唱 歌


 当時の唱歌教科書の緒言を見ると当時の教育方針が窺がえるので、紹介しておこう

       緒 言

一、本書ハ音楽教育ノ進歩ト時代ノ要求トニ鑑ミ、
   従来本省著作ニ係ル「尋常小学唱歌」ニ改訂ヲ加ヘタルモノナリ

ニ、本書ハ毎巻二十七章トシ、取扱者ニ選擇ノ餘地ヲ興シヘタリ

三、本書ノ歌詞ハ、舊歌詞中ノ適切ナルノモ、新作ニ係ルモノ、
   及ビ尋常小学国語讀本・尋常小学国語讀本中ノ韻文ノ一部ヨリ成ル

四、本書ノ歌詞ハ努メテ材料ヲ各方面ニ採り、
   文體・用語等ハ成ルベク讀本ト歩調ヲ一ニセンコトヲ期セリ

五、本書ハ教材排列ハ強ヘテ程度ノ難易ノミニヨラズ、一面季節ニツキテモ考慮セリ

六、本書ハ取扱者ノ便宜ノタメ、唱歌曲ノミノ楽譜ヲ掲ゲタルモノ、
   伴奏附ノ楽譜ヲ掲ゲタルモノト、二種類ヲ作成セリ。
   教授ニ際シテハ其ノ何ヲ採用スルモ可ナリ

    昭和七年三月   文部省


 いかがでしょうか。読めましたか(笑)

 では、当時の唱歌の歌詞を紹介しましょう。
 現在でも、歌われていると思われる物は省いております。 
      ★天長節 

   今日のよき日は 大君の
   うまれたまいし よき日なり
   今日のよき日は みひかりの
   さし出たまいし よき日なり
   ひかりあまねき 君が代を
   いはへ もろ人 もろともに
   めぐみあまねき 君が代を
   いはへ もろ人 もろともに

     ★紀元節
   
   雲に聳ゆる 高千穂の
   高嶺おろしに 草も木も
   なびきふしけん 大御世を
   仰ぐけふこそ たのしけれ
   
   海原なせる はにやすの
   池のおもより なほひろき
   めぐみの波に 浴みし世を 
   仰ぐけふこそ たのしけれ
   
   天つひつぎ 高みくら
   千代よろずよに 動きなき
   もとる定めし そのかみを
   仰ぐけふこそ たのしけれ
   
   空にかがやく 日のもとの
   よろず国に たぐいなき
   国のみ はしらたて世を
   仰ぐけふこそ たのしけれ
     ★明治節

   アジアの東 日出づるところ
   ひじりの 君の あらはれまして
   古きあめちとざせるきりを
   大御光に くまなくはらい
   教えあまねく 道明けらけく
   治めたまへる 御代たふと
   恵みの波は 八州に余り
   みいつの風は 海原越えて
   神の栄 行く力をのばし
   とつ国々のふみにも しるく
   とどめたまえる 御名かしこ
 いかがてすか?
 歌う事ができますか?
 我輩は、歌えません(笑)

 3つほど紹介いたしましたが、この他にもたくさんあります。
 現在にも、歌い続いてる物も当然あります。
 「春が来た」「茶摘み」「春の小川」等々です。
 でも、余り聞かなくなりましたね。

 この時代の唱歌は、ほとんど天皇家を讃える歌です。
 紹介した歌以外にも「勅語奉答」「神賞祭」「新賞祭」等があります。
 いずれも、天皇家を讃える歌詞になっています。

 歌詞が知りたい方はこちらにご連絡ください。

「鎗々満耳」第3回目へ
空色の風へ
TOPへ戻る