初めて絵本を書くこととなった。当初の依頼は
『かもつれっしゃ』か『とっきゅうれっしゃ』
と言うことで、『かもつれっしゃ』のスタート
となった。
24ページの中のストーリーをどうするかは、
すぐに決まり構成にとりかかった。ストーリー
は、最初から最後まで屏風絵のような絵本にし
たかった。その為にも文字なしを選んでみた。
しかし今の時代『かもつれっしゃ』は、ほとん
どがコンテナ車で昔のように何十種類もない。
そこで、一両ずつ出来るだけ多くの車両を、と
思ってつないでいった。客車や、ディーゼルカ
ーも入れて少しノスタルジックな感じに仕上げ
ようと思った。文字なしにしたのは百人に百通
りのストーリーを作れるようにしたからだ。後
ろからスタートしてもよし、前からでもよしと
思っていたのだがなかなか、相手には伝わらな
かった。この手の本は、一対一の読み聞かせに
は通用するが、幼稚園や保育所の読み聞かせで
はだめと指摘を受けた。子供たちは、絵本の絵
を読んでいる。今回の作品は子供、独身の同年
代の方々からの評判はよかった。ただ、子供に
絵本を買ってあげる、子を持つ母親からの評判
芳しくなく、読み聞かせなどのいろいろな指摘
を受けて、私自身いい勉強になった。
この絵本に出てくる風景は架空のものだが、貯
木場は中央西線の上松、給油所は関西本線の富
田浜周辺、セメントは東海道本線の膳所などを
参考にしている。私が子供のころは、大阪の城
東貨物線で、よく『かもつれっしゃ』を見に行
った。それは長い列車で、いろいろな種類があ
った。今は種類も限られてきて、この本に出て
くるような貨車は見ることは出来ないのが残念
でならない。
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