#074 パソコン用語の傾向と対策

1999/08/03

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 パソコンが一般の人にとって「敷居が高い」と感じさせる要因の一つは、パソコン関係の独特の用語にあるのではないかと思う。確かにこういった用語が飛び交うパソコン関係の技術的な会話は、分からない人にとっては外国語どころか宇宙人の言葉ではないだろうかなどと思われることもあるだろう。しかし、パソコンを直接間接に使う必要に迫られている現代人としては、これらの言葉を避けて通るわけにもいかなくなってきている。

 コンピュータ技術の進歩はご存知の通り「日進月歩」どころか「分進秒歩」と言われるほどで、それに伴い関連する用語の方も、新しい技術と伴に大量に作られては、古くなった技術と伴に大量に廃れていくということを繰り返している。

 そしてまた、これらの技術は英語圏で開発されることが圧倒的に多いので、用語の方も当然英語が元になっているものがほとんどである。更に言えば、こういった技術はごく一握りの会社によって開発されるものだったりするので、その会社の商標がそのままパソコン業界のデファクト・スタンダード(事実上の標準)として定着すると言うこともしばしばである。

 また(パソコン用語に限らず)、acronym(=頭文字語)とりわけ3文字のアクロニムが滅多矢鱈に多いも特徴である。思いつくままに例を挙げてみても、CPU,MPU,RAM,ROM,HDD,FDD,ISA,PCI,USB,TFT,STN,EDO,DOS,HMA,UMB,FEP,IME,GUI,CUI,CSV,FTP,WWW,IRC,PPP,TCPなどといくらでも挙げることが出来る。私自身ももともと何の略語なのかわからないものも幾つかあったりする。それにしても、こんなに沢山あれば、適当なアルファベットを3つ並べればもうそれはパソコン用語である、と言っても過言ではないかもしれない。と思って計算してみたけど、アルファベット3文字でできるacronymの種類は17576もあるから、さすがにそんなことはないか。

 というわけで、ざっと考えただけでもパソコン用語と言うものはそれこそ星の数ほどもあるわけで、こんなに憶えなければパソコンは使えないのだろうかと茫然とする向きもあるかも知れない。しかし、千里の道も一歩から、ローマは一日にして成らず。私だって学生のころはこんな言葉の殆どを知らなかったわけであるし、使っているうちにそのうちいやでも憶えていくものである。というわけで、これからパソコンを使いはじめる人がまず憶えるべき言葉というものを紹介しておこう。

 まずパソコンを購入したりアップグレードしたりするためには、特にハードウェア関係の用語を押さえておきたい。特にPC/AT機については自作する人も多くいるので、これらパソコンを構成するものは部品として売られていたり交換可能だったりする。その際に、その部品が自分のパソコンに合っているものかどうかということは、買物をする上で必須の知識である。

 大雑把に言えば、パソコンはCPU(中央処理装置)という「肝」の部分と、それらに付随する周辺機器という具合に大別できる。PC/AT機の場合、最近はCPUにも色々な種類があり、それによってマザーボード(CPUや周辺機器を接続する基板)も選択する必要がある(この辺は、パソコンを自作しようという人でもなければあんまり関係ないし、私もそういうクチではないので、実はあまり詳しく知らなかったりする。)

 周辺機器は、パソコン内部の基板や外部の各種コネクタに繋ぐものであるが、この時、コネクタの物理的な形状が異なっていれば接続できない。というわけで、ボードをマザーボードに挿し込む際のバスの種類(Cバス、ISAバス,PCIバスなど)や、メモリの種類(SIMM,DIMM,EDOなど)や、コネクタの種類(パラレル、シリアル、SCSI、USBなど)は最低押さえておきたい。意味などわからなくても「こんな形をしているのがこういう名前なんだな」という具合に憶えていればいい。

 最近はWindowsのPlug and Playもだんだんまともになってきたので、コネクタの物理的な形状さえ正しく選んで接続できさえすれば、あとは大抵どうにかなるものである。もちろん、どうにかならないこともあり、例えばD-sub25pinなどの場合、同じ形状のコネクタがパラレルだったりシリアルだったりSCSIだったりすることもあるので油断ならない。ということで、どんなようなものがあるかを覚えたら、次はなるべくそれらのコネクタのバリエーションなども把握しておきたいところである。そういう具体的な話まで及んでもいいのだが、図なしに説明するのはほとんど無理なので、あとは各人の宿題ということにしておこう。締切は夏休み一杯。


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