2025/09/11
海外でのキャッシュレス事情を体験するこのシリーズも、コロナ禍などもあって、実に6年ぶりとなってしまった。このたびポルトガルのリスボンに出張する機会を得て、第4回目の報告である。
2025年現在、日本からポルトガルへの直行便は無く、リスボンに行くにはどこかで乗り継ぎが必要になる。今回は中東系の航空会社を利用することとなり、行きがドバイ経由(エミレーツ航空)、帰りがドーハ経由(カタール航空)でそれぞれ約3時間の乗り継ぎ。日本からは約10時間、リスボンからは約8時間と、合計すれば片道21時間以上の長旅である。
リスボンのウンベルト・デルガード空港は、市街からほど近く、方向によっては飛行機が市の北部の低空をかすめるように離着陸していく。空港から市街へは、地下鉄の赤線(Linha Vermelha)でアクセスするのが最も簡便である。地下鉄はすべてタッチ式のチケットを使う。駅の自動販売機でnaveganteという0.50EURのカードを購入するとともに、1回券なら1.85EUR、24時間券なら7EURを支払い、このカードにチャージする。カードはチャージすることで何度でも再利用可能である。もちろん、自動販売機ではクレジットカードで問題なくチケットを購入できる。なお、チケットのかわりにタッチ決済可能なVisaカードでも乗ることができるようだ。
リスボンの地下鉄はCarrisという会社が運営しており、この会社はリスボン市内の地下鉄のほか、バス、路面電車、ケーブルカーも運営している。実際、7つの丘の街と言われるリスボンは高低差が半端なく、坂道を縫うようにしてこれらの交通機関が縦横に走っており、リスボン市内を見て回るには、24時間有効の一日券が大変重宝する。
スーパーマーケットでの買い物でも、クレジットカードで全く問題ない。日本でもコロナ禍を経て急速に広まったが、リスボンでも所謂セルフレジが普及しており、そちらを使えば並ぶことなくスピーディに買い物を済ませることができる。これも日本でそうなっているように、レジ袋は有料なので、エコバッグも忘れずに持参する。
私は海外での決済は、Visaのデビットカードを利用している。特にSonyBankWALLET(Visaデビット付きキャッシュカード)の場合は、多くの国でその国の通貨での決済が可能で、外貨残高がなくてもその日の交換レートで不足分を充填して決済してくれるので、外貨取引にありがちな手数料がほとんどかからないし、決済(引き落とし)の結果はメールで即座に通知されるのですこぶる便利でお得である。
レストランの場合でも、通常はカード決済で大丈夫なのだが、小さいお店だとポルトガルの銀行口座に紐づいたデビットカードしか受け付けてくれないところもあった。現金を持ち合わせていない場合は、注文する前に決済が可能かどうか確認しておくのが良い。
観光施設を複数訪れる場合には、Lisboa Card(リスボンカード)という、市内の交通手段に加えていくつかの観光施設の入場が無料もしくは割引になるカードを購入すると良い。特に有名な観光施設になると、チケットを買うだけで長蛇の列になっていることがあるので、並ばずに入れるこれらのカードを持っていればお金だけでなく時間の節約にもなる。ちなみに、リスボンの観光施設は月曜日になると多くが休みとなるので注意が必要である。
ところで、私がリスボンを訪問し帰国した数日後、リスボン市を走るケーブルカーの一つが脱線事故を起こして、数十人が死傷するという痛ましい事故があった。観光だけでなく市民の足として親しまれ利用されていたケーブルカーでこうした事故が起きたことは大変痛ましいことである。速やかに事故原因の追及と対策が行われるとともに、この美しい坂の街リスボンに、一日も早く平和で賑やかな日常が戻ることを切に願うところである。