△ 「コスモ・ノアへようこそ!」シーン14


トップページ > ページシアター > コスモ・ノアへようこそ! > シーン14 【公演データ

<前一覧次>

国防次官のアドルフ・クラーケン、軍特殊任務指揮官のレックス・ハウザー大佐、ライアン隊隊長
ジェームズ・ライアン大佐、エドワード・フォックス中尉がいる。そこへ飼育員達が入って来る。小声で。

松木 「うわ、本物の国務次官だ。」写真
ポリー 「ちょっとあれ!ライアン大佐じゃない?!」

それに反応し、面子を確認したチャールズが「やばい」と言う顔をしてみんなの影に隠れる。

ジョージ 「え?!ライアン大佐ってあの火星のライオン?」

クラーケンが前に出て来る。

クラーケン 「皆さん初めまして。私は国務次官のアドルフ・クラーケン。こちらは特務指揮官のレックス・ハウザー大佐。その隣が…」
ライアン 「地球軍特殊部隊ライアン隊隊長ジェームズ・ライアン大佐だ。」
ポリー 「ほらやっぱり!」
フォックス 「同じくライアン隊、エドワード・フォックス中尉です。」
吉山 「ここを潰すための視察に来たんですか?」
ポリー 「うわ、直球。」
トーマス 「吉山君!」
クラーケン 「まあまあ。視察という点は間違っていない。が、今回は緊急事態が発生してしまってね。」
松木 「緊急事態?」
ハウザー 「実は、3週間程前、軍の重要な機密が盗み出され、その犯人がこのコロニーに潜伏している事がわかった。」
ジョージ 「え?!」
ライアン 「犯人は現役の軍人、ライアン隊隊員クラウス・ノースロップ少佐。私の部下だ。」
ポリー 「え〜っ?!」
ハウザー 「既に仲間の隊員がこの動物園エリアで犯人を目撃している。」
ポリー 「え?怖っ!」
瀬名 「それじゃ捕まるのも時間の問題じゃ?」
ハウザー 「そいつが、一筋縄ではいかんのだ。」
ジョージ 「そりゃ現役の特殊部隊の人じゃね。」
フォックス 「それだけじゃない。ノースロップ少佐は特殊なジニアスの持ち主だ。」
りんご 「特殊なジニアス?」
フォックス 「エレクトロキネシス。電子機器を自由に操れる。」
ポリー 「エレクトロ…キネシス?」
ライアン 「やつはその能力を使って逃げ回っている。」
トーマス 「既に園内で電気トラブルがあったとか?」
ジョージ 「あ!監視カメラの不調!」
瀬名 「檻の電子ロックを開けたのも?」
ハウザー 「大きなトラブルが起きる前に、一刻も早く少佐を確保する必要がある。下手をすれば、動物達が逃げ出して犠牲者が出る可能性も。」
トーマス 「そんな事になったら、ここは即閉園だ。」写真
ハウザー 「取りあえず皆さんは指示があるまで園内にいて下さい。」
トーマス 「では皆さん、一旦待機と言う事で。」

皆それぞれに動き出す。ポリー、りんご、チャールズが固まって話しをする。松木が輪に入れない。

瀬名 「私はメディカルセンターの様子見て来る。」

瀬名、ハケる。

ジョージ 「ったく、これじゃ監禁じゃねえかよ。パウラ、コーネリーと遊びに行こう。」
パウラ 「はい!」

ジョージ、パウラ、ハケる。

トーマス 「私は一度病院の方に…」
クラーケン 「ああ。」

去ろうとするコロニー長に

クラーケン 「スチュアート君。」
トーマス 「はい。」
クラーケン 「うまくやってくれよ。マリーちゃんのためにも。」
トーマス 「はい。もちろん。」

コロニー長、足早に去る。クラーケン、電話をかける。

クラーケン 「…長官、クラーケンです。娘さんの方は?…そうですか。こちらは順調です。」

クラーケンの側に、畑が来るが電話待ち。

ハウザー 「何もあなたがたの手をお借りしなくてもよかったんですがね。」
ライアン 「ノースロップは私の部下だ。できれば私の手でつかまえたい。」
ハウザー 「部下に情けをかけられても困りますし。」
ライアン 「いざとなったら、私がこの手で始末する。」
ハウザー 「今の言葉、忘れないで下さい。」

そこを、園長が横切る。

ハウザー 「吉山中佐。」写真

吉山止まる。

吉山 「今は休隊中です。」
ハウザー 「失礼吉山園長。あなた程の軍人が動物園の園長とはね。一体どうして軍を離れたのかねぇ。」
吉山 「明白です。あなたの部下だったからです。失礼。」

