#180 データの渡し方

2001/10/03

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 今や文章に限らず、画像や音楽など、様々なものがコンピュータのファイルとして扱えるようになってきた。ファイルという実体のないものにしてしまえば、編集も管理も保存も非常に楽ではある。だが、それらを移動させるのは、時として結構手間のかかることが多い。あるデータを別のパソコンなどに移したいとき、あなたはどんな方法を使っているだろうか。

 少し前なら、データはフロッピーディスクを使ってやりとりするのが一般的であった。サイズが8インチから5インチ、更に3.5インチに変わっていった過渡期には多少面倒なこともあったが、基本的にフロッピーディスクならどこでも読むことが出来たし、メディアも安価だし、データもだいたいその中に納まるものであった。今でもちょっとした文章ファイルなら、フロッピーでも事足りる。しかしその一方で、画像データや音楽データなどは、たとえJpegやMpegといった非可逆圧縮のフォーマットで保存されていても、大きいものは数100kbyte程度の大きさになる。そういうのが数十枚にもなると、さすがにフロッピーでのデータのやりとりでは追いつかなくなる。だいいちフロッピーは読み書き速度が遅いので、大容量のデータの移動は時間もかかる。

 かたや、デジタルカメラが急速に普及してきたことで、スマートメディア(以下SM)やコンパクトフラッシュ(以下CF)などの媒体がかなり安価になってきた。今では1Mbyteあたり60円くらいにまでなってきているので、大容量のものは、ちょっと大きめのデータのやりとりには便利である。ただメディアそのものが小さいため、パソコンで読むためには別途アダプタが必要になってくる。

 これらカードをパソコンで読み書きするためのアダプタとして代表的なものは、PCMCIAカード型のアダプタである。CFアダプタの場合は、基本的な構造が似ているため、値段は1000円もしないのに対し、SMのそれはやや高価で、しかも対応する容量が限られてくる。これらはパソコンへのデータ転送速度も比較的速いのだが、大抵の場合ノートパソコンの場合にしか使えないのが難点である。そこでデスクトップの場合は、USB接続の専用アダプタなどを用いることになる。転送速度はカードの場合よりやや遅いが、フロッピーほど遅くはない。SMの場合には、フラッシュパスというフロッピー型のアダプタもあるが、転送速度がフロッピー以下なので、データ量が多くなるとあまり実用的でない。ちなみに私はそのいずれも持っているが、最も重宝しているのが、CFのカードアダプタである。これはそのまま携帯端末用のフラッシュメモリ替わりとして、64MbyteのCFとともに常に携帯している。

 大容量でなおかつ読み書きできるメディアとしては、MOやzipやPDなどがある。しかしこれらのドライブはたいてい周辺機器であるから、相手の環境にもそのメディアを読み書きできるドライブがあるとは限らない。そこで場合によっては、ドライブごと持ち歩いて転送するということになる。

 データ元にCD-Rドライブがあるのなら、いっそのことCD-Rにデータを焼いてしまうのも手ではある。CD-ROMドライブのないパソコンはほとんどないと思われるので、或る意味非常に汎用的だし、メディアも大変安価だ。再利用できないという難点はあるが、かえってデータを消されたり上書きされたりする心配がないので、データの安全性は最も高いと言える。汎用的なCD-Rは、直径12cmとややかさばるのが難点だが、最近では名刺サイズのCD-Rなんてのも100円以下で売られている。容量は30Mbyteとやや小さいが、形状がスマートなのがいい。最近ではこれを名刺がわりにするところもあると聞く。データに会社案内などのコンテンツを入れた、実益も兼ねた名刺である。

 ネットワークが使えるのなら、メールに添付してしまうという方法もなくはない。あまりでかいファイルだとメールボックスを溢れさせたり、ダイヤルアップだと転送に時間がかかるという難点はあるので、やりとりする前には互いの環境を確認する必要があるが、媒体を利用しないので、便利ということはある。また、メールそのものは機種に異存しないため、たとえばMacとWinでデータのやりとりをする時など、最も確実であったりする。また、Web上にストレージを用意し、それを使ってやりとりするという方法もある。通信速度が十分速ければ、多少大きなデータであっても楽にやりとりすることができる。

 ADSLが普及などによりネットワークが高速化するにつれ、媒体を用いないスマートなデータのやりとりが今後ますます主流になってくることだろう。と同時に、ウィルスなどの被害に遭う危険性も高くなっているので、セキュリティには十分気をつけるようにする必要がある。


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