#061 プリンタ購入計画(その1)

1999/04/28

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 パソコンを個人で所有し使いはじめてからすでに5年余りが経過しているが、実は未だに個人のプリンタを持っていない。

 パソコンで一般的によく使われていると言われるワープロにせよ表計算にせよ、パソコンで処理したデータは、最終的には紙に出力する場合が多いであろうから、プリンタというものはパソコンの周辺機器の中では最も身近で重要度の高いものであろうと思うのが普通かも知れない。だが私はプリンタを持っていない。

 そもそも私がパソコンを自分で購入したのはデータの蓄積と整理のためである。仕事に関する文書やデータをはじめ、劇団関係の資料や、メールや通信ログなどのデータを、コンピュータのファイルという自分が分かりやすい形にして保存し、必要があればそれらを加工して自分が参照しやすいようにできていればそれでいいわけである。従って、自分のノートパソコンにはワープロも表計算も入っていない。すべてテキストのデータにして保存しているだけであり、参照する時は画面を眺めるだけである。プログラムのデバッグにせよメールの読み書きにせよ、紙の出力を必要とすることはほとんどない。

 もちろん、第三者にデータを参照してもらうのに最も一般的な方法は紙の出力であるから、プリンタを必要とする場面もないことはない。しかし大抵そのような用事は仕事に関するものが多く、それならば何も自分でプリンタを持って出力する必要もない。仕事場には業務用のかなり高水準のプリンタがふんだんに使えるのだから、必要な時にそれらを使えばいいわけであり、何も自分で身銭を切ってそれよりも水準の低いプリンタを使って出力することもない。

 と今までは考えていたのだが、最近さすがに個人的趣味的な用事でプリンタを必要とする場面も多くなってきており、そういう用事にたびたび仕事場のプリンタを拝借するのも気が引ける。それに、概してそういう用事は仕事場に居ない時に必要になるものであり、必要な時に出力ができないという状況もなかなか不便である。その一方、最近はカラーも出力できる家庭用のプリンタがかなり高水準低価格化している。そういった様々な理由で、ついに5年目にしてようやく個人のプリンタを買おうかなと思いはじめたところなのである。

 家庭用のプリンタも安くなってきているとは言え、やはり買うとなれば数万円はするものであり、比較的高い買物であることには間違いない。購入にあたっては、自分の使用目的などとも照らし合せて、自分に合ったものを見極めて間違いのない買物をしたいと思うものである。

 家庭用のプリンタとして各社が力を入れて宣伝し販売しているものは、俗にインクジェット方式と呼ばれるタイプのプリンタである。要するにインクを小さなノズルから噴射する方式で印刷するというタイプのものである。この方式は、レーザー型や昇華型など他の方式のプリンタに比べ、ランニングコストを非常に安く抑えることができることが特徴である。

 家庭用のプリンタがよく売れるのはやはり年末にかけての時期であるという。言わずもがなの年賀状シーズンである。パソコンが一般家庭にも徐々に浸透してくるにつれ、私のところに届く年賀状だけ見ても、最近では自分でカラー印刷して作ったと思われる年賀状が増えてきた。このような家庭での印刷年賀状の需要に応えて、郵政省では、一昨年前から裏面をコート加工したインクジェットプリント用の官製年賀葉書を販売している。値段はもちろん従来の再生紙葉書と同額である。このインクジェットプリンタ対応の葉書でカラー印刷された年賀状の中には、市販のデザイン葉書と見間違えるほど高いクオリティのものもある。こういったものも、カラープリンタを欲しくなった一つの要因であることは間違いない。

 というわけで、いそいそとパソコンショップに出かけてどの様なプリンタを買うのがよさそうなのか、市場調査に行ってみた。現在インクジェットプリンタという市場においては、C*nonとEPS*NとH*wl*tt P*ck*rd(以下それぞれC社E社H社と呼ぶ)が鎬を削っているようだ。そしてプリンタ売場へ言ってみると、出力結果の比較や性能を示すグラフなどが掲示され、どの会社のプリンタも「ウチのが一番綺麗」「うちのが一番早い」などと宣伝しており、いったいどれを信じればいいのやらわからない。店頭の各社の宣伝だけでなく、雑誌やWebPageなど、もう少しいろいろと客観的なレビューや情報を調べて、子細に比較検討してから購入した方が良さそうである。

 ということで次回は、初めてプリンタを買おうとしている私が私なりに調べた、プリンタ選びのポイントみたいなものを紹介してみようと思う。


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