△ 「スパイシー・エージェンツ」シーン25


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照明、コトの屋敷内。下手台からしろを先頭に、服部、ミー、カーコ、、が出て来る。

しろ 「私(わたくし)の本名は白狐と申します。」写真
服部 「びゃっこ?」
ミー 「ホワイトタイガー?」
しろ 「トラじゃなくて白狐です。」
カーコ 「なんだ、あなたも妖怪か。」
しろ 「私のいた稲荷神社が震災で水没してしとのまいまして。路頭に迷っていたところをコト様に。」
カーコ 「コトって秘密多過ぎ。百年以上つきあってんのにこの家も初めて来たし。」

下手からコト、松木、納谷、早乙女が出て来る。

松木 「またまた〜。妖怪とかいっちゃってジョークもカワウィーなあ。」
納谷 「で、でも、結界張るって人間技じゃないですよ…」
早乙女 「あたし信じる!妖怪とかも大好き!」
コト 「では問題です。私は何歳でしょう?」
松木 「(手を上げて)はい!」
コト 「はずれ!」
松木 「え?」
納谷 「(手を上げて)はい!」
コト 「もっと上!」
納谷 「え?」
コト 「(早乙女を指さし)そう、そのまさか!」
早乙女 「え?」
コト 「百歳超えてま〜す。」
松木 「またまた〜。カワウィーなあ。」
早乙女 「…もしかして心を読めちゃったりするの?」
コト 「ウィッス!」
松木 「え?マジで?」
コト 「(松木に)わ〜、やらし〜!」
松木 「えっ?!」
早乙女 「さすがスケベ。」
松木 「うるさいよ。」

中央からムーンが泣きながら出て来る。

ムーン 「うわああ〜っ!」

後ろから、金沢が出て来る。

金沢 「どうしたのひろしくん。」
ムーン 「えい子ちゃんが嘘つきバカ死ねっていったぁ〜。」
早乙女 「ひろし君?えいこちゃん?」
金沢 「なんかみんな本名で呼び合ってます。」
松木 「ひろしって言うんだ。」
金沢 「ムーンさんは辻貝大(つじかいひろし)君。ローズさんは浜映子(はまえいこ)ちゃん。」
納谷 「(メモをとりながら)名前、意外と普通。」
金沢 「ちなみにサンダーさんは散田巻之助(さんだまきのすけ)君。」
松木 「散田?」
納谷 「(メモをとりながら)サンダーは、ほとんど苗字。」
金沢 「スマートさんは番場権三郎(ばんばごんざぶろう)君。」
早乙女 「ごんざぶろう…」
納谷 「(メモをとりながら)本名は、スマートじゃない。」
カーコ 「あれ?散田巻之助?聞いたことあるような…」

上手からサンダー、ローズ、スマートが追いかけっこをしながら出て来る。

金沢 「えいこちゃんちょっと来て。」
ローズ 「なあに?トマトせんせい?」
金沢 「ひろし君に死ねとかバカとか言ったの?」
ローズ 「だってひろしが自分のパパがスーパーマンで、ママがワンダーウーマンだって嘘つくんだもん!」
ムーン 「違うよ!ママはバイオニック・ジェミーって言ったんだよ!」
金沢 「ひろしくんえい子ちゃん。嘘をつくのも、バカとか死ねっていうのも良くないよね?」
ローズ・ムーン 「うん…」
金沢 「じゃ、二人ともごめんなさいしようか?」
ムーン 「ごめんね。」写真
ローズ 「いいよ。ごめんね。」
ムーン 「いいよ。」
サンダー 「なあ!みんなでのらくろごっこしようぜ〜!」
スマート 「なあに?のらくろって?」
サンダー 「え〜?のらくろ知らないの〜?おくれてる〜!」
服部 「世代はそのままなんだな。」
金沢 「じゃ、かくれんぼは?」
スマート 「いいよ!」
サンダー 「やろうぜやろうぜ〜!」
4人組 「じゃんけんポン!」

