「宇宙パンダの冒険」シーン７

明転するとパンダ舎。上野が出てくる。

上野「イェーイェー、今日もお疲れ様。」
イェー「桃子ちゃんもお疲れです。」
上野「途中でまた調子が悪くなるんじゃないかって心配してたけど大丈夫みたいね。」
イェー「大丈夫です。プロのパンダですから。プロパンですから。ん？プロパンは変ですね？」

通信が入る。

上野「はい、上野です。…え？不具合ですか？いえ、こちらは特に…はい…了解です。」

通信を切る。

上野「ごめん、ちょっと点検に行ってくる。」
イェー「え？」
上野「すぐに戻るからね。」

上野去る。

イェー「ちょっと、桃子ちゃ～ん…忙しい人ですね。あ～、今日も一日よく働いたです。でもやっぱりワイルドには行かなかったです…。どうすればいいんですかね？なんかポーズとかですかね？」

妙なポーズ。

イェー「こんなですかね？こんなとか…」

急に照明が暗くなる。

イェー「うわあ！」

すぐにまた明るくなる。

イェー「びっくりしたあ。なんで急に夜みたいになったですかね？怖い怖い…いや怖がっちゃダメなんですよ。ワイルドってのはもっとこう、どっしりと構えてこんな感じで…」

イェーイェー、ドアに寄りかかるとドアが開いて倒れてしまう。

イェー「うわあ！…いててて…なんですかこれ？あらら、ドアが閉まってなかったのですね。ちゃんどカギをかけないとダメで…」

イェーイェー、ドアを閉めかけてストップ。

イェー「ちょっと待ったです！…これって、ドアが開いてるって事なので…つまり…」

そ～っとドアの外に出る。

イェー「うわあ！外に出ちゃったです！きっとこれは神様が冒険しろって言ってるにちがいないです！やったです！やったです！」

イェーイェー、手で口を塞ぎ、小声で

イェー「正にこれは、刺激的でワイルドな展開です。」

イェーイェー、ドアを出てそ～っとはけて行く。その後通信しながら上野が戻って来る。

上野「はい、今このエリアも停電がありました。…いえ、すぐに戻りました。…電子ロックですか？」

上野ドアを開ける。

上野「あ、ロックが外れてます。…わかりました。すぐに手動に切り替えます。（通信を切る）あれ？イェーイェー？イェーイェー？！…え？うそ！いない？！…まさか…脱走？」

上野、ドアから出て走り去りながら。

上野「イェーイェー！！イェーイェー！」

（作：松本じんや／写真：はらでぃ）