△ 「トワの宇宙」シーン24


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写真

全員が各配置についている。ライアンが指揮に立つ。

ライアン 「到着したばかりだが、指揮をとる事になった、ジェームス・ライアン大佐だ。今回の作戦は至ってシンプル。船が起動するまで、敵を近づけさせなければいい。敵の数は想定10万。我々生き残りの兵隊は15人。だが、只の15人じゃない。6万人から生き残った15人だ。相当運がいい。戦闘時間は想定10分。生き残ったら俺が飲みに連れてってやる。」

全員、歓喜に沸く。

ジャック 「あの」
ブル 「は?」
ジャック 「僕、実は良く知らないんですが、なぜ火星のライオンと?」
ブル 「10年前、50万の敵が火星に攻めて来た時、大佐が率いる部隊がたった300人で火星を守ったんだ。」
ジャック 「300人で50万の敵を?」
ブル 「伝説の戦いさ。それ以来、敵は一度も火星まで来ていない。大佐がいれば、火星の住民は安心して暮らせる。おはようからお休みまでな。」
ジャック 「ああ、それでライオン。」
ブル 「は?」

舞台手前はじで、フォックスがソワソワしている。そこにミキが現れる。

ミキ 「エディー!」
フォック 「ミキ!」

ハグしかけるが、フォックスの腕の怪我でできない。

フォック 「いてててっ。」
ミキ 「大丈夫?」
フォック 「ああ、でも良かった無事で。」
ミキ 「エディも。」

二人、高台で見ていたアイに気付く。アイのグーに二人も答えてグー。

ミキ 「ごめんね例の事…」
フォック 「びっくりしたよ。君がドロップスだって聞いた時以上のショックだった。」
ミキ 「でももう、これ以上隠しておけないわ。覚悟できてる?」
フォック 「ああ。」
リー 「来たぞ!肉眼で確認できる!」
山田 「うわ!あの黒い帯みたいの全部アンドロイド?」

ミキがフォックスを連れてライアンの元へ。みんな気付き注目。

ミキ 「お父さん。」
全員 「お父さん?!」
ライアン 「…ミキ?!お前なにやってるんだこんな所で!」
ルナ 「おーっとこれは凄い展開だぞ!」
ランゼ 「お髭のおじ様がミキのパパ?」
スー 「ルパンじゃなかったのね。」
ミキ 「お父さんごめん、黙ってたけど、あたしドロップスの隊長やってるの。」
ライアン 「ドロップスって…あのドロップスか?!」
ミキ 「うん。」
ライアン 「だってお前…地球でOLやってるって…」
ミキ 「嘘なの。」
ライアン 「嘘?嘘ってお前…」
ブル 「大佐!敵の大群の手前1キロにホバーバイク発見!」
ライアン 「先行部隊か?」
ブル 「いえ、1台です!あっ!人間が乗っています!」
ライアン 「何?!」
ジャック 「まだ生き残りがいたのか!」
ライアン 「もう少し近づいたら、砲撃と同時に援護!シールドはギリで展開だ!」
全員 「ラジャー!」
ミキ 「お父さん。」
ライアン 「何だ!」
ミキ 「もう一つ。お父さんに紹介したい人がいるの。」
ライアン 「何?」写真
ミキ 「この人。」

ミキの後ろにいたフォックスが出て来る。

ライアン 「フォックス。なんだ?どうしたんだお前?!」
フォック 「隊長!娘さんを僕に下さい!」
ルナ 「なんと!」
全員 「ヒューッ!」
ライアン 「…は?!何言ってんの?!お前何言ってんの?!」
ミキ 「私たちもう5年もつきあってるの。」
ライアン 「ちょっと待て!なんなんだそれ!(フォックスに)お前なんで黙ってた!」
フォック 「僕も、隊長がミキのお父さんだって、数時間前に知ったんです。」
ライアン 「もうおま、それ、バカ!なにそれ、バカ!」
ミキ 「結婚、許してくれるよね。」
リー 「敵、距離五千!砲撃開始しますか?!」
ライアン 「許さん!!」
リー 「え?しかしすぐそこまで…」
ライアン 「あ、そっちは許す!」
ミキ 「ありがとう、お父さん!」
ライアン 「許さんっ!!」
リー 「あの、どっちでしょう?!」
ライアン 「ああもう!砲撃開始!!」
ブル 「ホバーバイク来ます!」
ライアン 「援護だ!」
ブル 「あ!もう一人!バイクの後ろにもう一人乗っています!」
ジャック 「生存者が増えたぞ!」
ブル 「ホバーバイク、エリアに入りました!」
ライアン 「シールド展開!」
リー 「シールド展開!」
山田 「間に合った!」
小嶋 「どこの部隊の奴だ?」
ジャック 「僕、行ってきます!」

