△ 「コスモ・ノアへようこそ!」シーン3


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照明が変わる。吉山とチャールズが出て来る。

吉山 「ジャンボが?他のオスの象達に喧嘩を売り始めたって事?」
チャールズ 「いや、喧嘩と言うか、ちょっかいというか…取りあえず隔離はしたんですが…。」
吉山 「安定剤は?」
チャールズ 「1時間前に。」
吉山 「効くまで2時間?」
チャールズ 「ジャンボだと2時間半は。」写真
吉山 「とにかく十分注意して。うちで一番大きな子だからね。」
チャールズ 「はい。」

「動物ふれあいコーナー」担当のポリー・マンテルが出て来てチャールズにぶつかりそうになる。

チャールズ 「おっと!」
ポリー 「ごめんごめん!あ、ジャンボどうなった?」
チャールズ 「隔離して安定剤。そっちは。」
ポリー 「準備万端。」
チャールズ 「お流石。じゃ。」

チャールズハケる。

吉山 「ポリー。動物ふれあいコーナーの準備はどう?」
ポリー 「さっき終わりました。今からちょと休憩を。」
吉山 「お疲れ様。一年振りにコーナー復活ね。大丈夫そう?」
ポリー 「完璧です。ま、半分以上の動物達が初陣ですけど、人には慣れさせてますから。」
吉山 「たのもしいわ。」

獣医の瀬名桃子と上野りんごが話しながら出て来る。

りんご 「明らかに様子が変なんですよね。」
瀬名 「う〜ん、まあ、りんごちゃんが言うならそうなんだろうね。」
吉山 「上野さん、どうかした?」
りんご 「あ、園長。実はアシカ達の様子も変なんです。急に上下関係がハッキリして来たと言うか…」
吉山 「アシカ達はショーがあるからちょっと心配ね。もし何かまずいと感じたら上野さんの判断でショーを取りやめていいからね。」
りんご 「はい。」
吉山 「あ、そうだ、足を怪我したペンギンは?」
りんご 「オレンジですね?ほとんど回復したんで今日からエリアに戻します。」
吉山 「良かった。」
瀬名 「あの行動も謎ですよ。あんな高い所から水のない場所にジャンプするなんて。」
りんご 「高い部分はペンギン達が上がれない様に柵をつけました。」
吉山 「引き続き様子見ね。そうそう瀬名先生、あの立てなくなったキリンは?」
瀬名 「さっき診てきました。あれもさっぱりわかりません。健康状態に異常はなく、怪我もしていない…なのに地面を這いつくばってる。」
ポリー 「ほふく前進好きのキリンだとか。」
りんご 「ないない。」
吉山 「妙よね。ここ2週間、変な事が起こり過ぎてる。」
ポリー 「皮切りはカンガルーのロッキーでしたね。」
りんご 「まだあそこから出て来ないの?ロッキー君。」

研究員の畑正男が白衣姿で出て来る。

「出て来ませんね。排便の時以外は。」写真
瀬名 「畑君、餌と糞の分析は?」
「全く問題ありませんでした。カンガルー以外のも。」

畑のモバイルに着信音。

「お、呼び出しです。ラボに戻ります。」
瀬名 「私も行っていい?」
「もちろん。あ〜これが終わればやっと自分の研究に戻れる。」
ポリー 「研究って例のあれ?動物の言葉の翻訳機?」
りんご 「アニマリンガルだっけ?」
ポリー 「マジなんですかね?」
吉山 「大マジよ。本当に完成したらノーベル賞ものよね。」

畑と瀬名がハケた方から松木が出て来る。

松木 「なんか慌ただしい事になってますね。」
ポリー 「おお!松木お帰り!」
松木 「ただいまっす。」
ポリー 「観たよ放送。」
松木 「ああ、その話しはまた…」

チンパンジー担当飼育員のジョージ・ヒガシヤマと、新人飼育員のパウラ・アバカシが出て来る。

ジョージ 「だから君さ、まだ怖がってるよね?」
パウラ 「は、はい。す、少し…」
ジョージ 「だろ?チンパンジーってのは察するのよ、ものスゲー察するのよそういうの。」
パウラ 「はい…」
ジョージ 「しかもあいつはチンパンジーの中でも抜きん出て賢い奴で…」

ジョージ、松木に気がつく。

ジョージ 「マッキ〜!お帰り〜!」
松木 「ただいまっす、ジョージさん。」
ジョージ 「観たよ放送。」
松木 「その話しはまた…それよりそちらは?」
ジョージ 「ああ、お前が地球行ってる間に入った新人。」
パウラ 「あ、あの、初めまして。パウラ・アバカシと申します。」写真
松木 「松木アサヒです宜しく。」
パウラ 「放送観ました!」
松木 「あ、ああ…ええ…」
りんご 「あ、そろそろ準備しなきゃ。」
吉山 「もうこんな時間か。」

りんご、立ち去ろうとした時、松木が追いかける。

松木 「あ、ちょっと、りんご!」

りんご、立ち止まり。

りんご 「呼びすて?」
松木 「りんご…さん?」
りんご 「名字でお願いします。」
松木 「上野。」
りんご 「さん。」
松木 「さん。」
りんご 「なんでしょう?」
松木 「あのさ、こないだ話した例の案なんだけど…」
りんご 「今、仕事中。」

りんご、去る。

松木 「ですよね…」

松木、そのまま立ち尽くす。

ポリー 「さ、行くか。いざ出陣!」
ジョージ 「俺らも行くぞ。」
パウラ 「はい。」

ジョージ、松木に近づき

ジョージ 「イェーイェーがモテないのは、飼い主に似ちゃったからかねぇ?」

松木、ジョージを睨むが

ジョージ 「冗談だって!しっかりしろよマッキーちゃん!」

ジョージ、松木の背中をポンと叩いて去る。パウラは去り際に一礼。

吉山 「松木くん、滅多にない2連休なんだから、しっかり休んで疲れ抜いてね。」
松木 「はい…」

吉山も松木の背中をポンと叩き去る。松木もトボトボと去りながら

松木 「いや、逆に僕がイェーイェーに似たのかもしれないよな…」

音楽がかかり、松木がハケて照明が変わる。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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