トップページ > ページシアター > ほぐす! > シーン3 【公演データ】
外の廊下の花村の前に原が現れる。
原 「この辺かな。」
花村 「あ、原さん!やっぱりさっきの原さんだったんだ。」
原 「ん?あ、その声。」
花村 「花村です。警察官の。」
原 「花村さん!どうですか腰の具合は?」
花村 「またちょっとあれなんで、近いうちお願いします。」
原 「ええ、是非。」
花村 「今日はお仕事で?」
原 「はい。本当は師匠が来る予定だったんですが、熱出しちゃって変わりに僕が。でももう10分も遅効しちゃってて。」
花村 「そりゃご苦労様です。あ、お急ぎの所すみません、念のためなんですがボディーチェックしてもよろしいですか?」
原 「あ、はいはい。下でもされましたけど。」
花村 「何度もすみません。」
ボディーチェックされながら
原 「あれですって?例のあの、怪盗ベリー?」
花村 「そうなんですよ。」
原 「大変ですね警察も。」
花村 「そろそろ捕まえないと、警察の威信に関わりますからね。あ、手荷物も宜しいですか?」
原 「あ、はいはい。たいした物入ってませんよ。商売道具は(手を出して)これだけですから。」
花村 「ですよね。ありがとうございます。(荷物を返す。)あ、杖も宜しいですか?」
原 「ええ。」
花村 「まさか仕込み銃だとか。」
原 「ははは、下でも言われました。…どうです?」
花村 「…ん?これは…杖ですね。」
原 「良かった。」
二人笑う。
花村 「お部屋は?」
原 「907号室です。」
花村 「おお!目の前ですよ!」
原 「おお、ありがとうございます。あ、そう言えば、こないだの話。」
花村 「え?」
原 「あの、小笠原の超能力者の学校の…」
花村、焦る。
花村 「あ〜っ!あれはあれです!都市伝説ですから、あんまりあれです。し〜っ。」
原 「今度また詳しく聞かせて下さい。」
花村 「あ、はい。」
原、ドアの前に立ち
原 「こんばんは。瀬名マッサージです。」
市後、ベリー、驚き、顔を見合わせる。
ベリー 「…マッサージ?」
原 「遅くなって申し訳ありません。」
ベリー 「おいおい、こいつマッサージなんか…」
ベリー、ドアの除き穴を見に行く。
原 「あれ?あの、柿崎様のお部屋でしょうか?」
市後 「黙ってた方が…」
ベリー 「いや、余計疑われるわ。警官もいるし。」
市後 「でも、返事をしたら…」
ベリー 「待って、この人…」
花村 「どうしました?」
原 「なんか、返事がなくて。」
花村 「眠っちゃってるとか…」
ベリー 「目が見えない?」
市後 「え?」
原 「柿崎様〜?」
ベリー 「イチかバチか入れるわよ。」
市後 「でも…」
ベリー 「(低めの声で)どうぞ!」
市後 「あ…」
原 「あ、いましたね。」
花村 「良かった。」
ベリー 「来るわよ!」
市後 「私、どうしたら…」
ベリー 「絶対声出さないで!」
市後 「え?はい。」
原 「失礼致します。」
原、部屋に入る。ベリー、市後、緊張。
(作:松本じんや/写真:関口空子)