#048 あなた色に染めて…

1999/02/09

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 などと思わせぶりなタイトルをつけたが、なんてことはない。壁紙の話である。

 そもそもパソコンは「パーソナルコンピュータ」という名前が示すとおり、元々は個人のニーズに応じた使われ方のできる道具として作られたものである。だからこそ、それこそBASICなどでプログラムを自分で組んで、自分の目的にあった仕事をさせるという使い方が普通であった。それがここ数年、OSがWindowsなりMacOSなりのGUI指向のものになり、昔よりも幅広く使われるようになり、OSばかりかアプリケーションまでも淘汰が進んで皆が同じようなものを使うようになると、今やパソコンを使う上で個性的な部分というものは昔よりも随分少なくなってきたような気がする。

 そういう中で、比較的簡単に変更できて個性を発揮できるものの一つに、デスクトップ上に表示させておく画像、すなわち壁紙の変更というものがある。

 MacOSの場合はどうなのか良く知らないので言及しないが、WindowsをCD-ROMからインストールした場合は、よくわからない青空か何かの模様が標準の壁紙になっていたと思う。それ自体それほどセンスがないとも思わないけれど、やっぱりいかにもな壁紙という感じがして面白くない。

 そうかと言ってメーカー卸しのWindowsプレインストールマシンの場合、そのメーカー名なり製品名なりがクレジットされたいかにもな壁紙が多くて閉口してしまう。もちろんデフォルトがそうなっているのであるが、標準でついている他の壁紙を物色してみても、その系統のバリエーションがいくつもあったりする。おいおいこんなのでディスクスペースを無駄使いしないでくれよとか思うが、そういいながら私も観念して職場のノートパソコンは「VAIO」のロゴの入った壁紙のまま使っているけど。

 Windowsやハードウエアメーカーの押し着せの壁紙に飽き足らない場合は、インターネットで流通している画像を壁紙にしたりということを始める。幸いNetscape NavigatorにせよInternet Explorerにせよ、表示している画像を簡単な操作で壁紙に設定することができるし、壁紙用として公開されている画像も結構あったりする。

 ただ、自分一人で使っているパソコンならばともかく、職場のパソコンなどで、少なくとも自分以外の人間の目に触れる可能性があるパソコンの場合は、やはり壁紙にする画像の選択にも注意しなくてはならない。たとえそれがどんなに自分の好きなものであったとしても、女性の水着の写真などを壁紙にしていた場合、奥様や同僚の女性職員等にいい顔をされないことは必至であろう。ここはやはりおとなしくメーカー名の入った壁紙でも使っていた方が無難なのかも知れない。

 最近では画素数の多いデジカメも普及しているから、自分で写したデジカメ画像を壁紙にするのも個性的でいいものである。ただよほど腕に自信のある人が撮った写真でないと、壁紙として鑑賞に堪える物になるかどうかは疑問だし、これも周りの人に見られて自分のセンスを問われてしまうところもあるからやはりそれなりの覚悟が必要である。壁紙はそもそもデスクトップ上の模様であるから、あんまりごちゃごちゃしたものはその上に載っているアイコンなどが見づらくなるので、その辺も注意が必要である。

 絵心のある人は、自分で描いてしまうというのが究極の壁紙であろう。これもセンスのいい絵が描ければもちろんいいのだけど、評価されるほどの絵が描ける人というのはごく一握りであろう。普通の画用紙やカンバスに絵を描くのとはまた別の技術が必要であるということもあり、これもなかなか敷居が高い。

 いずれにせよ、壁紙はあなたの個性を写す鏡と言える部分もあるから、なかなか選択に気を遣ったり苦労したりするところもあるけれど、それがまた結構楽しかったりもするものである。そして苦労して選択した会心の壁紙を見ながら、あなた色に染ったデスクトップを眺めてにやにやしているのも、また気持ちのいいものである。でも、あなたとディスプレイに向けられた背後の視線にはせいぜい気をつけられますよう。


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