歯の発生

セメント質・歯根膜・固有歯槽骨の形成

 エナメルマトリックスタンパク質が分泌された後、ヘルトヴィッヒの上皮鞘は分断され網状になります。これをマラッセの上皮遺残(=じょうひいざん)といいます。

 歯小嚢の未分化間葉細胞はマラッセの上皮遺残を通って歯根象牙質の方へ増殖していきます。また、歯胚の外側に形成されている支持歯槽骨(=しじしそうこつ)の方へも増殖していきます。

 歯根象牙質上のエナメルマトリックスに接触した歯小嚢の未分化間葉細胞は、セメント芽細胞(=せめんとがさいぼう)へと分化します。 セメント芽細胞はコラーゲン原線維を出しながら移動していきます。残された線維間にアパタイト結晶が沈着して無細胞セメント質を形成します。
 歯根象牙質と無細胞セメント質の間にあるエナメルマトリックスも石灰化し、両者を強固に結合します。この部分をホープウェル・スミス層あるいはホープウェル・スミスのヒアリン膜といいます。

 一方、支持歯槽骨と接触した未分化間葉細胞は骨芽細胞(=こつがさいぼう)に分化し、固有歯槽骨(=こゆうしそうこつ)となります。

 歯根象牙質や支持歯槽骨と接触していない部分の未分化間葉細胞は歯根膜(=しこんまく)へと分化します。歯根膜線維の一部は無細胞セメント質と固有歯槽骨の中へ取り込まれます。

 

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最終更新2013.1.2