△ 「宇宙パンダの冒険」シーン16


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照明変わりコントロールセンター。吉山、瀬名、アレックスが入って来る。

吉山 「とにかくテロリストはこのコロニーに閉じ込めた。軍の応援がくるまでこのチップを死守しましょう。」
瀬名 「ええ。」

上野が走り込んで来る。

上野 「園長!」
吉山 「上野さんどうしたの?」
上野 「こっちにイェーイェー来ませんでした?!」
吉山 「イェーイェーが?」
瀬名 「まさかまた逃げた?」
上野 「そうなんです。どうしよう。」

そこにネドリーが現れる。

ネドリー 「園長。」
吉山 「ネドリー!良かった無事で。」
ネドリー 「いや、それがですね…」
吉山 「え?」写真
ネドリー 「あんまり無事でもないんです…」
吉山 「どういうこと?」

ネドリーの後ろから銃を構えたハウザーが出てくる。

ハウザー 「こういうことだ。」
インディー 「まずい!」

インディー、吉山から飛び降りて逃げる。

アレックス 「お前あの時の!」
ハウザー 「武器を渡せ。こいつの頭がぶっ飛ぶぞ。」
アレックス 「ちっ…」

ハウザー、ネドリーに武器を取るように促す。アレックス、瀬名、武器をネドリーに渡す。
ハウザー、ネドリーから武器を奪う。

吉山 「あなた…テロリストね?」
ハウザー 「テロリスト?はははは。情報操作がうまくいったな。」
吉山 「え?」
ハウザー 「テロリストって事にしてるが、本当はただの泥棒さ。」
吉山 「泥棒?」
ハウザー 「あんたが持ってるチップ、高く売れるんでね。」
瀬名 「一体なんの研究データなの?」
ハウザー 「動物を兵器にする研究のデータさ。」
吉山 「動物を…兵器にですって?」
ハウザー 「どこかのお偉いさんがここのラボを騙して作らせたらしいが、それに気づいた研究員がいてな。手間がかかったぜ。」
吉山 「ノースロップ博士?」
瀬名 「それで襲われた?」
上野 「許せない。」
ハウザー 「さ、チップを渡せ。」
吉山 「チップを奪っても逃げられないわよ。このコロニーは完全に封鎖したから。」
ハウザー 「ご心配なく。システムをいじれば簡単に逃げられるさ。」
吉山 「ここのシステムは簡単にはいじれないわよ。」
ハウザー 「それはどうかな?とにかく早く渡せ。ほんとに撃つぞ!」
吉山 「わかったわ。」

吉山、チップを取り出す。ハウザー、またネドリーに支持して吉山からチップを受け取る。
そこに後ろからマーティーが出てきて銃を構える。

マーティー 「動くな!」
ネドリー 「うわあ!」

ネドリー、その隙にマーティーのそばに逃げる。

マーティー 「武器を捨ててひざまずけ。」
アレックス 「マーティー、グッジョブ!」
吉山 「詰めが甘かったようね。」

ハウザーが鼻で笑う。

ハウザー 「ふっ…詰めが甘いのはどっちかな?」
吉山 「は?どういうこと?」写真
ネドリー 「こういうことだ。」

ネドリーがマーティーの頭に銃を向け、銃を取り上げる。

吉山 「ネドリー?!」
瀬名 「まさかあんた…!」
上野 「こいつの仲間?!」
ネドリー 「そう。システムをいじったのも、情報を操作したのも全部私の仕業だ。」
ハウザー 「言ったろ。システムをいじれるって。」
ネドリー 「うまいことチップも手に入りましたし。」
吉山 「ネドリー!」
ネドリー 「動くと撃ちますよ。」
インディー 「ちくしょうかくなる上は…」