スマートが負ける。

スマート 「あ…」
サンダー 「ごんざぶろうオニ〜!」
ローズ 「10数えてね〜!」

スマート手で目を隠し10数え出す。スマート以外バラバラにハケる。

スマート 「い〜ち、に〜、さしごろしちはちきゅじゅ〜も〜い〜か〜い?!」

奥から3人の声

3人 「も〜い〜よ〜!」
スマート 「かくれるより鬼の方が楽しいや!」

スマート、さがしに行く。中央ハケ。

松木 「ここでも鬼のスマート…」
みんな 「それな。」

上手から、上底、瀬名、スカイ、トカゲが出て来る。

上底 「はい、ちゅうも〜く!」

みんな集まる。

瀬名 「色々判明したんで聞いて下さい。」
上底 「まずはスカイくんからとぞ〜。」写真
スカイ 「事の始まりは、シャドーからCIAに送られた犯行予告メッセージだった。しかし、シャドーは20年前の事件で捕らえられコールドスリープ中。いたずらの可能性もあったが調査を始めた。」
瀬名 「このメッセージはCIAだけではなく、世界中の諜報機関に送られていたんだ。もちろん日本の公安にも、ダブの本部にも。」
スカイ 「我々はシャドーを作り出したテロ組織「アポロン」の残党がいる事をつかんだ。その一人がコールドスリープセンターに職員として紛れ込んでいた鬼塚矢的という青年だ。」
ミー 「矢的?!どうして矢的が?」
上底 「彼の本名は貝塚(かいづか)矢的。アポロンの首謀者、貝塚光明(みつあき)の一人息子だ。」
ミー 「そんな…」
トカゲ 「ところが鬼塚はシャドーの前に俺を復活させた。そしてコールドスリープに入ったばかりの石倉愛も。」
ミー 「どうして?」
トカゲ 「多分俺の能力、プリズンのせいだ。」
服部 「プリズン?」
トカゲ 「別の人間の魂を、俺の体に閉じ込められる。」
瀬名 「プリズンの力を持っている能力者は、おそらく世界でトカゲさんだけです。」
トカゲ 「俺は20年前の事件の現場にいた。だがその時の事は断片的にしか思い出せねえ。はっきり覚えてるのは、シャドーを倒そうとして両手と両足を失った事。」
松木 「え〜っ?!じゃ、その腕と足は?」
トカゲ 「生えてきた。」
納谷 「は、生えてきた?!」
瀬名 「再生能力。治癒能力の一種で、これもとても珍しい。」
しろ 「あなたの名前の由来ですね?」
トカゲ 「ああ。しかし、その時はさすがに気を失っちまって、次に気づいた時は、ちょうどシャドーがサソリさんを殺すところだった…」
ミー 「お母さんが殺されるのを見たんですね…」
トカゲ 「すまねえ。俺にはどうする事もできなかった。その後俺はまた気を失い、その次目覚めたのが20年後、つまりこの時代だ。しかし、目覚めた時、俺の中に別の魂があった。気を失っている間に誰かが勝手に入れやがったんだ。」
スカイ 「鬼塚はその魂をトカゲから抜き取り、石倉愛の体に入れた。」
服部 「その魂って…」
スカイ 「おそらく、テロ組織アポロンの残党ではないかと。」
ミー 「愛ちゃんの体を利用するなんて。」
カーコ 「絶対取り戻さなきゃ。」
瀬名 「シャドーと石倉愛、鬼塚大和の写真データが入手できたので、今みんなのモバイルに送りました。」

みんなモバイルをチェック。

ミー 「え?うそ!」
服部 「どうした?」
ミー 「この人がシャドー?」
カーコ 「知ってるの?」
ミー 「さっき、逃げる途中で会った!」写真
服部 「なに?!」
ミー 「私がサソリに似てるって。昔世話になったって…」
服部 「何かされたのか?!」
ミー 「何も…」
上底 「そいつは妙だな。」
ミー 「あの人が…お母さんを殺したシャドーだったなんて…」
スカイ 「とにかくここが見つかるのも時間の問題だ。」
上底 「で、ここからダブの支部施設に逃げ込むまでの作戦を色々考えた。」
松木 「施設って具体的にどの辺なんすか?」
納谷 「と、東京の郊外って言ってたけど。」
上底 「多摩市だ。」
早乙女 「多摩市?」
松木 「うわ、遠いわ〜…」
上底 「ハローキティに会える街だぞ!」
みんな 「それは魅力的だ!」
瀬名 「作戦と地図も、今モバイルに送りました。」
上底 「すぐにチェッケラウ!」

みんなモバイルをチェック。

納谷 「え、こ、こんな複雑な作戦を、こんな短時間で作ったんですか?!」
トカゲ 「驚いてないで急いで覚えろタコ。」

トカゲ、モバイルの操作が早い。

松木 「うわ、操作速っ!」
早乙女 「力ずくだけの人かと思った。」
納谷 「20年も眠ってたのに。」
トカゲ 「こんなもんの操作、20年前からお見通しだ!スパイをなめんな!」
スカイ 「いかに情報を先取りできるかが、生きるか死ぬかの世界だ。」
トカゲ 「20年前にはなかったAIシステムだの、リニア中央新幹線だの、どれも別に驚きゃしねぇ。」

しろ、何かに気づき顔を上げ、目を閉じる。

しろ 「皆様。どうやらいらっしゃったようです。」
スカイ 「三人か?」
しろ 「まだ一人です。これは…シャドーですね。瞬間移動では結界内には入れませんので今のうちに。」
上底 「よおし、作戦準備!シクヨロ!」
みんな 「シクヨロ!」

みんなバラバラにハケる。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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