△ 「インヴィジブル・ファイア」シーン35


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照明、ゆっくりと上手サスのみに変わり、めぐみがサスに入る。

めぐみ 「都市伝説から始まった騒ぎが、最後はとんでもない事になっちゃいましたが、よく考えてみると私のせいでもあるし、もっと遡ればお七のせいでもあるし…よくダブを首にならなかったなと…」

下手のサスに麻耶が現れる。

麻耶 「なるわけないでしょ、めぐみちゃんの能力を生かすのはこれからだもの。」
めぐみ 「でも施設めちゃくちゃになっちゃって…」
麻耶 「心配ない。修理代は全部ペンタゴンが出すって。」
めぐみ 「そうなんですか?」

トモエと上底が出て来る。

上底 「いいなぁ瞬間移動でアメリカまで帰れるなんて。」
トモエ 「ノーノー、今回は船を使うね。」写真
上底 「え?船で帰るの?」
トモエ 「たまにはいいかなってね。」
上底 「いいかもね。」

石倉と愛も出て来る。

石倉 「私もご一緒してよろしいですか?旅行の途中だったもので。」
トモエ 「オウ!ミスターメフィスト!喜んで!」
「ちゃんと始業式までには帰って来てね。」
石倉 「もちろんだ。」
上底 「元気でな。」
トモエ 「また来るよ。」
上底 「お兄ちゃんに会いに?」
トモエ 「ノー。キティーちゃんに会いに。」
上底 「あー…」

トモエと石倉、上底と愛、別々の方向にハケる。

めぐみ 「しかしトモエさんも人が良すぎですよ。自分を狙ってるレーザー兵器を修理しちゃうなんて。」
麻耶 「もう狙われないみたいよ。」
めぐみ 「え?」
麻耶 「それを条件に修理したんだって。」
めぐみ 「あ、なるほど。」

里子と瀬名が出て来る。

麻耶 「エミリさんは大変だったみたい。」写真
里子 「エミリさん、会社を首になったんですって?」
瀬名 「マードレも一時凍結されましたが大丈夫です。私は会社に復帰しました。マードレも活動再開です。」
里子 「それは良かった!でもどうやって?」
瀬名 「世界中のAIの意見だったそうです。」
里子 「AI同士で助け合ったて事?なんだかちょっと怖いわね。」
瀬名 「いいえ、AIはきっと進化します。人に寄りそう家族のように。ね、マードレ。」
マードレ 「はい!頑張っちゃいま〜す!」
里子 「あれ?キャラかわった?」
瀬名 「進化です。」

里子、エミリ、笑顔でハケる。

めぐみ 「マードレの凄さをみんなが認めたんですね。」
麻耶 「なにしろ世界で初めて、自殺まで考えたAIだからね。」
めぐみ 「でもそれを脅威ではなく、希望として認めてもらえた。」
麻耶 「素敵な未来を期待しましょう。」
めぐみ 「今回の事件の後始末はやっぱり角田さんが?」
麻耶 「ええ。レーザー攻撃はガス爆発。施設の火事はエレベーターのモーターの不具合。一般の人の記憶も記録も全部書き換えた。」
めぐみ 「妖怪どわすれ、恐るべし。」

角田と御厨が出て来る。

御厨 「ネット炎上の消防隊が消えてから、また誹謗中傷が増え出しちまったな。現代社会の醜い部分だ。」写真
角田 「現代社会は関係ない。人間は昔から変わっちゃいない。いや、昔の方がもっと残酷だった。」
御厨 「さすが、400年も生きてるだけあるな。」
角田 「ああ。醜いものを嫌というほど見てきた。現代は、まだましなほうだ。」
御厨 「ネット犯罪をなくす方法はないもんかね。」
角田 「簡単さ。電気の生活を捨てればいい。ついこないだまでみんなそうしていた。」
御厨 「簡単じゃない。人間は一度手に入れた便利な道具を、そう簡単に手放せない。」
角田 「確かにそうかもな。ま、今後も見守るしかないな。」

歩いて行こうとする角田に。

御厨 「なあ角田、今回の件で俺の記憶を消したりしていないよな?部分的にとか?」
角田 「ああ。……いや、何かあった気がするが…どわすれした。」

角田、去る。御厨追いかけながら。

御厨 「おい!今の冗談だよな?!おい角田!」

御厨、ハケる。入れ替わりで宇崎、曽田、大久保が出て来る。

めぐみ 「そういえばこの人たちの記憶も。」
大久保 「これで全部点検終了ですね。」
曽田 「ああ…」
大久保 「ん?なんすか?なにか見落としでも?」
曽田 「いや、そうじゃなんだけど、このビルの構造、前から何か違和感あるんだよね。宇崎はどう思う?」
めぐみ 「でも一人だけ記憶を消されなかった人も。」
宇崎 「いや、別に違和感ないけど。」
曽田 「そうかな…」
大久保 「そうですよ、行きましょう。」

曽田、大久保ハケる。見送るように宇崎が残る。

めぐみ 「お兄ちゃんは記憶を消されず、霊能力を買われてなんとダブに入りました。」
麻耶 「消防士と二足の草鞋は大変そうだけど。」
めぐみ 「しかし、お兄ちゃんにお母さんの霊が見えてたなんて知らなかった。あの後も見えてるのかな?」

上手の台上に母が現れ、宇崎と目が合い頷く。宇崎もうなずき返し、母は去る。

麻耶 「見えてるみたいよ。」

宇崎も去る。

麻耶 「そうそう、ダブに入ったと言えば、雷童子の3人も。」
めぐみ 「私と4人でチームエレクトロを結成しました。そして他にもこんな活動を。」

拍子木を持った雷童子3人と、宇崎、曽田、大久保が出て来る。

めい 「火の用心。」
みんな 「火の用心。」
せんた 「マッチ一本火事の元。」
みんな 「マッチ一本火事の元。」
らくすけ 「見えない火の用心。」写真
みんな 「見えない火の用心。」
せんた 「余計な一言炎上の元。」
みんな 「余計な一言炎上の元。」
麻耶 「都市伝説。信用するには眉唾な噂ばかりですが、その中にはいくつか真実が隠れている。」
めぐみ 「そして人知れず事件が起こり、人知れず解決されている。皆さんも巻き込まれない様に暮々も…」
全員で 「火の用心!!」

拍子木がなり、暗転。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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