#436 取扱説明書のトリセツ

2020/10/14

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 家電や電子機器を購入すると必ず取扱説明書がついてくるが、みなさんこれをどうされているだろうか。

 そもそも取扱説明書というのはちゃんと読まれているものなのかどうか、という問題もある。人間が使うものである以上、すべての製品は人間にとって直感的に使いやすいものでなければならない、というのは確かに一つの真理である。そしてその理想が十分に達成された製品であれば、そもそも取扱説明書などなくても使えるものであって然るべき、というのは確かに正論である。

 とは言え、冷蔵庫とか洗濯機とか掃除機とか扇風機とかエアコンとか、やることが単純で取扱説明書などなくても良さそうな家電であっても、最近はやたらと高機能化してきており、取扱説明書の助けがなくては使いこなせない機能もあったりするので、油断がならない。加えて、取扱説明書の冒頭では、消費者保護の観点から「危険」「警告」「注意」と言った事項がこれでもかと並んでいたりして、迂闊な使い方をすると製品が壊れたり、ひどい場合には使っている本人に危害が及ぶこともあるのでますます油断がならない

 更にテレビやレコーダーやラジカセやFAXなどは、時刻設定が必要だったり、どうかするとネットに接続したりするものもあるから、これらを取扱説明書なしにセットアップするのはなかなか大変である。

 そしてパソコンやその周辺機器、スマホやデジカメやICレコーダーなどの電子機器になると、商品価値を上げるために技術者がありとあらゆる機能を盛り込んできたりしているので、それを使いこなそうと思うとやはり取扱説明書は不可欠になってくる。とは言えそれを網羅的に説明しようとすると、取扱説明書そのものはどんどん分厚く難解なものになり、かえってきちんと読んでもらえないという悪循環になっているケースもある。そのせいか最近では、「ともかくこうすれば使えますよ」という最低限のことだけを書いた簡易マニュアルと、その製品のすべての機能について説明した詳細な取扱説明書を別にしている場合も多い。

 そんなわけで、どちらかというと不遇な扱いを受けていると思われる取扱説明書であるが、やはりいざという時には無いと困るのも確かである。こういうことができないかと思った時に該当する機能に関する説明を引いたり、何か不具合があった時に何が原因なのかを調べたりするには、取扱説明書がないと始まらない。例えば何か不具合が起きて見てみたら、表示部にエラーらしい文字が出ているが、それが「E03」などと書いてあったりしても、何を意味してどこに不具合があるのかさっぱりわからないので、取扱説明書にお伺いを立てないといけない。

 とはいえ、使っている家電や電子機器の取扱説明書はどれもそれぞれそれなりのページ数があり、それが20も30もあると、きちんと管理していないと容易に散逸してしまうし、まとめて保存するにしても結構な体積になったりする。取扱説明書を束ねておくファイルと言ったものを活用するなどして、一か所にまとめておくのが良いだろう。

 さらに言えば、多くの日本の家電メーカーは、最近では自社のWebサイトでPDF版の取扱説明書を入手できるようにしているところが多い。私の場合は、自分の持っている製品の型番からメーカーのWebサイトで検索して取扱説明書をダウンロードし、必要に応じてわかりやすい名前に変更した上で、パソコンやスマホに一通り保存している。必要になった時に都度アクセスしてもいいのだが、長く使っている製品などは、販売休止になるとともにPDF版の取扱説明書もなくなってしまうこともあるので、やはりダウンロードして手許に置いておきたい。

 PDF版の取扱説明書は嵩張らないし、散逸する心配もないし、複数の場所で保存しておくこともできる。また、知りたい機能について目次を引かなくても単語検索機能で検索して必要な箇所を見つけることもPDF版ならではの機能である。ついでに親や家族が持っている家電類の取扱説明書も適宜保存しておき、何か聞かれた時にすぐに検索して対処法を教えたことも一度や二度ではない。ということで、家電や電子機器を買ったら、PDF版の取扱説明書をダウンロードして保存しておくことをお勧めするものである。


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