△ 「ほぐす!」シーン1


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突然音楽が消え、男のうめき声。

「うぐぐぐぐ!」写真

女の力む声も

「くうううう!」

しばらくして明転すると、ホテルの一室。女「市後」が、男「柿崎」の首を紐で絞めている。間もなく男は力が抜け、床にうつぶせに倒れる。女は息を切らしているが、そっと男に近づき、軽く突く。更に軽く揺さぶる。そして首に触り脈を調べる。男の脈が無い事を確認し、おののいて後ずさる。

市後 「…やった…ホントにやった…みんな……あたし…仇を討ったよ…」

市後の顔には、やり遂げた嬉しさから笑みも浮かんでいる。が、次第に笑顔が消え、膝から崩れ落ち、放心状態になる。
廊下にベリーが現れる。辺りを見回してからドア見て。

ベリー 「907号室。ここね。」

入ろうとした時。警官の花村と刑事の浜崎が現れる。ベリー、急いで部屋に入り、ドアの除き穴から外の様子をうかがう。
花村、写真を持っている。

花村 「これが怪盗ベリーの写真。え?女性なんですか?」
浜崎 「わからないわ。奴は変装の名人だし。」
花村 「サングラスじゃ顔もはっきりわかりませんね。ん?あれ?この格好…」
浜崎 「なにか?」
花村 「いや、どこかで見たような…」
浜崎 「予告時間まであと28分。奴の狙いはこの上の階の展示ホール。この階に現われる可能性は高い。」写真
花村 「大丈夫ですよ、この階には20人以上警官が…」
浜崎 「あなどらないで。怪盗ベリーが狙った獲物は、全て奪われてるのよ。」
花村 「はい。」

浜崎、去りかけると

花村 「そうだ、浜崎警部。」
浜崎 「何?」
花村 「妹さんお元気ですか?」
浜崎 「どっちの?」
花村 「どっちって?」
浜崎 「妹は2人いるけど。どっちも公安。」
花村 「そうなんですか?えっとあの、映画オタクの…」
浜崎 「末っ子の紗綾ね。元気じゃない?最近会ってないけど。」
花村 「そうですか、以前小笠原でお世話になりまして…」
浜崎 「その話、他でしてないでしょね?」
花村 「え?は、はいもちろん…」
浜崎 「話したら…」

浜崎、首を切るジェスチャー

花村 「大丈夫です。」
浜崎 「そ。じゃ。」

浜崎去る。

花村 「やばいよなあ…」

花村、その場に残って警備。

(作:松本じんや/写真:関口空子)

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