△ 「宇宙海賊とヒミツの星」シーン16


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下手の照明が変わると。ブラッディー・スカルのブリッジ。みんな迎撃準備をしている中、
手前の方にスライス、メイ、ジャスミン、アーモンド、フェンネル、僧侶2人が出て来る。

アーモンド 「それじゃリズちゃんは…」写真
スライス 「ああ。データにはそう書いてあった。でもちゃんと結婚して子供も産み、110歳の大往生。亡くなる寸前までカプセルに入った僕に会いに来てくれていたそうだ。」
アーモンド 「そう…。」
スライス 「どんな気持ちで会いに来てくれてたのかな…約束を守れなかった僕に。」
アーモンド 「きっと最後までウィルの回復を祈っていたと思うよ。リズちゃんウィルの事大好きだったし。」
スライス 「だといいんだがな。…そうだ、君の両親の事だが…」
アーモンド 「覚えているの?」
スライス 「コールド・スリープに入る日に君が紹介してくれた。顔はうろ覚えだが…」
フェンネル 「ブレイン・ジャーニーを利用すればハッキリする。恐らく画像も出せるわ。」
ジャスミン 「記憶の録画システム?あれは各国政府が所有していて、使用には許可と、かなりの費用が…」
スライス 「それなら心配ない。この船にある。」
ジャスミン 「え?盗んだの?」
スライス 「いや、元々この船は軍の最新鋭艦だった。最初から装備されてるのさ。」
アーモンド 「やった!それじゃすぐに…」
フェンネル 「いいえ。治療中にスライスがウイリアムに戻る可能性があるうちはブレイン・ジャーニーを使えないの。」
アーモンド 「そうか…」
ジャスミン 「そのためにも、早く治さないと。」
スライス 「そこで必要なのがアーモンドの能力だ。」
アーモンド 「僕の能力はまだ覚醒していないけど…」
スライス 「君の能力は、ジニアス探知。相手がどんなジニアスを持っているかがわかる。」
アーモンド 「ジニアス探知能力…」
スライス 「私に前世の人格が入るようになったのは、誰かの能力の影響とみている。」
ジャスミン 「身近な誰かがあなたを?」
スライス 「いや、恐らく無意識にだ。その人物を見つけ、コントロールしてもらえれば恐らく元に戻る。」
フェンネル 「無意識に使ってしまう能力をコントロールできるの?」
スライス 「できる。能力を1UPさせれば。」
ジャスミン 「1UPって…」
ピヨ 「はい。このサプリを飲んでもらいます。」
アーモンド 「でも、僕の能力は覚醒していないからまだ…あ!そうか!」
ピヨ 「そう、アーモンド君にもこれで1UPして頂ければ、能力が覚醒します。」
ジャスミン 「それ本当に危険はないの?もしアーモンドに何かあったら…」
アーモンド 「大丈夫!僕やるよ。きっとこれは僕にしかできないことなんだ。」
スライス 「ありがとう、アーモンド。」
アーモンド 「うん。あ、でも、どうして覚醒していない僕の能力がわかったの?」
スライス 「君の両親が教えてくれたんだ。」
アーモンド 「僕の両親?」
スライス 「多分君の両親は、ジニアス・シンドロームの研究員だったんだ。胸にそれらしいバッジをつけていた記憶がある。」
アーモンド 「パパもママもジニアスの研究員…」
ジャスミン 「また少し近づけたわね。」
アーモンド 「うん!」写真
ピヨ 「サプリの準備ができたわよ。覚悟はできてる?」
アーモンド 「はい。」

アーモンド、サプリを受け取り飲みこむ。間もなく頭を抱える。

アーモンド 「ううう…」
ジャスミン 「アーモンド!」
ピヨ 「大丈夫。正常な反応よ。」

アーモンド、落ち着く。

アーモンド 「これって…覚醒したの?」
ピヨ 「私の能力わかる?」
アーモンド 「え?…いや全然。」
ピヨ 「触ってみて。」
アーモンド 「あ、はい、失礼します。」

