△ 「スパイシー・エージェンツ」シーン17


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地下第二トレーニングルーム明かり。下手側に松木、早乙女、納谷、カーコが入ってくる。

松木 「いやホント、カーコ教官の腕には惚れぼれっすよ!どっすか?今度俺のバイクで一緒に…」写真
カーコ 「ボランティアに行ってくれる?!」
松木 「え?ボラ…?え?」
カーコ 「よかった〜今人が足りなくて困ってたんだ。」
松木 「あ、いや、そっすか。あ〜いいっすね…ボランティアね…」
早乙女 「プッ。」
松木 「なんだよ?」
早乙女 「カワイイ。」
松木 「うるさいよ。」
納谷 「そ、それにしても、重要な話ってなんでしょうね?」

金沢とコトが入ってくる。

カーコ 「あれ?コト?なんでここに?もしかしてあんたも教官?」
コト 「まさか。」
カーコ 「じゃなに?」
コト 「冷やかし。」
カーコ 「あぁ、冷やかしね。」
コト 「嘘で〜す。」
カーコ 「なんでもいいで〜す。」
松木 「ちょっと!誰このかわいい子〜?」
納谷 「出たよ。」
松木 「も、俺的にはメガネっ娘「どストライク」なんですけど〜!」
コト 「わ〜「どアウト〜」なんですけど〜!」
松木 「君のハートにロックオ〜ン!」

松木、コトにビシッと指をさすが、すかさずコトが下げる。

コト 「オ〜フ!」

松木、もう一度指をさす。

松木 「オ〜ン!」

コト、また下げる。

コト 「オ〜フ!」

松木、またやろうとする。

松木 「オ〜…」

コト、松木の腕をつかんで曲げる。グキッて音。

松木 「がっ!」
コト 「(可愛く)てめー、千の風になってあの大きな空を吹き渡りてえのか?」
松木 「…オ…オ〜フ…」
早乙女 「プッ。」
松木 「なんだよ?」
早乙女 「吹き渡ってみれば?」
松木 「みねえよ。」
納谷 「き、来ましたよ。」

