インプラント

インプラント周囲粘膜

 歯の周囲にある粘膜は歯肉と呼ばれていますが、歯が抜けた後は瘢痕組織(=はんこんそしき ; 傷跡が線維化した組織。これが過剰に増殖したものがケロイドです)になります。インプラントは瘢痕組織に植立するため、歯肉とは少し違う特徴があります。そのため、インプラント周囲の歯肉はインプラント周囲粘膜と呼ばれます。

 その違いを表にまとめます。

  歯肉 インプラント周囲粘膜
接合上皮 退宿エナメル上皮由来
(歯の発生に由来)
口腔上皮由来
線維芽細胞 5〜15% 1〜3%
コラーゲン線維 60% 85%
コラーゲン線維の走行 セメント質に埋入した
部分から歯と直交
歯槽骨膜から
インプラントと平行
結合組織への血管の走行 歯根膜、歯槽骨、歯槽粘膜 歯槽骨、歯槽粘膜

 歯と歯肉は 接合上皮(1mmの上皮付着)と歯肉線維(1〜1.5mmの線維性付着)により結合していますが、インプラントと周囲粘膜は接合上皮(2mm : チタンとヘミデスモゾーム結合しているとする考えと、ただ接しているだけとする考えがあります)と骨面までに約1mm幅の結合組織(インプラントとは平行 に走行しているだけで結合していません)により接しています。また、インプラントで線維芽細胞が少ないということは、感染に対する修復能力が小さいことを 意味します。
 以上のことから、インプラント周囲粘膜は歯肉と類似しているけれども感染に対する抵抗力の小さな瘢痕組織であるといえます。

 

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最終更新2013.1.10