トップページ > ページシアター > ブリジニツィー > シーン5a 【公演データ】
8係。機材を運び込む上原。今井はストレッチしながら入って来る。
今井 「忙しくなるぞぉ〜。」
島袋、入って来る。
島袋 「今井君、ちょっといいか?」
今井 「あ、はい。上原、これ繋いでおいてくれ。(去る)」
上原 「えっ、あのっ、え〜っ分かんないよ、どうしよう。」
鈴木、入って来る。
鈴木 「おっ、どうした?」
上原 「あっ、鈴木さん。すみません、これの繋ぎ方わかります?」
鈴木 「あたり前田吟。」
上原 「それ、なんとかなりません?」
鈴木 「え?今のかなりイケてなかった?」
上原 「どこにも。」
鈴木 「そっか。残念だなぁ。」
上原 「ところで、あのぉ…鈴木さんなら御存じですかねぇ。」
鈴木 「ん?何?なんでも聞いてちょうだい仁義。」
上原 「…さっき、本庁のお二人と警部が言ってた、5年前の事件って…」
鈴木 「ああ。ありゃ〜ひどい事件だったよ。」
上原 「警部と浜崎さんが、コンビだったって。」
鈴木 「ああ。公安のカミソリとカミナリって言われてたんだ。二人は5年前、新垣君を含む四人のチームである事件を追っていた。」
上原 「いったいどんな?」
鈴木 「エイブ・メディカルって製薬会社知ってるだろ?」
上原 「ええ。確か、あそこもエイベキスタンの会社ですよね。」
鈴木 「その日本支社の研究所で、違法な実験が行われているって情報が入ってね。その捜査中に研究所内で爆発事故が起きて、四人とも巻き込まれてしまったんだ。」
上原 「爆発事故?」
鈴木 「警部と浜崎さんと新垣くんの3人は、爆発した部屋の外にいて比較的軽傷で済んだけど、部屋の中にいたもう一人の刑事は、即死だった。」
上原 「そうだったんですか…」
鈴木 「事件は、ただの事故として処理されたけど、本来なら島袋さんは責任取らされてクビだ。でも、本庁の石黒副総監の計らいで、この八王子にとばされるだけで済んだんだ。」
上原 「結局その事件は…」
鈴木 「お蔵入りってわけ。」
上原 「なんかこう、スッキリしませんよね。」
鈴木 「ま、スッキリする事件の方が少ないもんだけどね。」
(作:松本仁也/写真:広安正敬)