アーモンド、ピヨに触る。

アーモンド 「ん?…あ!わかった!薬を作るイメージがわいて来た!」
ピヨ 「触るとわかるタイプね。」
スライス 「やったなアーモンド!その能力で、前世の魂を操れる能力者をみつけだしてくれ。」
フェンネル 「この海賊団にいるのは確かよ。」
ピヨ 「全員触りまくって来な!」
アーモンド 「はい!」
ティモシー 「ヘル・キティー、通信圏内に入ります。」
スライス 「おっと、おいでなすったか。」

上手も明るくなり、ヘルキティーのコックピット。(2元舞台)

パール 「通信圏内に入りました。」
ゾネス 「そろそろ映像を送るぞ。あ〜あ〜、あいうえおいうえおあうえおあい…」
パール 「本番10秒前、9、8…」

ルビーが飛び込んで来る。

ルビー 「大変です!VIPルームの奴らがいません!」
ゾネス 「なに?!」
テル 「鍵破られた?」
ルビー 「いや、多分あたしがかけ忘れたかと…」
ゾネス 「おいおいおいおい!!」
ルビー 「しゃあせん!」
パール 「どうせこの船から出られませんて。」
ゾネス 「すぐに探して来い!」
ルビー 「アイアイ!」

ルビーハケる。

ティモシー 「ヘル・キティーからの映像通信入ります。」
ジルバーン 「モニター!」
ゾネス 「全くなんちゅータイミングで…」
パール 「キャプテン…」
ゾネス 「え?…なに…もう映ってんのこれ?」
パール 「映ってます…」
ゾネス 「(咳払い)聞いてるかスライス。ゾネスだ。さっきはよくも思い切り笑わせてくれたな。まあそれはそれとして、今日はお前らと取引きをしに来た。」
ジルバーン 「取引き?」
ゾネス 「お前らが欲しがっている貴重なジニアス達を客船から見繕って来た。こいつらと交換に10億クレジットってのはどうだ?」写真

後ろにしゃがんでいたテル、ロー、ライム、シンドバッドの4人が立ち上がる。

4人 「たすけてくれ〜!」
アーモンド 「あ〜っ!!あそこにライムさんが!」
ジャスミン 「ライムが人質に?!」
メイ 「あ、あの姉弟さんもいる!」
ティモシー 「あれ?あいつ…」
ゾネス 「更に、VIPルームにはクライン王国のアハト王子もいらっしゃる。」
アーモンド 「王子?…って、もしかして。」
マルティネス 「あの悪ガキじゃ。」
コメッツ 「あの子まで?」
ジルバーン 「キャプテンどうします?」
アーモンド 「ウィル、人質には僕らの仲間もいるんだ。助けようよ!」
スライス 「ああ、もちろんだ。10億クレジットくらいくれてやれ。」
アーモンド 「ありがとう!」
スライス 「だがあれはまだなにか企んでる目だ。用心しろ。」
ジルバーン 「アイサー。」
コメッツ 「お師匠様、奴らの嘘は?」
マルティネス 「モニター越しじゃ無理だ。」
ゾネス 「それともう一つ。スライス!あたしと一騎打ちの勝負をしろ!」
ジルバーン 「キャプテン。」
スライス 「今のは本気だ。いい目をしている。相手をしてやりたいが、こんな状態じゃな。」
ジルバーン 「私が相手になります。」
スライス 「悪いが頼む。(モバイルに)キャプテン・スライスだ。中々いい取引きだ。全てのんでやる。」
ゾネス 「交渉成立ね。それじゃ後ほど。」

上手の照明が暗くなる。

ジルバーン 「ヘルキティーを3番デッキに引き入れる!準備にかかれ!」
海賊たち 「アイアイサー!」
ジルバーン 「みなさんはキャプテンと待機を。メイ。」
メイ 「アイアイサー。」

