「外惑星聯合」対策会議報告書〜極秘〜
全ての始まりは、甲紀20年7月1日の、不埒な「人外協」新参隊員二人のPATIO上での”密談”から始まった・・・。
その通信記録については、軍令部第4部第8課と特務班、並びに我が軍の外郭団体である「人外協」の手による共同報告書に別掲されているので、ここではその詳細は特に述べない。
が、とにもかくにも、この不埒な「辺境」の田舎者どもは、我が軍の主力が「やねこん」作戦遂行で手薄である事を良い事に「密談」を繰り返し、あろう事か、7月5日には次のような設立宣言書まで作り上げてしまったのである。
「外惑星聯合」設立宣言書(草案)
※一部編集及び抜粋
※本宣言書(草案)は、読後焼却の事。
名 称:「外惑星聯合」
方 針:例会やらSF大会に出られない地方在住の隊員による一大勢力を目指す。いつの日かきっと支部報「外惑星聯合通信」を発行できる事を信じて、各々の地域で頑張る。
活動内容
1.「ゲリラ活動」
賛同した隊員は、勝手に名乗りを上げて勝手に活動する。署名欄に「外惑星聯合」の所属を自由に明記する事で「聯合加盟員」と認める。
2.「”通称”破壊作戦」
ML(メーリングリスト)上で”例会もどき”を展開して集まれないウサを晴らす。尚、その際は「甲州画報」の「甲通振轟」で”さらし者”になる事は覚悟する。
3.「陸戦隊による奇襲作戦」
支部例会に参加できる機会を得た場合には「外惑星聯合」加盟員である事を名乗る。
4.「駐屯部隊による迎撃作戦」
自分の駐在する地域に「人外協隊員」が侵入してきた場合は、”酒浸り”にして送還する。
5.「弾圧への対応措置」
”反乱組織”としての自覚を持ち、”弾圧”する隊員が現れた場合は、キチンと”弾圧”される。
6.「敗戦後の処理」
本部に怒られたら、地下組織”SPA〜SaPpari
Atumarenai!(さっぱり集まれない)”と改称して、再起を誓う。
7.「代表部の設置と主席選任」
当聯合は「人外協」内部の”反乱組織”ではあるが、仮にも「人外協」の”黙認”支部(扱い)を目指す身でもある事から、「人外協」隊員規則に沿って、林[シャーロッキアン・ローディスト]雅恵
四国支部長を「外惑星聯合代表部主席」に選任する。
以上。
まったくをもって、ふざけた話しである。
この翌日には、この林[シャーロッキアン・ローディスト]雅恵”代表部主席”なる人物の「就任演説」までが”地球宙域”のみならず遠く”汎銀河宙域”まで放送されたので、一部の関係者はお聞き及びと思う。
参考までに、ここにその傍受記録と特務班エスパーによる読心記録があるので、併せて転載しておく。
(別掲)林主席就任演説
無論、我が軍も手をこまねいていた訳ではない。張り巡らせた情報網を駆使し、この「外惑星聯合」なる不逞の輩の正体を掴むべく、調査を繰り広げていたのだ。その結果、以下の4名の者が首謀者グループとして判明した。
・代表部主席:林[シャーロッキアン・ローディスト]雅恵:人外協自称四国支部長(愛媛県在住)
・代表部主席一級補佐官兼陸戦隊隊長:岡田[スイカ太郎]恭典:人外協大阪支部所属(大阪府在住)
・仙台駐在事務所連絡士官:阿部[在エリヌス郷土史研究家]和司:人外協隊員(宮城県在住)
・佐久定点観測所長:松村[駐在絵師補]武宏:人外協隊員(長野県在住)
尚、未確認情報ではあるが、外惑星聯合支持に動いている”元老”の存在もあるようである。
これ以上の賛同者が出ない内に、警務艦隊の派遣を検討すべきであろう。
そして、運命の甲紀20年7月7日(七夕)がやってきた。
我が軍は、この「異分子」どもの野心を打ち砕くべく、畏くも「人外協」隊長陛下自らご出馬頂き、その「玉音」を持ってして、緊急放送を敢行した。
以下は、勿体無くも有り難いその演説原稿の引用である。謹んで拝読するように。
「無事に設立総会も閉会したようなので、そろそろ朕の思うところなどを述べようかと思ふ。
まず、外惑星連合であるが、黙認は出来ない。何故か。たとえば中国は台湾を黙認してはいないし、航空宇宙軍史における外惑星連合そのものも、地球から認められた存在ではなかったからである。そう、
外惑星連合を名乗るものは即ち自ら修羅の道を歩む定めとなっているのだ。(元老は修羅の道を歩ききった人のような気がするけど・・・。とうとう後進を育てるのですか。)黙認など求めず高々と叛旗を掲げるがよい。
しかしながら外惑星連合という組織が誕生した以上、青年人外協力隊としては看過するわけにはいかず、厳戒体勢を以ってこの有事に臨む次第である。虎は全力のウサギも倒すらしいので手加減はしない。辺境にて待つだけの通商破壊工作のみならず、是非とも我が軍勢の懐にバンザイアタック(またはサムライジャイアンツ方式でも可)をぶちかますなどして、でかい花火を打ち上げて欲しいものである。Everybody
want Thrill♪なのだ。(Journey ね)
各地の例会担当者は外惑星連合の襲撃に備え、PONKI
編集長は甲州画報の誌面を空けて待つように。最初の戦地は20周年記念パーティかな。
ひょっとしたら、
外惑星連合のみが人外協の敵ではないのかもしれない。何故なら、さらに遠く外宇宙には汎銀河人夫妻の住むメリケンなる地があるらしいのだ。うひょ。」
・・・・。これでは、煽っているようなモノで・・・。あ、いや。とにかく、この演説を持って、弱小「外惑星聯合」の屈服は時間の問題かと思われた。
だが、これに対し、無知蒙昧なる反逆者どもは、7月7日の日付の変わらんとする隙をついて、我が軍に対し、次のような宣言文を叩き付けてきたのである!
「私は、外惑星連合代表部主席である!
青年人外協力隊隊員諸氏に告ぐ!
本日、甲紀20年7月7日をもって、第一次外惑星動乱、開戦とする!」
これは最早「宣戦布告」に他ならない。
まさしく「人外協」始まって以来の危機である。
我々は今こそ一致団結し、この扇動的活動を企てる無頼の徒に対し、正義の鉄槌を加えなければならないのだ!
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