吉山、敬礼して去る。

ハウザー 「相変わらず勇ましいねえ。」

ハウザーはける。

フォックス 「あれ?」
ライアン 「行くぞ、フォックス。」
フォックス 「大佐、先に行っててもらえます?」
ライアン 「どうした?」
フォックス 「ちょっと、知り合いが…」
ライアン 「ほう。」
フォックス 「失礼します。」

フォックス、飼育員達の方へ

ライアン 「こんな所に知り合いか。宇宙は狭いな。」

ライアン、ハケる。クラーケンの電話が終わる。

クラーケン 「それでは、またご連絡いたします。(電話を切る)」
「クラーケン国務次官。」
クラーケン 「ん?君は?」
「研究を支援して頂いている。畑正男です。」
クラーケン 「ああ、君があの天才少年の!初めまして。」

2人、握手。

「初めまして!あの、一つ質問が?」
クラーケン 「なにかな?」
「頼まれて協力している新薬の件なのですが…」
クラーケン 「ああ、薬関係か。実は私も詳しくは分からなくてね。」
「でもあの…」
クラーケン 「そういえば担当が言ってたよ。畑先生のお陰で助かってるって。」
「そうなんですか…。」
クラーケン 「君の方の研究、アニマリンガルだっけ?」
「ええ、あの…」
クラーケン 「期待してるよ。ノーベル賞。じゃ。」

クラーケン、またどこかに電話をかけながらハケる。

「あ、あの…」写真

畑、溜め息をついてハケる。

ポリー 「ライアン大佐の部隊は火星攻防戦で500万の敵を300人で倒したのよ。凄くない?」

チャールズ、フォックスが近づいて来るのにきづき。去ろうとする。

チャールズ 「あ、ごめん僕ちょっと行くわ。」
フォックス 「チャーリー!」
ポリー 「チャーリー?」
フォックス 「チャーリーじゃないか!!」
チャールズ 「人違いです。」

去ろうとするチャールズを追いかけて、舞台の端でつかまえるフォックス。

ポリー 「え?ちょっとチャールズ凄くない?ライアン隊に知り合いがいるなんて!」

ポリー、チャールズに近づこうとした時に。モバイルの着信音。

ポリー 「あ〜、こんな時に…(電話に出る)どうした?今いいとこなんだけど?…え?うそ? ハムスターの数が足りない?ちょっと勘弁してよ〜!わかった、今すぐ行くから…」

ポリー、電話をかけながら足早にハケる。残ったりんごに松木が声をかける。

松木 「上野さん!」
りんご 「…なに?」
松木 「さっきの話し…」

松木のモバイルに着信音。

松木 「まじかよ…(電話に出る)はい、僕今日非番なんですけどなんでしょう?…え?!…ええええ?!それどう言うことっすか?…い、今行きます!すぐ行きます!」
りんご 「どうしたの?」
松木 「イェーイェーが脱走した!!」

松木、ダッシュでハケる。

りんご 「ええ〜っ?!!」

りんご、松木を追ってハケる。

チャールズ 「離せよ!」

チャールズ、フォックスの手を振り払う。

フォックス 「チャーリー!一体こんな所で何やってんだよ!」
チャールズ 「見りゃ分かるだろ、飼育員だよ!」

フォックス、名札を見て

フォックス 「チャールズ・オックス?お前偽名まで使って…。どんだけ探したと思ってるんだ?」
チャールズ 「うるさいな!何をしようと勝手だろ?大体僕が追い出されたんじゃないか!僕の話しを聞こうともせず、無理矢理軍人にさせようとしやがって!僕は軍人になんかなりたくないんだ!」
フォックス 「父さん死んだぞ。」写真
チャールズ 「え?…」
フォックス 「飲酒運転で事故ってな。」
チャールズ 「死んだ?…」
フォックス 「母さんも寝込んでる。」
チャールズ 「母さんが…」
フォックス 「まあ、父さんは元々ああいう人だったから自業自得だが。母さんはずっとお前に会いたがってる。なあ、戻ってやれよ。」
チャールズ 「今更…戻れるかよ…」
フォックス 「チャーリー…」
チャールズ 「僕には守らなきゃならない動物達がいるんだ。」
フォックス 「動物?動物より家族が大事じゃないのか?!」
チャールズ 「動物も!…家族だよ。」

チャールズ、出て行く。

フォックス 「…チャーリー。」

音楽がかかり、フォックスが溜め息を吐いて去る。照明が変わる。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

<前一覧次>


トップページ > ページシアター > コスモ・ノアへようこそ! > シーン14 【公演データ