上手から上底、瀬名、サンダー、スマート、、服部、ミーが出て来る。

上底 「みんなわりーね、休憩時間に。」
松木 「誰?ミートの隣のおっさん。」
コト 「ミーちゃんのお父さん。」
松木 「お…父様…」
カーコ 「話はよく聞くけど初めて見た。」写真
スマート 「大変急な話ではあるが、研修はしばらく中断する。」
納谷 「ちゅ、中断?」
スマート 「ローズ主任を監禁した。」
松木 「は?なんすかそれ?」
スマート 「先日の空砲と実弾が入れ替わっていた事故。実はローズが仕組んだものだったんだ。」
早乙女 「ちょ、ちょっとそれどうゆうこと?!」
スマート 「恥ずかしい話だが、我々公安の中には君たちダブの人間を敵視する連中がいてね、ローズはその一人だったんだ。」
早乙女 「…そんな…」
納谷 「ショ、ショックです…尊敬してたのに…」
スマート 「そして更に、もっと大きな緊急事態が発生した。」
松木 「え?まだあるんすか?」
スマート 「何者かによるサイキックテロで、ダブを含む世界中の諜報機関が今朝から麻痺している。」
納谷 「えええっ?!せ、世界中?!って…」
スマート 「今のところ一般市民の生活は通常と全く変わらない。しかし裏では史上最大のパニックだ。」
上底 「まず、今回の首謀者と思われるのは…「シャドー」という女性だ。」
服部 「シャドー?」
上底 「20年前に大事件を起こした超能力者だ。捕らえられて今までコールドスリープにされていた。」
瀬名 「おそらくそいつがコールドスリープから目覚めてこんなテロを…」
ミー 「そのシャドーがお父さんの能力を奪いに日本に来るかもしれない。」
納谷 「お父さんの能力って?」
服部 「触れた相手の超能力をコピー、移植、消去する事ができる。」
上底 「その力を利用しようとしているのか、あるいは…」
服部 「私を消そうとしているか…」
スマート 「いずれにせよ、かくまう必要があるので一時的にこの施設に来てもらった。準備が整い次第君たちも一緒にダブの日本支部施設へ避難してもらう。」
上底 「あっちの準備は?」
瀬名 「あと1時間で整うそうです。」
上底 「おお!日本支部は仕事が早いねぇ!移動の手筈は?」
スマート 「30分後に自衛隊の輸送ヘリが。」
上底 「さすか仕事がスマート!」
服部 「で?サソリってのは?」
上底 「え?…あ〜、やっぱりその話も避けて通れないか〜…」
服部 「時間がないんだろ?早く教えてくれ。」
上底 「はったりちゃん、絶対怒らないって約束してね。」
服部 「怒ったら、また、あれされるんだろ?」
コト 「ウィッス。」
上底 「実は、サソリってのは…はったりちゃんの奥さん、麻耶さんの事なんだ…」
服部 「…は?」
ミー 「やっぱり…」
スマート 「2010年。あなたと、当時生後半年だったミートを残して愛人と失踪。翌2011年、愛人とドライブ中に事故で死亡。」
服部 「思い出したくもない…」
瀬名 「その後、ミートとあなたの血が繋がっていない事が発覚。それでもあなたは男手一つで娘を育てた。」
服部 「ああ…確かにその通りだ…あいつは嘘だらけの最低な女だった。」
上底 「しかしそれは事実じゃない。」
服部 「事実じゃない?どういう事だ??だいたいなんであんたたちがあいつの事をそこまで知ってる…」
スマート 「麻耶さんは…我々公安の人間だった。しかも超能力を持った。」
服部 「…おいおい、何を言ってるんだ?」
ミー 「それじゃサソリって…」
スマート 「彼女のコードネームだ。」
服部 「ちょ、ちょっと待て。」写真
瀬名 「そして、ミートはあなたの実の子なんです。」
ミー 「え?!」
服部 「待て待て待て待て!」
上底 「わかるわかる。混乱するのも無理はないよ。」
服部 「信じられるかそんな話!」
上底 「信じなくていいから。最後まで聞いてくれ。」
コト 「ホントの話だよ。」
上底 「元々麻耶さんは、超能力を調査するためにはったりちゃんに近づいたんだ。でもホントに恋に落ちて結婚し、娘を授かった。」
スマート 「その頃、麻耶さんはあるテロリストを調査していた。そのテロリストが人体実験で生み出したのがシャドー。」
上底 「本当はそのシャドーを抹殺するのが彼女の任務だったんだが、なぜか命令を無視してシャドーを逃がした。そしてその後、彼女もシャドーに殺された。」
スマート 「彼女がシャドーを逃がしたせいで、公安の仲間が大量に殺された。そこで生き残ったのがローズとムーン支部長と私、そして意識不明になったサソリの部下が1人。たった4人だ。」
ミー 「だからローズ主任は私の事を…」
瀬名 「事件は公安によって事故に変えられ、あなた方に嘘の情報が伝わった。」
ミー 「でも、なぜお父さんと血が繋がってないなんて…」
瀬名 「生前、彼女の主治医に頼んでいたそうです。もし自分が死んだら夫にそう伝えてくれと。」
上底 「最悪の女だと思わせれば、はったりちゃんは余計な詮索をしないとわかってた。危険な世界に首を突っ込ませたくなかったんだ。」
服部 「私が…この子を捨てるとは思わなかったのか?」
上底 「捨てずに立派に育ててくれる事も、全部わかってたんだよ。」
服部 「…なんだそれは…それじゃ…この20年間私は…どこまで嘘つきな女だ…」
ミー 「…血だったんだ…」
上底 「え?」
ミー 「私がこの仕事、どうしてもやりたいって思ったのは…多分お母さんの血だったんだ…。」
上底 「そうかもな。」

緊急アラームが鳴る

サンダー 「わあ〜っ!おはようございま〜す!」
スマート 「寝てたんですか?!」
館内放送 「貨物エレベーターに3人。内1人の認識できず緊急停止させました。各自上官の指示に従い対応願います。」写真

スマート、通信をする。

スマート 「スマートだ。エレベーター内とつなげてくれ。」

ザッピングの様な音。

スマート 「貨物エレベーター、聞こえますか?」
ムーン(声) 「スマート君か?良かった。ムーンだ。」
スマート 「ムーン支部長?」
瀬名 「え?」
上底 「帰って来れたのか?」
スマート 「一緒にいる2人は誰です?」
ムーン(声) 「CIA捜査官のスカイと、元公安のトカゲだ。」
スマート 「トカゲ?!ってあのトカゲですか?」
ムーン(声) 「ああ、間違いなく本人だ。」
ミー 「トカゲって?」
上底 「サソリの部下だ。」
ミー 「え?それってさっきの、生き残ったもう一人の人?」
サンダー 「信じられん。まさか、あいつの意識が回復するとは。」
ムーン(声) 「二人の保護を頼む。急いでくれ。」
スマート 「わかりました。少しお待ち下さい。管理室、エレベーターを降ろしてくれ!」

スマート、通信を切り。

スマート 「上底さん、念のため私と。」
上底 「オーケー。瀬名ちゃん、みんなをシクヨロ。」
瀬名 「了解です。」

スマート、上底、中央にハケる。

瀬名 「みんなはすぐに避難準備。10分後にシャフト前に集合でシクヨロ。」
みんな 「シクヨロ!」

みんな下手にハケる。

(作:松本じんや/写真:原田智史)

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