大を捕まえた。 ハッと我に返った大が抵抗するよりも早く、時広が大をベッドに押し倒す。 そのまま仰向けに倒れ込んだ大に馬乗りになって、両腕を押さえつけ、時広は 勝者の笑みを浮かべた。 この間、約2秒。 「はっ、離して下さいっっ!!」 必死の抵抗も空しく、大はガッチリと押さえられていて、ピクリとも動けない。 そのうち時広の顔が近づいてきて――― 大は恐怖に目を潤ませた。 その様が、さらに時広を煽っていることには、もちろん気付いていない。 時広は、あと数センチで唇が触れ合うところまで顔を近づけてから、囁くように 言った。 「君はもう・・・俺のモノだよ、大君。」 時広の息が大の唇を掠める。 大はビクリッと肩を震わせ、ゆっくりと目を閉じた。 これ以上、時広の顔を見ているのが怖かった。そしてなにより―――これから 何をされるのか・・・考えることが怖くてたまらなかった 観念したかのような大の態度に、時広が口端を歪めて笑う。 そうしてゆっくりと、時広は大に口付けたのだった―――――。 【4へ続く】 [途中書き3] ・・・・・・・・・・。やってしまった?<オイ え〜と、お約束の(?)『時広&大、愛のマンション同居生活編』をお送りいた しました(激違)。またまた時広氏が勝手に動いてくれやがりましたよ(酷っ)。 しっかしこれ、終わらないですねぇ(とか人事のように言ってみる/爆)。 ふと気付いたこと→大君総受推奨してる紅月の本命は、おそらく(おそらく?) 宗近×大なのですが、本命でもやってないのに(何を?/笑)、時広っちに先を 越されてしまいましたヨ!あーら大変。と自爆しつつ、また「4」でお会いしましょ 〜(逃亡)。 |