インディー、上野の腕に乗る。

上野 「わっ…」

上野、小声で

上野 「どうしたのインディー?」

インディー、モバイルを打つ。

上野 「え?モバイルを僕に貸してくれ?え?…わかった。」

上野、モバイルを外してインディーに渡す。

インディー 「サンキュー!」

インディー飛び降りて物陰に隠れ、モバイルを打つ。

ネドリー 「それじゃみなさん、ごきげんよう。」
インディー 「どうだ!」

ハウザー、ネドリー、部屋を出ようとするが出られない。

ハウザー 「あれ?」
ネドリー 「どうした?」
ハウザー 「ドアが開かない。」
ネドリー 「え?待ってろ今開ける。」

ネドリー、モバイルをいじる。

ネドリー 「なに?コードが上書きされてる?」
ハウザー 「え?」
ネドリー 「大丈夫だ、こんな子供だましなどすぐに解除できる。」

ネドリー、モバイルを操作。インディーも操作。

ネドリー 「これでどうだ。…ん?」
ハウザー 「開かないぞ。」
インディー 「俺をなめるな。」
ネドリー 「こしゃくな!」

ネドリーがモバイルを打てば、すぐにインディーが打ち返す。

ネドリー 「どうだ!」
インディー 「させるか!」
ネドリー 「ん〜これなら!!」
インディー 「まだまだぁ〜!!」
ハウザー 「早くしてくれ!」

すみっこにイェーイェーが現れる。

イェー 「やばいです。また迷子になったです…」
ネドリー 「それじゃこうだぁ!!」
インディー 「え?バカ!その操作は…!」

起動音がして足元が揺れ、みんな声を上げる。

みんな 「うわあ!」写真
吉山 「なに?」
アレックス 「コロニーが振動してる?」
ハウザー 「どうしたんだ?」
ネドリー 「しまった…操作を誤って重力システムを壊した…」
ハウザー 「え〜っ?!!」
アレックス 「まずい、体が重くなってきたぞ!」
吉山 「コロニーの回転が速くなってる!」

みんな跪く。

上野 「うう…このままじゃ遠心力で押し潰される!」
インディー 「くそお!こんなの直せるのか?」

インディー、重力システムを直そうとするが、体がうまく動かない。みんな床に這いつくばい、苦しむ。

イェー 「つぶれちゃうですうううう!」
インディー 「後、キーを一つ押せば!ぐおおおお!ポチッとなあああっ!!」

インディー、キーを押す。回転が小さくなっていき、みんなホッとする。

上野 「助かった…」
インディー 「何とか間に合ったぜ…ん?」

みんなに違和感。

アレックス 「あれ?」
瀬名 「なにこれ?」
上野 「体が軽くなってない?」
インディー 「まずい!今のでモバイルがいかれた!」写真
吉山 「今度は重力がなくなるわ!みんなどこかにつかまって!」
みんな 「うわあああ!!」

みんな浮遊しだす!

インディー 「くそお!どうしたら!…そうか!上に手動のレバーがあったな!あ〜でも俺の力じゃ動かせないぜ…」

そこにイェーイェーが浮遊してくる。

イェー 「うわ〜!すごいです!僕、飛べたです!飛べたです!」
インディー 「おお!イェーイェー!いいところに来たな!」
イェー 「あ!インディーさん!僕飛んでるですよ!ほら!」
インディー 「イェーイェー、俺を乗せて、あの上まで連れて行ってくれ!」
イェー 「え?あそこまで?」
インディー 「うまくいったら超ワイルドで超モテモテだぞ!」
イェー 「まじですか?!!」
インディー 「超まじだ!」
イェー 「やるですやるです! 僕に乗って下さいです!」
インディー 「サンキュー!とう!」

インディー、イェーイェー、一度はける。

吉山 「このままじゃ園内のあちこちに被害がでるわ!」
ハウザー 「なんとかしろ!」
ネドリー 「どうにもならん!」

イェーイェー、インディー、上部にたどり着く。

インディー 「よし!着いたぞ!イェーイェー!その赤いレバーをおろしてくれ!」
イェー 「これですね!わかったです!」

イェーイェー、レバーをおろそうとする。

イェー 「う〜!う〜!固いです!」
インディー 「がんばれ!」
イェー 「うおお!おおお!…だめです!動かないです!」
インディー 「イェーイェー、君にはワイルドな力が眠っているんだ!君ならできる!!頑張ってくれ!」
イェー 「頑張るです〜!!」写真

レバーが少し動く。

イェー 「あ!少し動いたです!」
インディー 「よしあと一息でモテモテだあああ!!!」
イェー 「モテモテですう〜〜!!!」

レバーが下がる。

インディー 「やった!」
イェー 「やったです!」

重力が戻っていく。

上野 「また重力が戻ってきた!」

みんなバランスを取りながらなんとか地面に足をつける、がそのとたんネドリーとハウザーが
吉山たちに銃を向け、さっきと同じ体制に。

ネドリー 「動くな!」写真
ハウザー 「はははは、結局さっきと同じ状態に戻ったな。」
アレックス 「くっそぉ…」
イェー 「また体が重くなったです。」
インディー 「重力が戻ったからな。さてと、ここからどうやって降りようかな。」
イェー 「降りるのは簡単ですよ。飛べばいいんです。」
インディー 「え?」
ネドリー 「システムコントロールが戻った。ドアを開けられるぞ。」
ハウザー 「よし!これで計画通りだ!」
インディー 「待て!イェーイェー!もう飛べないぞ!」
イェー 「え…?」

イェーイェー、バランスを崩してインディーもろとも落ちる。

イェー・インディー 「うわあああああ!」
ネドリー 「それじゃ皆さん、今度こそごきげんよう。」

瀬名がイェーイェーに気づく。

瀬名 「上野さんあれ!」
上野 「イェーイェー?!」
イェー・インディー 「うわあああああ!」
ネドリー・ハウザー 「え?」

ネドリー、ハウザー、上を向くとイェーイェーが降って来る。

ネドリー・ハウザー 「うわあああああ!」

暗転。暗闇の中ドシン!!という大きな音とネドリー、ハウザーの悲鳴。

ネドリー・ハウザー 「ぎゃああああああ!!!」

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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