ジャックがバイクの二人を迎えに出る。

ミキ 「どうして駄目なのよ父さん!」
ライアン 「どうしてもくそもあるか!いきなり過ぎるだろ!っつうか、なんで今言うかそうゆう事?!」
ミキ 「今言わなきゃいつ言うのよ!生きて帰れるかどうかわからないのよ!」
ライアン 「あーもう、うるさいうるさい!! 」
ジャック 「連れて来ました!みんな!見て下さい!」

ジャックに肩を借りてクラウドが入って来る。

ドロップ組 「クラウド!」
シンプ 「クラウドさん!生きてたんですね!」
クラウド 「ええ、お守りも無事です。」
シンプ 「信じられない!奇跡だ!ジーザス!…あっ…」
クラウド 「今、ジーザスって…」
シンプ 「言っちゃいました。でも、神様、いるかもしれません!」
クラウド 「僕にとっての女神様は彼女です。」写真

フルメットを被った兵隊が出て来る。

ライアン 「とにかく、認めんと言ったら認めんぞ!!」

メットを取りながら。

レパード 「認めてあげなさいよ。」
リー 「隊長!」
アイ 「教官!」
ルナ 「隊長だぁ!生きていました!無事、生きていました!わたくし…涙で…あああっ…」
ミキ 「母さん!」
全員 「母さん?!」
ミキ 「母さん!生きてたのね!」
アイ 「まさか…」
ジャック 「親子?」
スー 「ってことはこっちは…」
ランゼ 「夫婦?」
ルナ 「何と言う事でしょう!うわもう、ドラマチックが止まりません!!」
ライアン 「なんで母さんまで?…レパード隊は作戦には参加していないんじゃ…」
レパード 「話せば長いわ。それよりお父さん、二人の結婚。許してあげましょうよ。」
ミキ 「お母さん…」
ライアン 「いや、しかし…」
リー 「敵、距離800メートル!シールドで足止め成功しています!」
レパード 「ここからは、私が指揮します!迫撃砲47度に展開!てえっ!!」

迫撃砲発射。

ライアン 「母さん!」
レパード 「私は少将。お父さんより二つも階級が上です!」
ライアン 「…了解…」
クラウド 「かっこいい…」
レパード 「結婚も認めなさい!」
ライアン 「え?母さんそりゃずるい!」
レパード 「そうね、今のは職権乱用でした。でもね、お父さん。ミキはもう立派な大人よ。私たちの娘が選んだ人じゃない。きっと大丈夫よ。」
ライアン 「しかし…」
レパード 「私たちの時も大変だったじゃないですか。うちの父に猛反対されて。」
ミキ 「そうっだったの?」
ライアン 「いや…それは…」
フォック 「隊長!いやお父さん!ミキさんを必ず幸せにします!」
ミキ 「お父さん。」
レパード 「お父さん。」
ライアン 「…わかった…許す…」
ミキ 「ホント?!やった!ありがとうお父さん!」
ライアン 「だが娘をやるまえにお前を…」

ライアン、こぶしをにぎりフォックスに近づく。

ライアン 「一発…」

フォックス覚悟を決めて目をつぶる。

ライアン 「一発…一発撃たせろぉ!」

ライアン銃を抜き、みんなが押さえる。

ブル 「駄目駄目駄目駄目。」
レパード 「父さんそれは駄目。それは死んじゃうから。死んじゃうから。」
スー 「式はいつ挙げる?」
ミキ 「式?」
ランゼ 「今、仮に挙げちゃえば?」
ミキ 「今?」
クラウド 「神父様もいますよ!」
ライアン 「何勝手にどんどん進めてるんだ!」
レパード 「いいじゃない。仮の式なんだから。」
シンプ 「では、エア・ウェディングで。」

