△ 「パペッツハート」シーン2


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上手灯り。少し暗い感じの劇団倉庫。上手前から上野、鹿島、みき、のぞむ、あおいの順で入って来る。

みき 「うわぁ、倉庫に来るの久々。4、5年振りかも。」写真
のぞむ 「俺は最後に来たの…小2の頃だったから。15年くらい振り?」
上野 「そんなに来てなかったんだ。」

みき、棚の上に飾られている人形たちを見つける。

みき 「あ、人形!懐かし〜!」
鹿島 「この棚の人形たちは現役です。たまに使うのは箱に入れてあります。」
みき 「あの羊のやつ。えっと…」
上野 「『オオカミの皮をかぶった羊』ね。」
みき 「それだ!強がってる羊の話。あ、その下のは、えっと、クリスマスにやるやつ。見習いの魔法使いが出て来る…あ、『サンタを救え!』だ。」
鹿島 「正解。今はクリスマス以外でもやってますよ。」
みき 「このコウモリは、『ひきょうなコウモリ』のだっけ?」
上野 「昔の題名はそうだったけど、今は『鳥と獣とコウモリ』って言うのよ。」
みき 「へ〜…。あ!これも好き!『たまごとにわとり』!歌も覚えてるよ!」

みきが歌い出し、上野と鹿島も歌う。あおいが慌ててポンピーを取り出し腕につける。

みき 「♪たまごがさきだ」
上野・鹿島 「♪にわとりがさきだ」
みき 「♪たまご」
上野・鹿島 「♪にわとり」
みき 「♪にわとり」
上野・鹿島 「♪たまご」
みき・上野・鹿島・あおい 「♪あ〜〜」

四人笑う。

のぞむ 「よく覚えてるな。俺なんか一個も覚えてないよ。」
上野 「あ、じゃ、私ちょっと機材棚見てくるね。」
あおい 「OK!」

上野、上前に戻る。みき、また棚に見覚えのある人形を見つける。

みき 「あ、鬼だ。何に出て来るやつだっけ?桃太郎?」
鹿島 「とか、一寸法師とか、こぶ取り爺さんとか…」
あおい 「節分の鬼とか、太鼓を付けてカミナリ様とか…」
のぞむ 「使いまわしか。」
みき 「売れっ子俳優って言いなよ。」

のぞむ、奥の部屋を見つける。

のぞむ 「あれ?こっちに部屋なんかあったっけ?」
あおい 「そっちにはあんまり使ってない人形がしまってあります。」
のぞむ 「入っていい?」
鹿島 「電球切れてますけど。」

のぞむ、部屋(中央上手)を覗き込む。

のぞむ 「ほんとだ暗っ。」

のぞむ、部屋に入って行く。

みき 「私は入ったことないかも。お兄ちゃん見える?」

のぞむが段ボール箱を一つ抱えて出て来る。

のぞむ 「見えないから一個持って来た。開けていい?」
鹿島 「どうぞ。」

のぞむが箱を開けて中を見る。

のぞむ 「お?」
みき 「なになに?」写真
のぞむ 「ネズミだ!」
みき 「きゃああああああ!!!」

みき、ダッシュで逃げ出し、鹿島、あおいにぶつかり、3人、目の前(客席側)の棚にぶつかる。

鹿島・あおい 「うわあ!」

その拍子に棚の人形がバラバラ落ちる。上野が戻って来る。

上野 「何?!どうした?!」
みき 「ネズミだめ!ネズミ!」

のぞむ、箱からネズミの人形を取りあげ。

のそむ 「人形だよ!」
上野 「みんな大丈夫?」
鹿島 「ええ、でも人形がたくさん落ちちゃいましたね。」

みんなで拾って棚に戻し始める(マイム)。あおい、拾いにくいのでポンピーを外す。

のぞむ 「驚き過ぎだよ。ドラえもんか?」
みき 「お兄ちゃんがネズミとか言うから…」
のぞむ 「名前がミッキーなのにネズミが苦手ってどうよ。」
みき 「みきです!」

人形を棚に戻し終え、のぞむが箱を持ち

のぞむ 「戻して来る。『ネズミ』の人形。」
みき 「もう…」

のぞむ、一度奥の部屋(中央上手)に入る。

鹿島 「並びってこれであってます?」
上野 「うん、こんなもんでしょ。」
みき 「ごめんなさい。」
上野 「大丈夫。人形にケガはなさそうだし。」

部屋の奥からのぞむの声

のぞむ 「あれ?なんかあるぞ。」
鹿島 「どうしました?」写真

のぞむが大き目のブタの人形を持って出て来る。みんなのぞむに近づく。

のぞむ 「ブタかぁ。」
みき 「なにこれ?」
のぞむ 「棚の奥にあった。」

のぞむ、ブタをあおいに渡す。

鹿島 「ん?見たことないなこれ。」

あおいも頷く。

上野 「私も。」
みき 「え?上野さんも知らないの?」
鹿島 「相当前のものですね。埃っぽいし。」
上野 「多分初期の作品の物かも。」
のぞむ 「あっ!!」

みんなびっくり。のぞむはスマホを取り出す。

のぞむ 「今何時?!」
鹿島 「16時過ぎたとこです。」
のぞむ 「やべやべやべ!…え?バッテリー切れ?!!マジかよ!誰か予備バッテリーない?!」
みき 「充電コードなら持ってるけど。」
のぞむ 「貸して貸して!」
上野 「コンセントいかれてるから使えないよ。」
のぞむ 「え?なんで?!」
鹿島 「多分コードがネズ…」

みきが反応する。みんなも息を飲む。

鹿島 「ネ、ネ…ネズィれて切れたのかも。」
のぞむ 「くっそ、ヤベー!ヤバ過ぎ!」
みき 「なにが?」
のぞむ 「面接の結果が来るんだよ!すぐに返事しなきゃまずいのに!みんな悪い!おれ帰るわ!」

のぞむ、出口にダッシュ。

みき 「ちょっとお兄ちゃん?」

のぞむ、去りながら

のぞむ 「ブタさん宜しく!」写真
みき 「まったくもー!劇団の話どうすんのよ…」
上野 「就活じゃしょうがない。」
鹿島 「そうだ、LINEグループの電話で会議しません?」
上野 「いいかも。あきちゃんも入れて。」
鹿島 「送りますよ。みきちゃんも。行きましょう」
みき 「ありがとう。あ、ブタさん置いてくる。」

みき、あおいがもっているブタの人形を受け取る。上野、鹿島、あおい上前にハケる。
みき、ため息をつくが、すぐにブタの人形の頭を撫で、中央ハケ上手にハケる。

(作:松本じんや/写真:堂園昭人)

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