△ 「1/4 breed」シーン23


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舞台の上の方、ツムジが立っている。そこへ里子を連れたクチサケが現れる。

クチサケ 「連れてまいりました。」

ツムジ、里子の睡眠を解く。

ツムジ 「初めまして。トドメの娘さんですね。恐怖の大王です。」
里子 「大王…あなたが、あなたがお父さんを!」
ツムジ 「えぇ。でもあなたのお父さんも強かったぁ。ハーフの分際で、私を4つ裂きにするなんてね。」
里子 「どうして、どうして世界を滅ぼそうだなんて…」
ツムジ 「どうして?勘違いしてもらっちゃ困りますよ。私は人間の念の固まりなんですよ。人間の心なんです。あなただって一度はあるでしょう?『みんな死んでしまえ』って思ったこと。」舞台写真
里子 「…」
ツムジ 「私はそんな念の固まり。全く人間っていうものは罪深い生き物です。妖怪なんていう不完全で可哀想な命を造り出したり、何の罪もない他の生き物達を巻き込んで自ら滅びようとしたり。人間だけですよ?『みんな死んでしまえ』なんて考える生き物は。…おっと、来たわよ。王子様が。」

キタロウが飛び込んで来る。

キタロウ 「里子ちゃん!」
里子 「キタロウさん!」
ツムジ 「ども!一年ぶり!」
キタロウ 「ツムジ…いや、大王、お前。」
ツムジ 「エレベーター使いなさいよ。律儀に階段で上がってくるから間に合わなかったじゃないですか。」
キタロウ 「里子ちゃんを離せ!」
ツムジ 「私もね、こんなモロお約束な方法を取るのはちょっとって思ったんですけどね。なんせ一番てっとり早いもんで。」
キタロウ 「貴様ぁ!」
ツムジ 「やりますか?相手になってもいいですよ。でもあなたに斬れますかね?ツムジの体を。」
キタロウ 「なめるな!」

キタロウ、剣をふりかざす。ツムジに素手で止められる。

ツムジ 「いたぁい。結構痛いですよ。」
キタロウ 「恐怖の大王、天に代わってお前を斬る!」
ツムジ 「天に代わって?ははははは。世迷ごとを!天に頼まれたのは私の方ですよ。あなた達の方が天に背いているのです。まだ分からないのですか?!」

キタロウ、はね飛ばされる。

(作:松本仁也/写真:広安正敬)

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