バーディーとティモシー、ジャスミンたちに銃と剣をを配る。

バーディー 「ほらよ護身用に持っときな。」
ジャスミン 「私は持ってる。」
アーモンド 「僕は人殺しはしないよ。」
バーディー 「俺たちも同じだ。」
アーモンド 「え?」
バーディー 「この銃も剣も人は殺せないよう作ってある。」
アーモンド 「あ、笑いガス?」
バーディー 「その剣にも刃がついてねえ。かわりにセンサーがついていて攻撃をかわせる。」
アーモンド 「すごい…」
バーディー 「自慢じゃないがうちらは今まで一人も人を殺してねー。」
アーモンド 「うそお…。」
マルティネス 「嘘はついておらん。」
ジャスミン 「気に入った。」
メイ 「持っておいた方がいいわ。」
アーモンド 「わかった。」
バーディー 「坊さんたちは…いらねぇか。」
マルティネス 「武器は持たぬ。」
バーディ 「じゃあな。」

バーディー、アーモンドと握手して去る。

ティモシー 「キャプテンを頼む。」
アーモンド 「あ…。」写真

アーモンド、自分の手を見る。

ピヨ 「これは全員飲んどいて。」
アーモンド 「え?なにこれ?」
ピヨ 「こいつを飲めば弾を弾き返すプラズマをまとえるの。」
アーモンド 「うそお…。」
マルティネス 「嘘はついておらん。」
ピヨ 「ドヤ!あ、でも刃物は弾けないし、効き目は1時間しかないから気をつけてね。シャ〜ラバ〜イ!」
ジャスミン 「凄い…」
フェンネル 「あの子一人で世界征服できそうね。」

ハルバールがやってくる。

ハルバール 「あのこれ良かったら皆さんで。」
ジャスミン 「これは?」
ハルバール 「ただのチョコレートです。ネオ・アースで育てたカカオから作りました。私にはこんな事ぐらいしか…」
アーモンド 「凄く嬉しいよ!ありがとう!」
ハルバール 「良かった。キャプテンを宜しくお願いします。」

ハルバール、アーモンドと握手して去る。

アーモンド 「いなかった。」
ジャスミン 「え?」
アーモンド 「今の海賊さんたちに触れたけど、前世に関係ありそうな能力は見えなかった。」
スライス 「そうか…ううう…」
メイ 「おじ様?」
スライス 「くそお、また奴に変わるぞ…。」
アーモンド 「え?」
スライス 「ぐあっ!」

スライス、ぐったりする。顔を上げるとウイリアムに戻っている。

スライス 「うう…ああ、姉さん…」
メイ 「だ、大丈夫?ウイリアム…」
アーモンド 「戻っちゃった。」
コメッツ 「お師匠様!」
マルティネス 「おおお…」

マルティネス、慌ててカーペットに戻る。

スライス 「なんだかフラフラするよ…おお…」

スライスふらつき、慌ててメイとアーモンドが支える。メイの手に触れたアーモンドが閃く。

アーモンド 「あ…」
メイ 「椅子に座りましょう。」
アーモンド 「メイちゃん…メイちゃんもジニアスなんだよね?」
メイ 「え?はい。ジニアスですけど、私もこないだサプリで覚醒したばかりで。」
アーモンド 「能力は?」
メイ 「それがまだハッキリしなくて…でも…」
アーモンド 「頭の中に見たこともない人がたくさん浮かんで来る?」
メイ 「そうです!…え?どうして…」
アーモンド 「それだよ!それが前世の人格を呼び込む能力なんだ!」
メイ 「えっ?!それじゃおじ様をこんな風にしたのは…」
ジャスミン 「メイさんだったって事みたいね。」
メイ 「うそ…私のせいでおじ様が…」
フェンネル 「大丈夫。さっきドクター・ピヨが言っていた通り、サプリでもう1UPすれば、コントロールできるようになるわ。」
ジャスミン 「すぐにドクターにサプリをもらいに行きましょう!」
メイ 「はい!」写真

ジャスミン、フェンネル、メイ、スライス、アーモンドハケる。

コメッツ 「お師匠様。」
マルティネス 「行った?」
コメッツ 「はい。」

マルティ、そっと立ち上がって。

マルティネス 「こっそりとゴゴッゴー。」
コメッツ 「ゴゴッゴー。」

マルティ、コメッツ、ハケる

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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