△ 「悩める王子の惑星」シーン27


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暗闇から声。

メリールー 「大丈夫ですか?!しっかりして下さい!」写真

中央にサス。メリールーがいる。

メリールー 「はい、看護士です。どこか痛む所は?あ、そのまま動かないで。」

メリールー、手かざし。

メリールー 「これで少しは…。このパラシュート。飛行隊の方ですよね?お名前は?え? …セレックさん?いえ、ここは病院ではありません。アルバトロスの丘です。私は薬草を摘みに。あ、ごめんなさい!近かったですか?私、目が悪いもので…あ、まだ動いてはいけません!ここに居て下さい、病院に戻って誰か呼んできます!」

メリールー、去りかけて呼び止められる。

メリールー 「え?…メリールーです。メリールー・ハナムラです。」

暗転。暗闇から声。

クレセント 「メリールー…実は僕は…僕は…」

明転すると、クレセントが椅子に座ってうとうとしている。突然目が覚める。溜め息。

クレセント 「…また…同じ夢か…。」

外からアーモンドの声。

アーモンド 「王子!」
クレセント 「ん?あの声は…」
アーモンド 「クレセント王子!」
クレセント 「どうぞ。」

アーモンド入って来る。

アーモンド 「失礼致します。」
クレセント 「やはり君か、ええっと…マカダミア。」
アーモンド 「アーモンドです。」
クレセント 「ああ。…何か?」
アーモンド 「率直に言わせていただきます。」
クレセント 「はい。」
アーモンド 「メリールーさんと堂々と付き合って下さい!」

間。

クレセント 「…率直…ですね。」
アーモンド 「偽名なんて良くない。正体を明かして彼女を受け止めましょう!」
クレセント 「…率直…過ぎますね。」
アーモンド 「王子のお気持ちは?」
クレセント 「それは僕だって…」
アーモンド 「だったら悩むことはありません!」
クレセント 「しかし…僕が王子だって知ったら…」
アーモンド 「知ったら嫌われるとか本気で思ってるんですか?」
クレセント 「僕がダメダメな王子だってことは国中の人が思っていることです。」
アーモンド 「王子には大事な物がたりません!それは…」

クレセント、何かに気ずく。

クレセント 「地震?」写真
アーモンド 「そうです!自信です!」
クレセント 「地震だ!」
アーモンド 「そうです!え?」

地鳴り。部屋が揺れる。

アーモンド 「わあ!」

すぐにおさまる。

クレセント 「おさまった。珍しいな。地震なんてここ何年も…」

アーモンド、急に頭を抱えて座り込む。

アーモンド 「うぅ…なんだこれ…」
クレセント 「どうした?君、しっかりしたまえ!」
アーモンド 「うわあ!」

アーモンド、倒れる。

クレセント 「君!君!」

急に照明が変わりアーモンドが立ち上がる。全く違う口調になり

アーモンド 「メリールーだけは違う。彼女の気持ちは本物だ。」
クレセント 「どうしてそんなこと?」
アーモンド 「俺には分かるんだ。俺には…」
クレセント 「…君は…一体…」

照明戻り、アーモンド我に返る。

アーモンド 「あれ?なんだ?あの、僕どこまで話ましたっけ?」
クレセント 「え?どこまでって…」

外からランセントの声。

ランセント 「兄さん、入るよ。」
クレセント 「ああ。」

ランセント、入って来る。

ランセント 「兄さん、地震大丈夫だった?」
クレセント 「ああ。」
ランセント 「よかった!…あれ?いたんだピスタチオ君。」
アーモンド 「わざと言ってますよね?」
ランセント 「そうだ!みんなで考えて思いついたんだよ!Fタイプミサイルの対策を!」
クレセント 「え?」写真
ランセント 「パラシュートさ!」
クレセント 「パラシュート?」
ランセント 「まずは飛んできたミサイルにパラシュートを取り付ける。そのあと、ロケット部分を破壊する。」
クレセント 「そうか…。あとは落ちるだけ。」
ランセント 「パラシュートをミサイルの先端に取り付ければ…」
クレセント 「信管が上向きになって起爆しない。」
ランセント 「中の人間は助かる!」
クレセント 「なるほど!しかし沢山のパラシュートを用意するには時間が…」
ランセント 「それは…」
アーモンド 「あるよ!」
クレセント・ランセント 「どこに?!」

暗転。

(作:松本じんや/写真:関口空子・はらでぃ)

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