#247 携帯ハンズフリーはイイ!

2005/07/06

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 昨年の11月から改正道路交通法が施行されたことに伴い、運転者の携帯電話利用については厳しく取り締まられるようになった。運転中の携帯電話使用については、電話をかけることはもちろん、電話を受けたりメールを見たり、要するに手に持って使用するだけで、3ヶ月以下の懲役か5万円以下の罰金(大型車7000円・普通車6000円)が課されるようになった。施行初日から結構な数の運転者が検挙されたとのことで、運転する人にとってはかなり神経を遣うことになったわけである。

 もちろんこれは、運転中に視線が他所に向いてしまい前方不注意等で事故を引き起こす可能性があるのを未然に防ぐためのものであるから、そういう行為を取り締まらなくてはならないというのは正論として理解できる。しかし、携帯電話のハンズフリー装置と呼ばれるものを使った場合は、一応違反の対象外となっているようである。このため、この改正道路交通法の施行にあたって、この携帯ハンズフリー装置がかなり売れて、大型家電量販店などでも一時品切れ状態になったということが報じられていた。

 この携帯ハンズフリー装置というもの、大まかには携帯電話についている外部出力端子に接続して、1m程度のケーブルの反対側に受話用のイヤホンと送話用のマイクがついているというものである。携帯電話はポケットやダッシュボードなどに置いておいて、手に取ることなく会話ができるというシロモノである。原理がそれほど複雑なものではないため、量販店などで1000円程度で売っている。

 とは言え、自分は車を持っていないし運転もしないので、そのようなものは特に必要ない。と思ってはいたのだが、先日近所の99円ショップを覗いてみたら、なんとこのハンズフリー装置が99円(税込み103円)で売っていたのを発見した。かなり普及したものとは言え、まさか百円ほどで売るようになってしまったとは全く驚きである。百円程度であれば万一使い物にならなくても惜しくはないと思って、とりあえず1つ買って使ってみることにした。

 携帯ハンズフリー装置は、携帯電話の外部端子の形態によって、丸型端子と平型端子の2つの種類がある。どちらのタイプも売っていたので、自分の持っている丸型のものを購入した。モノが100円だからして、ボリュームの調整やオフフック・オンフックなどのリモートスイッチは一切なく、電話をかけたり受けたりの操作は本体でやる必要がある。

 で、使ってみるとこれが結構便利である。通常であれば片手が塞がってしまうので、電話をかけながらメモを取ったりパソコンを打ったりということがどうしても不自由になるが、ハンズフリー装置だと、文字通りこのような作業が自由にできる。感度も割と良く、普通に耳に携帯電話を押し当てて会話するよりも良く聞こえるし、相手にもこちらの言葉がよく聞こえているようである。そして、両手が空くという物理的な自由度以上に、電話をかけながら意識を別に向けることが出来るのが大きい。(だから多分運転していてもさほど注意力が殺がれないわけだ。)

 考えてみれば、我々は目の前の人と会話をしながら頭では別のことを考えているというようなことを結構日常で行っている。ハンズフリー装置というのは、感覚としては目の前にいる人と会話している感覚とほとんど変わらず、それでいて、会話しながら全く別のことができてしまうという装置である。恥ずかしながらこの便利さは、使ってみて初めてわかる感覚であった。

 そんなわけで最近は、携帯電話をポケットにほおりこみ、このハンズフリー装置を耳につないでいる状態で仕事をしている。携帯電話がかかってきても、平気で仕事を継続しながら相手と話をしている。もういくらでも電話かかってこいみたいな状況で、心なしか仕事の能率もあがっている気がする。高々百円グッズでここまで変わるのだから、我ながら単純にも程があるとは思うが、もとが100円そこそこだけに、今まで試した電脳グッズの中でも最高のコストパフォーマンスではないかと思っている。たとえ運転しない人でも、携帯電話で通話する頻度が高い人にはお勧めの商品である。

 ただ難点を言えば、見えない人と会話をしているようにしか見えないので、傍から見たら気味が悪く映るということと、電話をしているようには見えないので、通話中でも他の人に話し掛けられてしまうことである。いくらハンズフリーで手は自由に動かせても、同時に二人以上の話を聞くのは、聖徳太子ならぬわが身には、まだまだできぬ芸である。


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