ジャック、ウェディングメロディーを弾き始める。

シンプ 「新郎は新婦を幸せに?」
フォック 「します!」
シンプ 「新婦は新郎を幸せに?」
ミキ 「します!」
シンプ 「神の祝福のあらんことを!はい、エア・指輪交換!」

フォックス、ミキ素早く指輪交換のまね。

シンプ 「エア・キッス」

キスのまね。

ライアン以外 「おめでとぉ〜!!」

皆、空に銃を撃ってお祝い。

ルナ 「皆様、お二人に大きな拍手を!」

全員拍手。

アイ 「奴らの中に指揮官をみつけました!」
レパード 「でかしたわ!そいつを狙いましょう!」
アイ 「頭の色がほんのり紫色の奴です!」
レパード 「あいつを倒せば敵の指揮が崩れるわ!」
ブル 「しかしありゃメチャクチャ素早いぞ!この距離じゃ…」
フォック 「まかせろ!ミキ!」写真

フォックスとミキ高台へ。

ブル 「でも、利き腕が…」
フォック 「大丈夫!ミキ!合図をしたら引き金を引いてくれ!」
ミキ 「わかった!」
フォック 「行くぞ…3・2・1今だ!」

銃声と動物の様な悲鳴。

スー 「命中!」
ランゼ 「すごぉ〜い!」
ルナ 「二人の初めての共同作業です!」
アイ 「奴らの動きがバラバラになった!」
リー 「まずいです!一カ所シールドが破られました!」
レパード 「敵が侵入して来たわ!気を付けて!」

全員応戦。巨大なエンジン音。

ミキ 「何?」

佐倉、高台から。

佐倉 「皆さん!発進可能になりました!急いで乗って下さい!」
レパード 「みんな!乗って!」
全員 「ラジャー!」

最後まで敵を撃っている小嶋に、山田が戻って声をかける。

山田 「小嶋!何やってんだ早く乗れ!」
小嶋 「わかってる!」

小嶋、戻ろうとした時足を撃たれる。

小嶋 「うわああっっ!」
山田 「小嶋!」

山田、近づこうとするが敵の攻撃が激しく、近づけない。ブル、出て来る。

ブル 「大丈夫か?!」
山田 「小嶋を頼む!」

山田、フライパンを持ち飛び出す。フライパンで弾を避け、その隙にブルとが小嶋を入り口まで運ぶ。

ブル 「もう大丈夫だ!」
山田 「よっしゃあ!」

山田、入り口まで戻り。

山田 「いいぞ!閉めてくれ!」

ハッチが閉まり始めた瞬間、山田、敵の弾を胸に受け、倒れる。

小嶋 「山田!」

すぐにブルとリーが支え、船内へ。船内に続々逃げ込む兵士達。
そこに小嶋と山田が運び込まれる。小嶋はリーに治療を受ける。山田はジャックに。

小嶋 「山田!てめ、しっかりしろこらぁ!」
ジャック 「くそっ!プラズマ弾、胸に食らってる…」
小嶋 「目、開けろこらぁ!死んでんじゃねぇぞこらぁ!」
山田 「ううっ…」
ジャック 「山田さん?山田さん?」
小嶋 「山田!」

山田、何かつぶやく。

ジャック 「え?、何ですか?」

山田のつぶやきを聞き、大きな声に変換するジャック。

ジャック 「…今なら…このミニパンを…特別ご奉仕?」
小嶋 「山田?」

山田、胸に手を入れ、ミニパンを引き出し掲げる。

小嶋 「フライパン?!」
ジャック 「衝撃であばらを骨折してますが、フライパンのお蔭で弾は当ってません!」
小嶋 「山田!」写真
ブル 「凄い!プラズマ弾くらったのに、フライパンも無傷だ!」
リー 「しかもミニなのに…」
レパード 「一つ買うわ。」
アイ 「あたしも!」

皆口々に注文する。クラウドだけが皆に主張。

クラウド 「僕、もう買いましたよ。もう買いましたよ。」
小嶋 「大盛況じゃねぇか、山田。」

ジャックが山田の言葉を変換。

ジャック 「やっぱ…実演販売だな。」
小嶋 「命がけかよ。」

エンジン音高くなる。

佐倉 「間もなく離陸します!皆さんシェルタールームへ」

全員ハケる。

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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